クジラになりたいイルカ

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6/25/2022, 3:19:29 PM

繊細な花

私は白い種がほしい。
勇気から芽生えた優しさの種がほしい。
いくら踏まれても崩れない花がほしい。

私は黒い種なんかいらない。
同情から芽生えた優しさの種なんかいらない。
触れただけで崩れてしまう花なんかいらない。


私の手のひらいっぱいに黒い種がある。
そして、真っ黒な花を咲かせる。

君の手のひらにはいっぱいに白い種がある。
そして、真っ白な花を咲かせる。







「あなたの花って真っ白で強くていいね」
そう、君が言う。

「えー。そうかなぁ」
そう、私が言う。

周りから見たら私の花は真っ白で強いだろう。
でも、本当は。本当の本当は。

真っ黒でとても弱くて繊細な花なんだ。

でも、君はそれを知らないから、
どんどん踏み潰していく。

真っ白で強く見える私の花を踏み潰していく。


でも、私は君の花を踏み潰せない。

だって、もしかしたら、
君の花も真っ黒かもしれないじゃないか。

私から見たら強くてきれいな花だけれど、
本当は真っ黒で弱い花かもしれない。

そんな花、踏み潰せるわけないじゃないか。



それに……

私は知らずしらず踏んでいるかもしれない。
誰かの花を、踏み潰しているかもしれない。



だから、私は、我慢する。

だから、私は、いつも、

踏み潰される側なんだ。

5/23/2022, 3:10:34 PM

2022/05/23 23:58 小説日記

逃げれない呪縛

「それ、痛そうだね」

近くにいた友達が私の指まじまじと見ていた。
変な、癖がついてしまった。爪の周りをシャーペンで指したり、ささくれができたり。そうしていつも、爪の周りは血でいっぱいになっている。

親や友達からも心配されるため、私は絆創膏を必ず持つようになった。でも、どんなにやめようとしてもいつの間にか指から血が出てしまう。

私の過去の過ちを思い出すたびに私の指からは血が出る。こんなことしてもあの子たちに比べたら全然傷ついていない。

私は、幼い頃、いじめをしていた。幼稚園から2年生くらいだけれど。はっきりと覚えている。自分が、彼女たちにした最低な行動や言葉。


私は、一生、この指を汚すことが正解なのかもしれない。逃げられないんじゃない。やめられないんじゃない。逃げちゃだめなんだ。過去の自分から。