「じゃあ、またね」
「うん、またね」
人は別れる際に、バイバイやじゃあね、またね。
など、様々な言葉を交わす。
僕らはいつも『またね』と交わす
次があると信じて
次もまた楽しい日々を過ごせますように、と
だから『さようなら』なんて言いたくない。
まるで次が無いみたいで、関係をキッパリ切ってしまうような、そんな言葉は、あまり好きじゃない。
でも、やっぱり別れは来るものなのだ
「えっ……アキラが、交通事故ですか!?」
信じられなかった。こんなにも突然なんて。だって昨日も「またね」って……
「そうなのよ今危ない状態だから、ほら貴方達仲いいじゃない?一緒に付き添ってあげて」
「はい!行ってきます!」
僕は走る、丘の上の病院まで。
今は疲れも感じなかった
「アキラッ!!」
勢いよく開けた病室の扉。そこにはアキラがいた。でも、目を閉じて眠っているようだ。
「お?アキラの友達か……こっちに来なさい」
アキラのお父さんに言われるがままアキラの傍によった。近くで見ると魘されているような感じもした。苦しいだろうなこんな管だらけで、傍にずっといられれば。
「アキラ、頑張れ。」
ぎゅっ、と手を握った。
でも痛くないようにそっ、と。
アキラの手を握ってからしばらく経った。まだ3分も経ってないかもしれないし、もう1時間もここに居るかもしれない。
「まだアキラとバカやり足らねぇよ。
なあ、寝坊助、起きろって。」
!
その時 、握っていたアキラの手が僅かに動いた気がした。アキラ?応えてくれてるのか?
「お前……頑張るんだな?」
そしたら俺も、頑張らねえとな。なあアキラこれが終わったらまたいつもみたいに……
「ビーーーーーー!!!!!!」
「っー!な、なんだ!!どうした!?
アキラ!?アキラ?」
突然の機械音。
なんだろうこの胸騒ぎ。いま伝えないといけない言葉がある気がする。
「どうしましたアキラさん!」
「!!かなり危ない状態です。直ぐにでも治療室へ……」
「アキラ!!」
咄嗟に叫んだ。叫ばずにはいられなかった。でも、
あの言葉を言わすなよ、言わねえぞ?
「バーーーーカ。早く戻ってこいよ?
俺はいつでも待ってるからよ。」
「なんだ君はアキラの友達なら……」
「またな。」
それから、誰も、何も。俺に声をかけなかった。俺がヤバい奴だから近づかないだけか?ああ、なんか目があつい。
上を向く。特別な意味もないけど。
「また、逢えるだろ?アキラ……」
ツーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『別れ際に』
空が、泣いている。
なんでそんな風に表現するのだろう。
私達の流す涙に、似ているからだろうか
胸の鼓動を感じる
夜独りになるとよくその音が聞こえる
時計が動く音
コオロギが鳴く音
それら全てを感じ、眠りにつくのだ
今日1日、うっかり寝て過ごしてしまった
何となく、スマホに圧がある
メンヘラ彼女の留守電とスタ連がステータスバーから確認できる。
表示は999+となっている
僕はそっと彼女をブロックした
ー開けないLINEー
不完全でもいいよね
確実に前へは進んでいるのだから