待って
みんなに追いつけないよ
僕の足が遅いのか
みんなの足が速いのか
スタートの位置が違い過ぎたのか
僕はまだみんなに追いつけない
行かないで
待って
待ってよ
ねえ
僕を置いていかないで
待って
待って
待って
見ろよ
あの青い空
白い雲
どこまでも続く
あの空の向こうに
小さい頃
憧れていた
星がね
たくさんあるんだって
数えきれないんだって
すごいねえ
見たいねえ
ーそうして
大人になった僕は
今も空を見上げている
寒くなったなぁ
枯れ葉が舞う
秋か
秋なんだな
高い空に
雲が浮かぶ
明日は雨だっけ
横断歩道を渡り切って
道を歩く
僕はまだ
子供の僕を
忘れてはいない
泣く
泣く
泣いて
声が枯れるまで 泣いて
でも
心の穴は
広がるばかりで
今も
まだ
心は泣き止むことなく
何が辛かったのかすら忘れて
あの日
みんなと宅飲みしに行った
彼は焼きそばを作ってくれて
みんなは人生ゲームを楽しんだ
焼きそばを食べながら
私は初めての人生ゲームで
何だか分からないうちに勝ってしまった
解散して
雨の中を当時の彼氏と帰った
それから何年か
夜
いや 深夜
寝ているところに電話がかかって来た
俺さ 今帰って来たとこ
ただいまーだよ
これからラーメン作る
眠い目を擦り
私は うん と
呟くように頷いた
当時同棲していた彼氏が起きて来て
誰 切って
と 言われた
学生時代
宅飲みに誘ってくれて
焼きそばを作ってくれた彼だった
こんな時間にかけて来るなんて
非常識極まりない
と
彼氏は激怒した
着信拒否のあと
電話番号を消されてしまった
恋だった
私の中の淡い恋は
終わってしまった
始まりは
雨の日だった
いつのまにか
彼氏との波長が
合わなくなっていた
すれ違って行く
私は自然消滅する
炭酸の抜けたソーダ水のように
のんびりと
彼氏から方向転換した
仕事
仕事
仕事
忙しくなって
しゅわしゅわのソーダ水のように
日々を過ごした
地面が泡立つように
土砂降りの雨の日
彼氏からLINEで
別れよう と
連絡されて
はい
と
答えた
しゅわしゅわと
慌ただしくそのまま過ごして
夜の寂しさは
缶チューハイで飲み干した
好きになってくれる人
居ますか
ってSNSに
病んだ言葉を使って
独りぼっちを
噛み締める
でも
大丈夫
きっと
次がある
たぶん