人さがし

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2/10/2024, 12:57:19 PM

─誰もがみんな─

世界には、様々な生き物が居る。

当たり前のように息を吸って、吐く。

仕事をしたり、学校へ行ったり、

逆に何もしなかったり。

でも、それだけで生きていられる。

幸せでいられる。

誰もがみんな、“当たり前”を信じて、今日を生きる。

だがそれが、僕には辛かった。

勿論、息を吸って吐くことなら、最初からできていた。

しかし、大人になるに連れ周りの“当たり前”が分からなくなった。

そんな僕は、「邪魔」「消えて」「うざい」と言われていった。

なんで、そんなことを言うんだ。僕は悪くないだろう。

世界が悪いんだろう。世界が可笑しいんだろう。

“勝手に”当たり前を作って、“勝手に”それを押し付けて、

“勝手に”それが出来ないと見捨てて、“勝手に”罵倒の言葉を浴びせる。

そんな世界、可笑しいだろう?苦しいだろう?

生きたくないと、思っても仕方ないだろう?

本当、生きていたくない。

それが叶わないのなら、息をしているだけで、褒めておくれ。

生きてるだけで、うんと沢山、褒めてくれ。

2/4/2024, 8:11:47 AM

─1000年先も─

綺麗な夕日を見た。

それは鮮やかなオレンジで、

吐息が出る程キラキラと輝いていた。

この世界には、僕のまだ見ぬ景色が広がっている。

全部を見たいなんて願望は言わない。

ただ、その沢山の美しい景色が100年、

否1000年先も続いて行くことを願う。

誰かがそれを見て泣いて、

誰かがそれを見て喜んで、

誰かがそれを見て笑って。

そんな小さなことで、誰かが幸せになれるのなら。

僕はそれ以外、何も望まないよ。

1/27/2024, 4:07:07 PM

─優しさ─

「僕にはその優しさが辛いんだよ!!」

お前が珍しく大声をあげた。

今までそんなことなかったのにという驚きと、言われた悲しみが襲ってきた。

きっかけは多分俺とお前の違いだろう。

いつもいじめのようなことをされていたお前と、いつも笑う俺。

お前へのいじめを俺は止めていた。お前を助けるために。

でも意味がなかった。あまりのショックに、思ったことが声に出てしまった。

「…ふざけんなよ。今まで助けてやったのは誰だよ!」

「君が勝手にしたんだろう?!そのせいで、僕は…!!」

そう言ってお前は、俺のせいでいじめがひどくなったと話した。

「なんでお前みたいな陰キャが、陽キャの君と絡んでるんだって」

お前は泣きながら、痛くて辛くて苦しかったと話した。

「…俺の優しさ、無駄だったんだな。ごめんな。」


君はそう言って、去っていった。

「…ごめん、ごめんよぉ。」

俺のエゴなのに。君に見下されてるように感じて。

もういっそのこと楽になろうって、関係を終わらせて。

君の優しさに縋ってたのは、僕なのに。

「どうしたら、良かったの…?」

君の去った教室には、僕の声だけが木霊した。

1/23/2024, 11:25:04 AM

─こんな夢を見た─

最近、友達が変な夢を見るようになったらしい。

内容は女の子が電柱から覗いて、ずっと見てくるらしい。

その女の子は、昔近所に住んでいた年下の子で、

よく遊んでいて妹のような存在だったと友達は話す。

どうやら火事で亡くなってしまったらしい。

もうかれこれ1ヶ月近く続いているのだ、と友達は言った。

そんなある日、いつもと違う夢を見たらしい。

いつもは電柱から覗いている女の子が目の前に来て、

何故か持っていた包丁で刺されてしまったらしい。

そして自分の目の前であることを言った。

何を言ったのか気になったが、忘れてしまったらしい。



数日後、夢を話した友達に殺されかけた。

凶器は夢でみた女の子の持っていた包丁とそっくりで。

近くに通り掛かった人に通報され、友達は捕まった。

夢の中で女の子がした行動全てが、捕まった友達の動きにそっくりだった。

夢の中で女の子が言った言葉の後に、僕は刺された。

「おにーさんね、おともだちにころされるよ。こんなふうにね。」

警察に捕まって、パトカーに乗るとき、友達は言った。

『夢の女が居なければ、お前を殺せたのにな。』

1/21/2024, 5:46:48 AM

─海の底─

部屋の掃除をしていた時、ふと目についた。

中学校の頃の卒業アルバム。

今は大学生だから、結構昔の物だった。

中学校の思い出といったら、彼氏ができたことかな。

平凡な学生だったのに、行動力は人一倍あって。

入学してずっと好きだった人に告白した。

相手は一つ上の先輩で、校舎で迷った時に助けてもらって惚れたんだっけ。

先輩は少し悩んだ後、優しい笑顔で「いいよ」って答えてくれて。

それからデートとかも行ったけど、ある日パタリと音信不通になった。

やっと登校してきた時には一年近く経っていて。

なんでって問い詰めても何も言わないし。本当にショックだった。

でも急に「会いたい」って言ってきて。

不思議に思いながらも会ったその時、

貴方が打ち明けてくれた。重度の鬱病になってたって。

友達に裏切られて、誰も信用できなくて、誰にも相談できなくて。

まるで海の底にただ一人、沈んでるみたいだったのだと。

心を落ち着かせるのに、一年も掛かったのだと。

でもそれを乗り越えて、今は私の隣で笑ってくれている。

その笑顔を見るだけで、私は幸せだ。

辛い過去を思い出す暇も無いくらい、笑わせてあげたい。

私はそう、心に誓った。

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