おや随分と古い物を見つけて来たね。
あぁそうだよ。昔は寝ても覚めても
星がきんきらさざめいていたものさ。
ひとは星々に名を付けては目印にしていた。
例えばほら、これはお前の名の元になった星だ。
珍しい資源が有ってね、
だからそういう名になったのさ。
ん?何でって、よくある話だよ。
星同士にも喧嘩はあるし、寿命もあった。
此処にも直した跡があるだろう?
初めの頃は直す位で済んでいたのだがね。
今じゃあこの通り、一面真っ暗ってワケさ。
‹消えた星図›
「美人は3日で飽きるらしいけど、
4日目のご感想は?」
「お前は美人じゃなくてイケメン系なので。
飽きるなぞ7億年は早いわ」
‹愛 − 恋 = ?›
「ね、名前の縁起が悪いと、縁起の良い別名を付けるんでしょう?」
「あぁまあそんなこともあるな」
「じゃあ梨の別名ってアリになるのかな」
「やめろやめろ虫食ってるみたいになる」
「酸っぱいらしいよね、アクセントに良いかも」
「想像したじゃねえかやめろっての」
「誰かいるのか?」
「……あー、……蟻?」
「お前また……友達はちゃんと吟味しろよ。
どっかに嫁入り神隠しされても知らんぞ」
「やぁだ、笑顔で食べてくれない人なんて好みじゃないわ」
「善処善処」
‹梨›
笑って見送ってと君が言う
歌うように晴れやかに
新しい門出を祝うみたいに
そうしてきっとこの先も
微笑みと共に思い出してと
そんな僕には難しい
難しいことを言う君が
誰より楽しそうに笑うから
僕も必死に唇を
目を全霊に弛ませて
さようならという声が
決して震えないように
さようなら僕をあいしたひと
さようなら僕のあいしたひと
同じ場所にはいけないことを
恨んでくれすらしないのだ
‹LaLaLa GoodBye›
例えば空を指さしたときに
星に当たらない可能性はどのくらいか
例えば深海を指さしたときに
魚に当たらない可能性はどのくらいか
例えば樹を指さしたときに
葉に当たらない可能性はどのくらいか
例えば画面を指さしたときに
一切知人に当たらない可能性はどのくらいか
例えば引き金を引いた時
誰も傷付かず弾が遠く消える
そんな平和に帰着する
可能性はどのくらいか
‹どこまでも›
何もかも違うヒト同士でも
きっと分かり合えることもあるさと
それは例えば道が交わるみたいに
一緒に歩いて行けるのさと 言った君
古来辻は異界と繋がるから
そういうこともあるかもしれない
なんて言えば化物扱いするなと怒る正義感の強い君
空白の席に誰も気付かず
時は当然に進んでいく
多分違う道へ踏み込んでしまったのだ
僕と同じで
‹未知の交差点›
誕生日の日に君はいつも
一輪の花を贈ってくれた
本数の裏読みはされたくないと
一輪と決めて贈ってくれた
生花 鉢植え プリザーブド
鮮やかに咲き誇る花を、いつも
君が旅に出て初めて巡る
誕生日に封筒が届いた
クリアカードが一枚だけ
茶色の秋桜の押し花を一輪
其処に込められた言葉の意味を
問える先は見つからない
‹一輪のコスモス›
わたし あきっぽいの、と彼女が言う。
毎日違う色のアクセサリを揺らすのは
確かに昔の有名曲みたいで
わたし あきっぽいの、と彼女が言う。
感情も表情もくるくる移り変わるのは
確かに空の色によく似ていて
わたし あきっぽいの、と彼女が言う。
離れた手が人並みに消えていく
……私は今、誰と話していたのだったか
‹秋恋›