不平等で無定形で
論も証拠も証明もなしに
さも当然みたいな顔で
万能通貨に扱って
さも被害者みたいな顔で
全部他人に転嫁して
そんなのだからそんなのだから
「本物を得られない」なんて
至極当然の馬鹿をいう
‹愛する、それ故に›
ヒトが忙しなく行き交っている
イヌは大口を開けて尻尾を巻き
ネコのカタチの姿は一つもなく
赤々とした警告灯は眩しく
打ち捨てられた鉄硝子が
足元で削り崩れている
吹き飛ぶは紙か布か果たして
何処かにぶつかり潰れたようで
いよいよ世界でも終わるのだろうかと
無くなって久しい耳跡を撫でた
‹静寂の中心で›
「『あの葉が落ちたら』なんて有名な話だが、
どうやら僕もそうらしいよ」
「遂に頭にまで馬鹿が回ったか?」
「本気だよ。秘密にしていたが、
僕には未来が見えるものでね」
「ならばいよいよ医者にかかるべきだな。
其処に植わってるのは常緑樹だぞ」
「知っているとも。僕ですら葉の更新を
お目にかかったことはないね」
「ならば枯れ落ちるまで此処で寝ていると?」
「其処まで時間は掛からないさ。
処で次に来るのは来週だったかい?」
「そうだが。何だ、其処までに植木の入れ替えを
するという落ちか」
「いいや。まあ、此処で会うのは最後だろうね」
「……馬鹿馬鹿しい」
「おいお前聞いたか、あの火事」
「知らん」
「一人って」
「知らん」
「いやだから」
「知らんと言っている」
「……わかったわかった。何処行くんだ」
「奴に頼まれていたモノがある」
「そうかい。ま、一つだけ。
ソレは司法で捌くもんだよ」
‹燃える葉›
光に照らされるが真実で
闇に隠れるのが偽証なら
薄い月明かりに影翳す
君の名前を何と呼ぼう
‹moonlight›
今だけ今日だけ一生一度
いつだって約束は空言だけで
君だけ此処だけ今生限り
口遊む誓いは反故より軽い
笑って許すも本気で怒るも
一度だって反省しないけど
一回一回さいごの一回
甘えた振りして震える指を
冗談と払ってやれないくらいには
‹今日だけ許して›
人の助けが欲しい時
「誰か」と呼びかけてはいけないと
他人事傍観者決め込まれぬよう
名指し指差しで特定すべきと
人と愛をしたい時
「誰か」と曖昧にしてはいけないと
時間を生命も無駄にせぬよう
必須条件を吟味すべきと
君が君を語る時
「誰か」と有耶無耶にしてくれるな
たった一人の大切なひとを
代えがあるように言ってくれるな
‹誰か›
扉の閉まる音に目が覚めた。
人気の無い空っぽの部屋だ。
カーテンの奥は酷く眩く、
きっとまた遅刻間際だろう。
ベッドから降りて服を拾う。
せめてゴミでも片してやらねば、
奴が少しでも良く寝れるよう。
大した量も箱も袋もありゃしないが、
捨てに行けぬから大差無い。
足のない身で手伝いなぞ、
高が高が知れているが。
奴の道行きの手伝いだ、
成仏までは付き合おう。
‹遠い足音›
「最近さぁ、突然涼しくなったじゃん?」
「わかる、朝晩結構冷えるよね」
「そうそう、だから珍しくしっかり秋が来たなって
天気予報見たの。『夏日』ってあったのよね」
「つまり…一昔前の夏は今のコレ……?」
「多分コレ……」
「こわ……」
‹秋の訪れ›
旅の終わりは何処でしょう?
目的地かしら はたまた家?
旅の終わりは何時でしょう?
満足した時 止まった時?
旅の終わりは何でしょう?
望んだ光景 それとも死?
旅の終わりはどうでしょう?
きっと何か諦めること
旅の終わりには誰になる?
なりたい人に成れている?
‹旅は続く›
白黒テレビのあった時代は
現実も白黒だったのだと
無邪気に信じていた事がある
だからいつかの未来の子供も
私達を指して言うだろう
この時代の人たちは
みんな平面だったのだと
‹モノクロ›
星も生命も祈りの声も
途絶えてしまう朝がある
歌も平和も苦しみの時も
止み静まる夜がある
愛も言葉もダイヤモンドも
誓いの永久には程遠い
だからせめて一つだけ
君と僕との有限に
誠実であるだけを
失われるまでの約束を
‹永遠なんて、ないけれど›