「空模様」
天候や気圧に覿面に影響を受ける。
雲が覆って薄暗い空模様などは、見ているだけで頭痛がしてくる。
そんな日は何ひとつうまくいかない気がする。
駅までの道すべての信号は赤だし、駅の人ひとり分の幅しかないエスカレーターを駆け上がることもできずにそわそわと足踏みし、あと一歩のところで電車を乗り逃すところまで見える。
どうせそうなるのは分かっている。まるっとお見通しなんだよこの野郎。
かと言って雲ひとつない晴れ空とかだと気分は良いものの、脳天軽すぎて空回りしたりもするのだが。
病は気から、気は天候から。
しかしながら、たやすく天候に左右される自分はなんだか原始的できらいではない。
「鏡」
こう見えて自分も一丁前に化粧などをする。
自宅の鏡の前で、うん、なかなかいい。などとキメ顔でうなずいて外に出るわけだが、どういうわけか、外出先のガラスに不意に映し出される自分の顔は、非常に不抜けている。しかもひとまわりでかい。顔も体も厚みもなんかでかい。
全体的に思ってたんと違うのだ。自宅で見たときはそこそこの出来栄えだったはずなのに。
導き出される答えはこうだ。
我が家の鏡は私に優しい。
「いつまでも捨てられないもの」
断捨離が苦手だ。
捨てられないのは、購入した小物を包んでいたプチプチ、アパレルショップのしっかりとしたビニールの袋や紙の手提げ袋、固まりかけたマニキュア、買ったものの渡せずじまいのどこかの観光地のおみやげ、子供が小さい頃に映画館で買った妖怪ウォッチのポップコーンケース。きりがないから書かないけど、まだまだあるよ。
ごく稀にやる気が出たときに思い切ってまとめて捨てたりもするが、捨てた直後に必要になり、ああしまったこの前捨てたばかりだと頭を抱えたりする。
取捨選択がヘタなのだと思う。
捨てられないのは物でもあり、思い出でもあると感じる。もういい。思い切って捨ててあとから後悔するぐらいなら私は思い出に囲まれて生きるよ。
他人から見たらなんの価値もないものが、自分にとってはかけがえのないものだったりすることもあるしだな。
という言い訳をしつつ、今日もカバンの中から無限に湧き出るレシートをデロデロと引き出しては丸めている。