波音に耳を澄ませて

青い風

今日なら、こんどこそ。
できると思った。
踏み出せると思った。
この瞬間。幸せの最高潮。

きっとこんな幸せって二度とは訪れてくれないでしょう。
そのまま足元を見ずに自由落下するつもり。

それが真の幸せでしょう？
青い風もわたしを応援してる。




今日もできなかった。
やっぱりできなくって。ダメだった。
踏み出すことができない。早く終わらせてしまえたなら。変わることができたのなら。

いや、考えるのはよそう。結局私はなしえなかったんだ。……



私を嘲笑うかのように、青い風が横を通り抜けた。

遠くへ行きたい

誰も自分の事を知り得ないところへ。
まっさらになってやりなおせ。

クリスタル

ゲームセンターに行った。やたらと五月蝿くって、ぼくは嫌いだけど。
なんとなく選んだぬいぐるみ。
君が楽しそうに見つめるから変にこだわってしまったんだ。

君が嬉しそうに、光に透かしていたから。いっしょにおちてきた、原価数円のクリスタルを美しいとおもった。

もうぬいぐるみは何処かへやってしまったけど、あのガラクタは今も捨てられずにいる。
笑ってくれるよな君はきっと。

夏の匂い

夏は好きじゃない　汗をかいて汚いから

好きじゃないって言葉嫌い　曖昧すぎるから

夏の匂いは好きじゃない　草いきれや土のにおい、虫除けの匂い、制汗剤の匂い…

あまりに刺激がつよいから。