お金よりも大事なもの____
初めて恋をして失恋をした。
大好きだったんだ。3歳の頃の初恋の相手に、10年ぶりに再会して、最初はキュンともドキともならなかったの。
でも、それから毎日のように電話して、たくさん出かけて、恋バナして恋人同士みたいなLINEして。いつの間にか好きなっちゃってたんだよね。
「あー、俺復縁するかも」
そんなふうに電話で言われた途端に涙が溢れそうになったよ。
卒業までにお互い恋人がいなかったら、復縁する約束を別れる時にしたらしい。それで最近、元カノさんは彼氏がいるのに別れたいんだよねって復縁話と同時に相談されたらしくてさ。
バカかよ。元カノさんもあいつも。なんでそんな約束してんだよ。うまくいくわけないじゃん、私の方が幸せにできるのにって負け惜しみをする。
「はとこ」という壁は案外大きくて私の行動を止める。親戚のあいつに取って私はただの妹なんだろうね。
たまには____
雨の日が好き。
だってあの子に会わないから。
彼女は雨の日だと前髪のとかメイクとか、
色々気にして学校まで車で行く。
だから、雨の日はあの子に会わなくて済む。
バスの中で「あー、そろそろイヤホン外さなきゃ」って
いつも憂鬱なの。ごめんね。親友なのに。
だけど、登校中に音楽を聴くために学校に行ってて、
下校中に音楽を聴くために帰ってるようなものだから。
Love you ____
毎日会いたいと思う相手は、「はこと」
だから、好きじゃないんだ。はとこだもの。
わからない、好きと感じる心理がわからない。
わからないはずなんだ。わからなくていいんだ。
わかっちゃいけないんだ。気づいちゃいいけない。
開き直っちゃいけない。受け入れちゃダメなの。
黄色いチューリップ。
花言葉は「望みのない恋」
サルビア。
花言葉は「家族愛」
黄色いチューリップが枯れて、サルビアが咲くまでの
私の恋が始まった。
10年後の私から届いた手紙____
エピソード 3[(寂しい空)×2=美しい空]
「この方程式、わかる?」
あたしは数学だけは美空に教えられる。
でも、美空は表情何一つ変えない。
「この猫の名前、知りたい?」
あたしは野良猫の名前を美空に教える。
でも、美空は表情何一つ変えない。
「この感情、なに?教えてこころお姉ちゃん」
あたしがいつものように病室を去ろうとした時だった。妹は初めて涙を流し、あたしに問いかけた。
「猫の名前、なんだっけ?」
美空は笑いながら私に色んなことを少しづつ、
問い続けるようになった。
【意味】
(寂しい空) x2=美しい空という題名は空空寂寂という
四字熟語のことを表している。無関心という意味。
生まれつき精神病を持っている美空は、寂しいという感情を初めて表した瞬間。
【解説文】
「この方程式、わかる?」
あたしは数学だけしか美空に教えられない。
でも、美空は表情何一つ変えられない。
「この猫の名前、知りたい?」
あたしは猫の名前を美空に教えたい。
でも、美空は表情何一つ変えられない。
「寂しいってなに?教えてこころお姉ちゃん」
あたしがいつものように病室を去ろうとした時だった。妹は初めて涙を流し、あたしに問いかけた。
「猫の名前、なんだっけ?」
美空は笑いながら私に色んなことを少しづつ、
問い続けることができた。
待ってて____
エピソード2[苦い海と沈んだ夕日]
「海は苦い。」
「いや、海はしょっぱいでしょ。」
「違うよ、こころ。」
友達の憂は頑なにそう言う。
「うちの海は苦いんだ。」
「そっかあ。」
あたしはもう受け入れる。
「ねぇ、沈んだ夕日って時に残酷だよね」
「あたしはそれでも沈んだ夕日大好きだけどね」
「ぶはっ。」
憂は心から笑った。
【意味】
苦い海で、苦海。 くかいと読む。
この世が苦しいものであることを海にたとえた語。
憂はこの世界が苦しいということ。
沈んだ「しん」夕日「ゆう」
「親友」
【解説文】
「この世が苦しい。」
「いや、海はしょっぱいでしょ。」
「違うよ、こころ。」
友達の憂は頑なにそう言う。
「うちの世界は苦しいんだ。」
「そっかあ。」
あたしはもう受け入れる。
「ねぇ、親友ってときに残酷だよね。」
「それでもあたしは憂が大好きだけどね。」
「ぶはっ。」
憂は男の子みたいに笑った。