春佳

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9/2/2023, 5:41:37 AM

私は外の部活だ。
私の好きな人の部活は明日はあるだろうか。
私の好きな人は野球部で、私は陸上部。
気になる。
頑張ってその人のLINEを開いて、
『明日野球部って部活あるの?』
と送った。
早く返事が来ないかな。
そしたら画面に私の好きな人の名前が表示されLINEを開く前に見えてしまったのだ。
──『明日はないんだよねー』
ああ、彼のLINEがウソだったらいいのに。
いつまで経っても彼からきたLINEに既読がつけられなかった。
             ✓開けないLINE✓







2023/09/01
中一のとき、彼の姿を見た瞬間息を呑んだ。
1年間、一生懸命恋をした。
──3月には終わった恋だけど。

私は中一に入学してからまずは『何部に入ろうかな』とずっと考えていた。
自分の中で候補はあった。吹奏楽部、バレー部、そして陸上部だ。
吹奏楽部は小学校の頃もしていたから。バレー部はお兄ちゃんがやっていたから。陸上部はただ単に走りが速くなりたかったからだ。
そんなことを考えていると、
「おはようー!野々花(ののか)!」
と朝から元気な声が聞こえてきた。
「おはよう、咲彩(さあや)」
彼女は私の一番の友達だ。彼女も私と一緒で元吹奏楽部で小4のときに仲よくなった。
「で、何考え事してたの?」
「ん?はい?」
「だって、ずっと黒板のほうぼんやり見てたから考え事してたんでしょ?」
「うーん、まあね」
「部活何入ろうかなーとか?」
なんで私の心の中を読めるんだ?怪訝な顔をしている私に咲彩は噴き出した。
「まぁ、時間はまだあるんだし、その間に決めとけばいいじゃん!ね?」
「そうだね」
そうは言ったもののそのことが頭からいっとき離れなかった。

昼休み、隣のクラスの心桜(こころ)が私の名前を呼んだ。彼女も元吹奏楽部だ。
「ねえ、今日の放課後陸上部の体験に行かない?」 
「え、今日?」
「うん。ねぇお願い!」
「今日は暇だしいいよー」
「やったぁ!じゃあ、帰りの会終わったらそっこう野々花のクラスに迎えに行くからね!」
「はーい」
「じゃあまた放課後!」

放課後、約束通り心桜と陸上部の体験に行った。
とても緊張した。楽しそうに部活をする先輩たちを見て作り笑顔とかじゃないよね?と思いたくもないことを一瞬思った。
3年生は女子ふたりしかいないみたいだ。長距離のキャプテンは美華(みか)先輩、短距離のキャプテンは心晴(こはる)先輩。今日だけで覚えた。
心晴先輩と他の2年生の人たちはは私と心桜に丁寧にミニハーの基礎の動きを教えてくれた。
それが終わったあとはハードル走というのをやるらしい。顧問の先生が来て、
「長距離の人たちも短距離と一緒のメニューやれよー」と指示を出していた。
長距離の人って何人くらいいるんだろう。私は短距離のほうが得意だから長距離には絶対にいかない。
──その瞬間ドクンと心臓が飛び跳ねたような気がした。
ほっそりとした身体。子どもっぽい顔。風になびいてる髪。全てが『綺麗だな』と思った。
え、待て。これは…一目惚れ?ま、まさか。いや、でもそう…なのかもしれない。

数日後、私は陸上部に入部した。陸上部の先輩たちは優しく接してくれた。
それからもずーっと彼のことが頭から離れなかった。
彼の名前は楓我(ふうが)という名前らしい。1個上なので“楓我先輩”と呼んでいる。
本人の前では名前は呼んだことないけど、心の中では何度も楓我先輩と呼んでいる。
私は速攻、咲彩に楓我先輩のことを話した。
「えー!同じ部活に気になる人かー!青春すぎだよ、野々花!」
「シッ!咲彩、マジで声がでかいからやめて!このこと咲彩しか知らないんだから」
「ごめんてー、でも親友の気になる人の話になったら黙ってはいられないよ!!」
「もう、この話終わり!次理科だから行くぞー」
「はぁい」
納得いかないとでも言いたそうだった。
理科室に向かう途中、楓我先輩の姿を見つけた。咲彩に言うと、
「え、どれ?」
「ほら、あれあれ」
「だから、どこ……え、あの人!?」
「……う、ん」
「めーっちゃモデルみたいじゃん!」
「え、やっぱりそう思う?」
「思う思う!野々花、見る目あるね」
「そんなことないし」
照れ隠しのために返した言葉が素っ気なくなってしまったが咲彩はそんなことなんとも思ってなさそうだったので安心した。