ぶらぶらと家の近所を歩く。鼻歌でも歌いながら。
ふーんふーんふふふんふん。
鼻歌は最近聴いている曲に変わる。曲の流行り廃りって早い。あれよあれよと毎年新しいアーティストが話題になる。好きになったアーティストが音楽番組に呼ばれ、全力で演奏する姿は見ていて気持ちがいい。カメラワークも天才的でバッチリ。あとは、家で歌手と一緒に歌う。それが、音楽番組の醍醐味じゃないだろかと、1人歩きながら考える。
誰かのためになるならば、わたしは歌を歌う。テレビに出て歌うなんて大それたことだと思うからそんなことは望んでいない。きっと簡単なことじゃないし。
家路に向かう曲がり角に着く。
結局、「誰か」って自分も含まれてていいと思う。私はわたしのために歌う。
学生の頃、好きになったのは国語の先生だった。
好きなところは、声。部活の顧問として話す時と、授業をするときの声が少し違うのが面白かった。学生の頃はバスケットボール部に入っていたらしい。だから身長はそこそこ高い。なのに、今は文化部の顧問をしている。出会いは部活動だった。
話は変わるが、わたしが好きになった人の遍歴で唯一メガネをかけている人だった。
私の友達になる人はメガネをかけているか、目が悪くてコンタクトをしている人ばかり。
あの人は丸渕メガネをかけていた。ハリーポッターみたいで憧れた。目が悪くない私にとってメガネは縁遠いものだった。
18歳で成人という話題にあの人はこう答えた。
「早いね。20歳からお酒とかタバコとか吸うことがで
きるのに。18では大人とはいえないんじゃない。」
あれから5年が経った。先生、先生の言う大人になったよ。
作詞:上原大史
「強くなった今 あなたに会いたい いつかまた
どこかで会えたら 大人になった私見てください」
春夏秋冬 花は咲く 花が咲く
そしていつかは枯れる
芽吹き 輝き 散っていく
花咲いて 花枯れる 花生まれ 花死んでいく
寝る前は不安になる。
朝、わたしは起きずに死んでいるじゃないかとか、夢見が悪く目覚めたりしないだろうかと考える。
こんな時、「もしもタイムマシンがあったなら」と一瞬考える。
失敗したことも、今までずっと胸に残り続ける後悔も全部うまくやり直せたら。
どれだけ今の自分とは違っただろうかと。
深呼吸を何度か繰り返し、脳内が冷えるのを待っていると、瞼が重たくなり、眠たくなる。
おやすみなさい。
「今一番欲しいものは何?」
と、友達から聞かれた。
心理テストの類かと一瞬思ったがとにかく考えてみることにする。
仕事、お金、愛、恋人、洋服、靴、メイク道具、可愛い見た目、身長、体力、知識、寿命、子供、……
たくさんありすぎて長く考え込んだ。
結果友達が先に答えた。
言えずじまいで終わったのだった。
でも、どれも自分から行動しないと手に入らないものばかりであることに気づいた。
それなら、幸運が欲しい。強い自分が欲しい。
作詞:宇多田ヒカル
「誰かの願いが叶うころ あの子が泣いてるよ
みんなの願いは同時には叶わない」