たそがれ
たそがれどき、夕焼けに街が染まっていく
何もかも茜色に溶けていく あの頃と何も変わらない
けれどもう戻れない ただ忘れていくだけ
見ず知らずの子供にいつかの自分を重ねてみる
在りし日の影法師が私には見える
夕日がこんなに真っ赤なのはきっと
苦しみも悲しみも痛みも知っているから
この夕日もいつか沈む
いつかこの気持ちも忘れていく
きっと明日も
つまらない!
俺はびっくりした。
自分の人生のつまらなさに。
毎日同じ事の繰り返しであった。
うーん。このままじゃやばい。
この生活の延長線上には絶対面白くない死に方が待っている
ただ食って寝ての生活、ぜんぜん楽しくない!
きっと明日も面白くないな
俺は急いで考えるより先に家を飛び出した!
やっほー 千里の道も一歩から!まずは行動!
何か面白いのない!? 必死に周りを走る!
何もない!見慣れた田舎である。
このつまんない日常を破壊するミサイルも怪獣もいなかった
どうしよう、せっかく外出たのに!いやまだだ
夕焼けに向かって全力で走ってみる
楽しいな、気持ちいい風を切って全速力で駆け抜ける
空も夕焼けも綺麗だった!
このためにアホみたいに惰性で生きてきたのかも!って
思うくらい綺麗だ!
走ってるうちに……!!!
道の先の先にうずくまってる女の子がいた
その周りに柄の悪そうやつら!
ニヤニヤして女の子に何か言ってる!
いじめっ子…!?
最悪な絵面だ
俺は見ないフリして急いで帰ろうと思った!
今更何もないつまらない部屋が恋しくて仕方ない!
でもそれはカスの思考だった
俺はミサイル!ヒーロー!怪獣!
この世の退屈も悪も滅ぼすぜ!
俺はミサイルを悪の集団に発射するように
この身体ごと奴らにぶつけようと思った!
さぁ着弾の時間はあと数秒だ!
もう避けれねえ!
爆ぜろ悪人ども!くたばれ退屈!
きっと明日はいつもと違うと願って
静寂に包まれた部屋
シーーン
無音だ
何か環境音があるわけでもないし
とにかく目立った音がこの部屋からは鳴らなかった
オナラの音はだせないし
時計のチクタクという音すら鳴っていない
テレビはもう電源がついてない
本当に何もかもがダンマリだった
しかし、俺の耳が聞こえなくなったわけじゃない
唯一聴こえるのは自分の鼓動だった。
バクバクと鳴っているのが尚更ヒヤヒヤする
もっとうるさくなる前に鎮める
今は目を瞑り、精神を落ち着かせる。
平常心を保つんだ。
あれから1時間
だいぶ、緊張がほぐれた
心臓の音は落ち着いていた
あとはこのままの体勢で時間を稼ぐだけだ
でも、いつまで経っても進展がない
しかしお腹が痛いな
あっ…そういえば今日、朝食抜いたんだった
お腹に力を入れて我慢…
ぐぅうううう〜
しまった
目を開けると目の前には
顔が裂けた化け物がいた
やはり音で獲物を感知するタイプだ
別れ際に
もう寝るか
深夜だし
明日もあるし
でもまだ寝たくないな
メモには はやくねろと書いてある。
これは自分が今日朝7時のくらくらでしにそうな
状態で書いた未来へのメッセージだった。
電気を消して横になったら、いよいよ明日だ。
面倒で辛い作業を終えたら
ひとりきりの部屋と一旦お別れ。
もう寝よう。その先は考えない
どうか目よ覚めないでくれ
通り雨
古いバス停で雨宿り
照明がアスファルトに反射してキラキラと光っていました
優しくひんやりとした夜風が私の頬を撫でてくれる
たまに車が路面の水溜りを弾きながら過ぎては、遠ざかる
目の前に広がる景色はぼんやりと霧に包まれる
この雨の匂いが好き
誰もいない ただ静かな雨の音が、静寂が愛おしい
世界でひとりきり この雨をひとりじめ