久しぶりに見る冬服。
この服、あの時も着てたっけ。
記憶も蘇る。
来年は違うはず。

(衣替え)

「ごめん、お待たせ」
珍しく慌てた様子で駆け寄ってきた。

「いえ、待ってないですよ」
「行こうか」
「はい」

いつも通り、手を繋いできた。



左薬指が光った。




(忘れたくても忘れられない)

灯油ストーブは弱めに。
照明は点けないで。窓から入ってくるやわらかな光のみで。
フローリングの冷たさを裸足で感じながら。
ブランケットに包まれて、ホットココアを飲む。
冬の、何もしないと決めた休日。

(やわらかな光)

鋭い眼差しでこちらを見ている。
「そこにあるんだろ？よこしな」とでも言いたげに。

たった今差し上げたばかりです。
ちゅーる。


(鋭い眼差し)

ふたりでカーテンにくるまって、
ヒミツのはなしをしようよ

(カーテン)