もはや朝とはいえない時間まで夢を見て、目を覚ましたらまだ眠くて回らない頭を無理に起こしながら顔を洗う。そのままの流れで冷蔵庫にあるもので朝食の用意をする。今日は1日、何をしようか。こんなに自由に過ごせそうなのも久しぶりな気がして、俺は少しだけのびをした。久しぶりにどこかに行ってのんびりお茶でも飲みながら読書でもしようか。俺がまだ知れてない世界がまだある。夢とも違う、別の人がつくった世界。色んな世界があるから楽しいし、それがずっと当たり前に続いてくれればそれだけで俺は今日もこちらで過ごすことができる。俺の夢に溺れて目覚めないようなことがなくなる。楽しいのはいいことだよな。
『私の当たり前』
綺麗な星空を最後に見たのはいつだっけ。確かもう5年以上も前じゃなかったっけ。どの辺からキャンプとか旅行に行かなくなったのだろう。原因は分かりきっている。生活リズムを完全に崩して殻に閉じこもったからだ。それがある程度治った今でも時々空が真っ暗の時に外に出ることはあるが、いかんせん周りの建物とかが明るすぎてろくに星も見れない。見れてとても明るい星ぐらいだ。いや、最近は曇り空が多くてろくにちゃんとした星空を見れてない。綺麗な月は見た事あるけど。
そう考えていると、おぼろげな記憶にある、綺麗な星空を少しだけ見たくなる。どんな感じだったかすっかり分からないけど綺麗だっていう感動はギリギリ覚えている。
今度少し落ち着いたらどこかに出かけて星空を見に行こうかな。自前のスマホのカメラじゃ絶対に撮れない綺麗な星空を。そう考えるとまたキャンプみたいなこともしたいな。
『星空』
新しいことを知ると僕ってまだまだ知らないことが多いんだなぁって思う。僕達だって何も知らないことばかりで。
知っていることはいったいこの世界のどれぐらいなのだろう。1%未満は言い過ぎかな。でも体感それぐらいな感じがしてしまっている。だって、僕達は過去のこれまでのきちんとした情報も記録する前は全くと言っていいほどないし、未来を見る手段も持ち合わせていない。海の全てを知ってるわけじゃないし、陸をすっからかんにして自分たちが住みやすいように改装して、いくつもの生物をこの世界から居なくさせてしまった。まだ知らない生き物だっていたかもしれないのに。地球のことだけじゃなく、宇宙のことだって今居る地球の周りしかちゃんと分かってない。この宇宙の広さなんて、それこそいつになったら分かるのか。
きっと、全てを知ってるのはこの世界を創った神様だけなんだろう。僕は普段あんまり神様を信じているわけじゃないけど。こればっかりは全てこうなると考えてる生物がこの世界の外から見てるんじゃないかと思っている。
そんな"神様"に聞きたい。
僕達はなんのために創ったの?
アクアリウムでもスノードームでもないこの地球に。
『神様だけが知っている』
ここはとある学園。とても綺麗で小洒落ていて、それなのにとても大規模な__まるで小さな街ひとつ__それでいて、とんでもない高さの建物が数棟建っている。そんな、なんだこれと言いたいほどにすごい学園に俺は中学高校の友達と共に新入生として入学した。そして、自由時間として友達と色んなところを散策していた。友達のひとりが、全部の箇所のパンフレットでもあったのか、知ってるらしく、案内をしてくれていた。とても豪華だった。その階丸々売店になっていたり、図書館になっていたり。なんならゲームコーナーもあった。普通にそこだけで充実した生活ができそうだった。いや、多分できる。お金の心配さえ考えなかったら絶対にそこで満足に暮らせる。
散策はとても楽しかった。色んなものを見て、話して、驚いて。そして解散して最後に俺の部屋に入った。部屋がある建物は完全に寮のような感じでシンプルにたくさんの部屋があるだけらしかった。そして部屋もやはりと言うべきかとても広く、海外のセレブ御用達のような広さで、でもシンプルな部屋だった。物の大きさも大きいが。その部屋のベッド__おそらくキングサイズなのでは?ってぐらい広かった__で寝転がって、これまでの出来事を振り返りながら俺は眠った。俺がほんとうにこの道を選べたのならどれだけ良かったか。もし本当にそんな世界が存在していたのなら。俺たちがそこに行った未来を見てみたい。実際に行ってみて、その生活を楽しんでみたい。
これは、この世界ではない、どこかのどれかの道がこの世界と違えているだろう世界にある学園のお話。
そんな世界を少し前の正月に夢として垣間見た、そんなことを思い出した書き残し。
今はどちらでもいいと思ってる。俺はここでも十分楽しいし、充実してる。でも、当時の俺は今を知らないから、向こうが楽しそうに見えるだろうね。
『ここではないどこか』
君と最後に話したのはいつだろう。もうだいぶ前な気がする。実際に過ぎた時間以上に話せていない状態な気がして、でも、話すにしても何を話したらいいか分からなくて。
その動かないLINEのトーク画面を見つめながら、何を話そうか悩んでしまって。結局また今日も話せないままで。
共通の話題はあるのか分からない。お互いがまた違う道を歩んでいて、もう二度とその道は交わらないのかもしれない。でも、また話したいなぁって、話してた時の楽しさはずっと残ってて。
そのまま今日も、ただ時間だけが過ぎていく。
『君と最後に会った日』