★子供のように★
泣いたり、笑ったり、怒ったり。
喜びや幸せの感情すらも、大人になるにつれ、押し殺す術を身に付けていく。
人前で泣いたら恥ずかしいとか。
人前で激情したら大人げないとか。
人前で飛んで喜んだらはしたないとか。
もちろん、時には我慢も必要。
だけど、子どものように素直な感情を出せたならって思う時もある。
どんな大人だって、子どもの頃はあったんだ。
誰もがみんな、喜びや悲しみを素直に出せる世界だったら、世の中って今とは少し違うものになっていたのかな。
★カーテン★
今でもハッキリ覚えてる。
手術の前の日のこと。
ベッドの上で一人……手術の不安や家族と離れて過ごす心細さで落ち着かなかった、そんな時ーーー
「佑紡希さーん」
聞き覚えのある、大好きで温かな声が私の名前を呼んだ。
静かな病室に、先生の優しい声が響く。
返事を返すとカーテンがそっと開いて……そこには初めて見る、白衣姿の先生が立っていて。
ドクン…心臓が少し大きく鳴ったのがわかった。
あれ…?白衣ってこんなに眩しかったっけ…?
それと同時に、不安で固まっていた気持ちが不思議とほどけていった。
あ……そうか。きっとそうなんだ。
先生。
私あの日のこと、きっと忘れられない。
先生への“信頼”だけじゃない気持ちに気付いてしまった
あの日のことを……。
★涙の理由★
よく泣くようになったな……自分でもそう思う。
大好きな優しい目。
大好きな低く穏やかな声。
大好きな温かくて力強い手。
大好きな……大好きな人……。
近くてとても遠い距離。
出会ってからの沢山の記憶。
だけど、想いは叶わない。
なのに、どんどん強くなる気持ち。
貴方が、どんどん大きく大事な存在になっていく。
今、会えている幸せ。
そう遠くない未来、会えなくなる不安。
涙の理由……
たった一人の人を好きになるのって
こんなにも幸せで、こんなにも苦しい気持ちなんだ
★ココロオドル★
穏やかな声が、鼓膜をそっと震わせる
真っ直ぐ見てくれる優しい目に、キュンと胸が苦しくなる
温かくて力強い手に、ふわりと心がほどけていく
あなたに会える時間
嬉しくて、ドキドキして、少し切なくて……
そう、心が踊る
この想いが
叶わないと分かっていても……
★束の間の休息★
1日の終わり。
ホッとする優しい香りに包まれながら、髪や身体を洗って、少し熱めのお湯にゆったり浸かる。
お供には必ずラジオ。
色んな曲とパーソナリティの楽しいおしゃべりに、時に笑い、時に涙して。
束の間の大事なひととき。