懐い

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9/27/2022, 12:59:57 PM

通り雨






 辛いことも
 嬉しいことも
 きっとぜんぶ通り雨
 新しい色の雨が降っているうちに
 雫を集めておかないとね。
 次にいつ、この色の雨が降るか分からないから。

9/26/2022, 11:31:28 AM

秋🍁



 秋は過ごしやすくて、雲が綺麗なつぶつぶになる。葉が恥ずかしがって、赤くなったり黄色くなったりする季節。

 甘い柿に、うっかりほっぺたを落としそうになって慌てる。秋刀魚のいい匂いが、仄暗い帰り道にいっぱいに満ちる。美味しい季節。

 長い間とっておいた本を取り出して、静かに近寄ってくる月と一緒に読書をする。未知の世界に日帰り旅行をする季節。

 スポーツの大会に心を燃やして、正々堂々と戦う。悔し涙を流す人もいれば、笑顔になる人がいる季節。
 
 なんだか気になる、でもなかなか会話が弾まない―そんな間柄のあなたと歩いているとき、道端に落ちている銀杏をうっかり踏んでしまって焦る。
 だけど―そのことがきっかけで、二人の距離がちょっとだけ縮まる季節、かな。
 
 

9/25/2022, 10:52:38 AM

窓から見える景色



 私の席の近くにある窓からは、中庭が見える。
そこでこっそりお菓子を食べたり、写真を撮ったり、放課後には部活をしたりしている人たちの姿が、私にはよく見える。
 私もそういう、ありきたりな青春を過ごしたかった。
 机の上に書かれた、私に向けての心無い落書きを見つめる。
 きっとこれを書いた人たちは、ありきたりで、無分別で、遊んでばかりの―すごく尊い日々を過ごしているんだろう。
 青春は、必ずしもハッピーエンドにならない。早く終わって欲しい、この長く辛い時間が。

9/24/2022, 10:14:38 AM

形の無いもの



好きで好きで燃える愛、

辛いのに誰にも言えない悩み。

何処かの誰かの笑い声、

何処かの誰かの泣き声。

叶うかわからない大きな夢、

忘れてしまった昨日の夜の夢。

楽しかった記憶、

思い出すと胸が痛む記憶。

どこからともなく吹いて励ましてくれる風、

私をびしょ濡れにする無情な雨。

あなたとの大事な思い出、

もうここにはいないあなたの、優しい笑顔。

9/23/2022, 10:55:45 AM

ジャングルジム



 小学生の頃、校庭のすみっこに黄緑色のジャングルジムがあった。
 よくそこで、寄りかかって友達とおしゃべりしたり、鉄棒のように前回りをして頭をぶつけたり、鬼ごっこをして騒いだりした。
 今思えばとても不思議だ。鉄が組まれただけの遊具が、何であんなに好きだったんだろう?
 その答えを探すために、あの頃よりは「おとな」になった私は、母校を訪ねてみた。



 あの黄緑色の塔は、どこにもなかった。
 ただ静かに、殺風景なグラウンドがあるだけだった。
 あの遊具は消えてしまった。
 同時に、あの頃の私も何処かに消えてしまったのかもしれない。
 今となっては、確かめる術もないが―。

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