#星座
夜空に輝く君は一等星
距離も、大きさも、明るさも、温もりも、
なにもかも敵わないけれど
たとえ何千光年離れてたって
僕は君を見つけるよ
この夜が明けても
君だけは消えないで
#踊りませんか?
ネットとは、姿の見えない仮面舞踏会
嘘のレッテルを貼り
嘘の関係が生まれる
「本当」は部屋の隅にでも隠して
私はこれが好きなんです。
私はこれが趣味なんです。
私はこれが得意なんです。
そういうことを綴るだけで、
自分のことを理解してもらえたって思ってしまうような
その「本当」でさえも創った『嘘』かもしれないのに
なぜか異常な依存性
なぜか絶えない承認欲求
顔を見て言えないようなことでも、
言いやすくなってしまうから
それはきっと、殺人罪
魅惑の煙に包まれて、人々はみな辿り着く
ここは危険な仮面舞踏会
そろそろ一曲、どうですか?
#静寂に包まれた部屋
僕は部屋
少し前に建てられたばかりのアパート
まだ人はいないけど
それでも僕は部屋
ガチャリ
最初に越して来たのは四人家族
小さい女の子と中くらいのお兄ちゃんが一人
学校から帰って、疲れたようすのお兄ちゃん
「頑張ったねぇ」とナデナデする女の子
それを見て微笑む両親
数十年後、すっかり大きくなった子供達は
あまりここに来なくなった
それでも、訪れるたびに笑顔で話していた
次に越して来たのは金髪のあんちゃん
毎日毎日、そりゃあもう酒臭くて、タバコ臭くて…
何度か綺麗な女性も連れて来てたっけ
意外と女性と付き合うのは苦手らしくて
フラれた時にはクッションに顔を埋めて泣いていた
大丈夫だよって言ったんだけど、
ちゃんと伝わってたのかな?
ある日は、眼鏡をかけた男性が来て
カメラを構えながら、「新たな心霊アパートだ…!」
と叫んでた
ちょっとちょっと、人が来なくなっちゃうから
やめてくださいな
__
まぁこれも全部数百年前のことであって
今は誰もこのアパートに住んでいない
僕に残ったのは、静寂の空間だけ
維持費とかもかかるんでしょう?
どうせなら壊しちゃおうよ
だけど家主のおじいさんは、このアパートを見上げては
にっこりと笑うだけ
その微笑みは「温もりはずっと残しておくべき」と
言わんばかりだった
もう何度目の秋晴れが
僕のそばを通り抜けていった
#別れ際に
別れ際に、いつも君は笑う。
どんなに辛い別れだとしても、
それは「さよなら」じゃない
またいつか、この空の下で会えるから
…だってさ。
そんな映画みたいなことを言ってた。
君と離れて一年。
私は空を見た。
もしも、
私が一つ 歳をとるか
君が一つ 若返ったなら
同い年として、ずっと一緒にいられたのに。
淡い妄想、儚い願い
数多の感情を風に乗せて
君のいる空に届けと願った。
#空が泣く
雨が本格的に降り始めた
家から適当に持ってきた折りたたみ傘が役に立った
「くらい」
小学生ぐらいの女の子が
母親の手を握って言った
「くらい、くらい」
2人は歩きながらそう言っていた
確かに周りは暗かった
なんだかこっちまで気分が重だるくなってくる
「はぁ…」
思わずため息を吐いた
すると先頭を歩いていた女の子が駆け寄ってきて言った
「くらい、だめ」
すかさず母親がやってきた
「ごめんなさい」
どうやら外国人の方のようだ
一生懸命、日本語を話そうとしていた
「Ok!Thank you.」
あまり英語が得意でなかった私は
精一杯の言葉で取り繕った
すると彼女は安堵の表情で頭を下げて去っていった
女の子はちらりと振り返り笑った
2人が去った後、私は思った
もしかして、あの子が言っていたのは
『暗い』じゃなくて『Cry』だったのではないかと
ふと空を見上げる
暗い空は少しだけ、笑っているような気がした