花咲いて、君を想う。
幸せを感じる時
思えばいつも隣には、君がいた
花のような暖かさに
何度も何度も励まされた
初めて、「Like」と「Love」の違いを知った
_君がいた場所をいくら見渡したって
君の姿はなかった
失って初めて気づく
「大切」という気持ち
もっと早く、君に伝えられたらよかった
君の笑顔も、泣き顔も、怒った顔も、物憂げな顔も、
全部全部、大好きだよって
愛してるよって
季節は巡る
君はいつまでも、頭から離れてくれない
花が咲くたびに、君に重ねてしまうから。
#私の名前
私の顔を見た途端、
みんなは凍りつく。
その表情は絶望感に満ちている。
本当はみんなと友達になりたいのに。
自分の姿が悪いのかな…?
鏡を見ることすらできない。
頭が重かった。
うじゃうじゃとナニかが動いている。
姿だけじゃない。
名前を言っただけで怯えられるから、
いつも私は正体を隠すの。
さて、今日の方とはお友達になれるかしら?
“こんにちは”
目を開けて、しっかりと相手を見た。
途端に相手は石化したように動かなくなる。
あぁ…また駄目なのね…。
石化する直前、
一瞬だけ合ったその目には
私の姿が映っていた。
私の名は“メデューサ”。
#空を見上げて心に思い浮かんだこと
ベランダからすーっと涼しい夜風が吹いた。
春一番ならぬ秋一番が、半透明色のカーテンを揺らす。
すぐそこに置いてあるサンダルを履いた。
冷たくなった手すりに手を掛けると、
これは子供が落ちないために付けたものだったと
気づいた。
もちろん、子供なんて出来なかったが。
それどころか、夫さえもいなくなってしまった。
今頃何をしているのだろう。完全に縁を切ってしまった私には一生わからない問題だ。
ふと空を見上げる。
私の気持ちとは裏腹に、空には雲一つなかった。
澄んだ空に微かに星が見えた。
それでも田舎に住んでいた時よりかは遥かに少ない。
ネオンやら車のライトやらビルの明かりやら。何やら。
都会では地上の星が邪魔をするからだ。
だか、そんなものよりも
何だか心惹かれた。
少し上をみる。
月が見えた。
今日は満月みたいだ。
手を伸ばす。やはり、届かない。
初秋の星月夜は
私には眩し過ぎたようだ。
嬉しいとか、悲しいとか、そういう感情はなかった。
ただ、もう少しだけこの夜に染まっていたかった。
#終わりにしよう
笑顔の絶えなかった日々も
記憶の小瓶に閉じ込めて
終わりにしよう
涙が溢れた夜たちも
手のひらから捨てて
終わりにしよう
大切な人と共に過ごした毎日も
皆無という錠をかけて
終わりにしよう
全部終わりにしてしまえば
もう苦しまなくていいはずなのに
なんでこんなに虚しいんだろう
#街の明かり
街の明かりが
錆びれた私を映し出す
そっとしといてよ
そんなスポットライトは
もっと若い女にでも当てなさいよ
もう衰えた私はまるでロボットのよう
苦痛を紛らわすため
様々な男に手をかける
結局、
長くても3ヶ月
馬鹿なのは自分が一番分かってる
もうどうしたって
あの頃には戻れない
だから
この夜に溶けてしまいたいのに
あんな薄汚れた街灯が邪魔をする
点滅する電球に
群がる虫たち
……。
あぁ、やっと分かった
あんたも
私と一緒なんだね