子供にはもうなれない。
もう、あの頃のようにはいられない。それでも。
道端の石ころを宝物のように抱え込んだり、学校のプール下を秘密基地にして冒険してみたり。
どれも大切な記憶。大切な思い出。
あの頃のあたたかな思いを忘れぬように、せいいっぱい、笑ってみる。あの頃と同じ笑みではないかもしれないけれど。
子供にはなれなくとも。
こころはいつだって、あの日々を憶えている。
テーマ「子供のように」
退屈な先生のHRの話しが終わって、チャイムが鳴れば、放課後の始まりの合図。勝負しているわけでもなし、それでも競い合うかのように、ダッシュで玄関口へ。ランドセルを脇に投げ捨てて、一目散に、ジャングルジムへ向かう。
到着が遅かった者が、鬼。いつからかできた、わたしたちのルール。終礼のチャイムと同時に始まるわたしたちの自由時間。一日はまだ終わらない。むしろ始まったばかりなのだ。
燃え盛るようなエネルギーで生きている、命の塊。それが、わたしたち。
テーマ「放課後」
今日は天気がいい。窓から差し込む光は柔らかく、部屋の中をほんのりと暖めてくれている。うっすらと遠目に見える木々は緩やかに揺らめいていて、見ているだけで、葉と葉が擦れ合う音が聞こえてきそうだった。
風に当たったら、気持ちが良さそう。天気もいい。風も緩やか。思い立ち、そっと窓に手をかけて、横に流すとカラカラ……と小気味の良い音が耳を擽る。そのあと、優しい風に煽られるようにふんわりと白のレースカーテンが顔を覆うように被さってきた。擽ったくて、自然と顔が笑みを象った。
ああ、やっぱり思った通り、気持ちがいい。ふわふわ踊るレースカーテンと、ゆったりと揺れるカーテン。それに合わせるように波のように揺蕩う日光を視界に入れてから、そおっと瞼を下ろす。視界を隠してしまえば、頬を撫ぜる風がより身近に感じられた。
今日もいい日だ。
テーマ「カーテン」
言語化することに意味は無い。
いま、わたしにとって必要なことだから。
――ただ、それだけ。
理由など。いらない。
テーマ「涙の理由」
楽しんだり、笑ったり。そういったものを、心から行うことは難しい。大人になればなるほど。
もしも、寝食すら忘れて夢中になれるような何かがあるのならば、それはきっととても幸せなことだろう。
それこそ、高揚し、声も上擦り、心躍るような心地に違いないのだ。
テーマ「ココロオドル」