今年の抱負
ばーちゃん!!あけましておめでとう!!お年玉ちょーだい!
こら!たくま!会ってすぐそんなこと言わないの!
まぁ、まぁ、いいのよ。そうしたらターくんこっちおいで。
お年玉くれるの!?
通された部屋には白い長い紙が引かれていた
これなにー?
これはね、書き初めっていうのよ。この黒い墨を筆にとって半紙に書くの
えー、めんどくさいよー!
これを書いてくれたらばあちゃんター君にお年玉あげる。
え!やる!
この紙に今年の抱負を書いてちょうだい
ことしのほーふ?
うん、これからどうやって過ごしたいか、夢なんかを書いてもいいわ。ター君の好きな事を書いていいのよ。
わかった!
ター君と呼ばれた少年は半紙の前に座り、うーんと唸っている。
孫を見守るおばあちゃんは自分の娘にコソッと話しかける
ター君はやっぱり真面目よね。
お母さんも分かる?だらしないけどやると決めたら真面目に考えて真剣にやってくれるのよ。
ほんといい子に育てたわね
そういうなら、お母さんの教育が良かったのかもね♪
ふふっ、
今年もよろしくね
はいよ、たまには顔見せに来なさい
もちろんよ
決まった!
男の子は筆を持ってルールに囚われることなく自由に半紙の上を走らせる。
できたよ!
『たのしくしあわせに!!』
あら、素敵ね
うん!ぼくもうおにいちゃんだからね!いもうととたのしくすごすんだ!!
そう言って少年は自分の母親のお腹を指さした。そこには少し膨らんだ幸せの種が眠っている。
まぁ、いいお兄ちゃんになりそうね。お年玉あげるからリビングにおいで。お餅も食べてく?
食べる!ばーちゃんありがとう!!
新年
もうすぐ年が明ける。
街頭は煌めいてクリスマスの残り香を漂わせている
人混みをぬけて帰路に帰る。見えないどこからが流れるテレビが新年をお祝いしている
皆様今年一年はどうだったでしょうか!もうすぐ新しい1年がやって参ります!
(今年一年ねぇ〜…)
寒さが私を攻撃してきて身震いする。
プレゼントでくれた手袋も意味をなさないほど手はかじかんで
冬が私を置いていく。
忘れてやる
思い出してなんてやらない
後悔させてやる
悩んでると思った?
そんな訳ない
苦しい苦しい私の言い訳
振り返れば今年一年あなた色に染まっている
それでも
それでも
頭の片隅になんて置いてやるもんですか
初めまして新年
今年はどんな風に生きよう!
あなたは去年に置いてきた
1年を振り返る
みかん
コタツに潜ってぬくぬくと暖を取る
しんしんと外ではこと辺りの地域では珍しい雪が降っている
(雪降るとかマジで寒いじゃん…。)
そう思いながらコタツにさらに体を埋める
テーブルに顎をのせて唸ると正面にオレンジ色が広がっている
(みかんあるじゃん♪)
少しルンルンでみかんをとり皮を剥いていく
(お、剥きづらいぞ。なんかでみかんは剥きづらい方が甘くて美味しいって言ってた…気がす…るっと。)
剥き終わったみかんをパクっと一欠片食べる
(あまぁー。)
みかんは甘くて美味しかった。
(コタツにみかんてなんでこんな美味いんだ?)
なんてことない一日当たり前のような常識のような一日
(やっぱり冬でコタツって言ったらみかんだな〜。)
そんな一日が幸せに感じる