田舎に帰るため、汽車に乗る。
走行する汽車の窓から見た景色は、覚えている景色と少し違う。
時の流れは、走行する汽車のように気づいたらあっという間だ。
お土産は、つまらない物だけど大丈夫だろうか?
都会は大変だと、心配して見送りしてくれた。
お節介だなと思ったけど、不安もあって、見送りを照れ臭く思ったことが頭をよぎる。
迎えに来てくれてるのかな?
家で待ってるのかな?
とりあえず、自分は元気だと、笑顔で「ただいま」
朝、目覚めると涙が溢れた。
何の夢を見てたんだろう?駄目だ。思い出せない。
でも、なんとなく覚えてる。
優しくて、暖かい夢。
ずっとそこに居たいって思った。
また、見られるかなあ。
日常は何気なく過ぎていく。今在るものが、ずっと続くと思ってる。
何が起きるかわからない、予測できない日常。壊れてから、失ってから気づく、大切なものもある。
当たり前の形は、人それぞれ。些細なことでも、気づかずそこにあって、いつの間にか当たり前になってる。
「ありがとう」「ごめんなさい」
気持ちを伝えたいって思った時、口に出してみよう。
その一言で、変わるものも、変わらないものも、手が届く距離にまだ在るのだから。
日が暮れて、夜の時間が始まる。
街灯がつき、家に灯りが灯る。
耳を澄ませると楽しそうな会話が聞こえてきそうだ。
歩いていると、カレーかな?香辛料の匂いが鼻をくすぐる。美味しそうだ。お腹すいたな。
街の灯りを通り抜け、家路に着く。
「ただいま」「おかえり」
りん、りん、りん。夜風に揺られて風鈴が鳴っている。優しい風。良い音色。
ふと、見上げた空は星が輝いている。
ぼんやり眺めてると、夏の大三角かな?三角形に結べる星が3つ見えてくる。
あれがこと座かな?わし座?はくちょう座?
後で調べてみよう。
今日は七夕。織姫と彦星は、天の川を渡って再会出来たかな?
私もあの人に会いに行ってみようかな?