『閉ざされた日記』

無限に書けると思っていた

書くことは尽きないと

信じこんでいた

だけど

この頃は

言葉を引き出すのに

ひどく不自由している

私の中身は

有限で

いつか諦め、筆を置く

閉ざされた日記が

２度と開かないように

そのいつかが遠い先であることを

祈りつつ

不安定な日々を過ごしている

『木枯らし』　

私の中に吹く

木枯らしを

抑えていく

いつか

鎮まるから

今だけ

凍えているのは

『美しい』

泥くさい言葉の

真の美しさ

理解しようとして

できなかった

今は

ひと言ひと言

美しい言葉を

泥の中から拾っているところ

あの人を理解するために

『この世界は』

猫の目ほどの

小さな世界

この世界は

言葉で語れば

数行で終わる

その中に

ある花が咲き

愛をうたうという

求める者は数知れず

けれど

花の色さえ

誰も見ることは叶わなかった

宙に漂う小さな世界

花は枯れず

愛をうたう

『どうして』

どうして私、今ここに居るの

どうしてあなた、今ここに居るの

問いの答えは

雪が白く降り積もるように

空が青く晴れ渡るように

当たり前であってそうではない

不思議の中に

たくさんの偶然が織り成す中に

隠れている

私が居てよかった？

あなたが居てよかった

私達は静かに存在して居るの