「今を生きる」 #69

過去がある。
酸いも甘いも、たくさんたくさん。
忘れたいことも、ずっと覚えておきたいことも。

でも、思い出せても感じることはできない。

だから、今だけの特別を味わっておこう。
あなたとの甘さが一番新鮮なのは今なんだから。

「飛べ」 #68

恋しい。会いたい。愛されたい。
あなたへの欲求がいつもより強い今日この頃。
でも制御できていない自分を晒すのは嫌だから、結局何もできないまま終わる。

いっそ、この欲だけが伝わればいいのに。
言葉にできないこの気持ちがあなたのところまで飛んでいって知られてしまえばいいのに。

もしそんなことができたら、あなたは笑うかしら。

「special day」 #67

あなたに恋してからの日々。
あなたと付き合ってからの日々。
specialという言葉が相応しい、素敵な毎日。

続いていても、それが当たり前にならないように。
毎日幸せを噛み締めて生きていくの。
昨日も今日も明日も、special dayだから。

「揺れる木陰」 #66

あなたと私、それからそよ風と葉擦れ。
その声だけが聞こえるところでお喋りがしたい。

あなたのはっきりした低めの声を自然の音が控えめに飾る。
あなたの表情がわからないほどの木下闇で声だけに集中してみたい。

私の全てをあなたに集中させてみたい。

「真昼の夢」 #65

ぽかぽか、うとうと、
午後の日差しがあまりにも心地よい。

ふふ、おはよ。
あなたが隣にいる気がした。

「次の問題を――さん」
先生の声で現世に戻される。
私の隣にいたのはあなたではなく数学だった。