闇の精霊

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10/11/2024, 12:22:19 PM

【カーテン】
窓際に座って優美に紅茶を飲む彼女。艶やかな唇。ティーカップが嫉妬しそうな陶磁器の様に白くて繊細な指。逆光で仕草も姿も何もかもが神々しく見える。
「そんなに見ないでよ。貴方ったらいつもそうね。仕草一つ一つを観察するのの何が楽しいのかしら」
好きだから。愛しているから。
「ふふっ、愛妻家ね。世界一幸せな女の称号頂いちゃうわよ」
風が吹く。羽衣の様に彼女を包む純白のカーテンが彼女をこの世のものじゃない存在に昇華させる。美しい。こんなに美しい存在が実体として存在しているのが夢の様だ。
「筆が進んでるわね。その絵が完成するの楽しみだわ。無理せず描いてちょうだいね。あ、風が強かったら閉めるからね」
あぁ、君の美しさをこのキャンバスに留めておこう。それが矮小なる僕に出来る唯一の事だからね。ほぼ、白のキャンバスに淡い線を引いていく。白に溶け入る君。それがこの絵のタイトルだ。だが、これだけは強い色彩で彩ろう。瞳を真っ赤に塗り潰す。アルビノの君。性格と同じく鮮烈な赤。これがないと君とはいえないからね。キャンバス上の君さえも愛すよ。愛しの君。

10/10/2024, 11:45:32 AM

【涙の理由】
あの…どうされたんですか?あ、話したくなければそれでいいですよ。私は郵便屋やってます。え?確かに郵便屋っぽさはない格好ですけど…この世界の郵便屋さんってそんなにキチンと制服ありましたっけ?ふむふむ…成る程、異世界人さん。そういう方には世界自体が辛いですよね。私から言えるのは死なないだけマシとしか…アハハ…。嘘ついてないですよ。ほら、私の靴に汚れついているでしょう?これ、血液です。そう。そういう世界です。だから、フラれて辛いで悩むのは…分かりますが…それ以前の世界観なので…ハハッ…。ごめんなさい。お役に立てなくて。救われた?ありがとうございます。意外です。これからどこに行くのかって?銃撃戦が行われてなければいいなという些細な祈りが通じればいい場所です。些細じゃない!と怒鳴られましても…。常識は捨ててください。こ、怖かったですか。そ、そうでしたかね…アハハ…ハ。では、失礼します。早く配達しないと。大丈夫、死にませんよ。私が死んだら配達が止まってしまうので。生きますよ。では、お達者で。

10/9/2024, 12:09:34 PM

【ココロオドル】
このタイトルを聞いたら某SDガンダムのOPである神曲が再生されるので投了

10/8/2024, 12:55:30 PM

【束の間の休息】
休みか。久々過ぎてやる事が思い付かない。例え、それが刹那の間でも。目を閉じて、何も考えない。その程度か。休息は休息。隙だと捉えるな。そう言われましてもね。気が休まる気がしない。本当に休みってなんだろうな。え?煙草休憩?俺、煙草嫌い。服に臭い付いたら最悪だから。はー…やっぱり目でも瞑るか。

10/7/2024, 12:09:00 PM

【力を込めて】
あー…これは…。
「何とかしてよ郵便屋さん」
えぇ!?私ですか!?対処出来なくはないですが…。
「アンタしか頼れないべ」
うっ…押しには弱いので…。せーの!

サイバー?っていうのあれ。この辺じゃ見ない格好だけどあの郵便屋はよく見る。最新技術ってスゲーんだな。道塞いでた巨岩を拳で砕くんだもの。だとしてもだ。反動ヤバそう。やっぱり、あの郵便屋自体も強くないか?ん?郵便屋の見た目?気弱な女子だが?正直あの体躯でありとあらゆる場所に郵便物届けてるっての信じられない程にか弱そうだけどね。

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