「わたし...どうすればいいの?」
そう言ってため息をつく親友に、心の中で「知らんがな」と返事をする。
どうせ、何を言ったところで「でも~」とか「だけどぉ」と逆接で返されるに決まってらぁ。
まぁ、理論的なアドバイスやら喝やらは、私の役割ではない。
そのくらい弁えている。
現実的な助言は、どこかの誰かに丸投げして。
「それはしんどいねぇ」
神妙な顔つきで言ってのけるのだ。
これぞ、人とうまくやっていくコツ。
いつか私が愚痴りたくなった時は、頼むぜ親友。
キャンドルって、蝋燭のことだよね?
ゆらゆらと揺れる火を、ボーッと眺めながら、ふと思った。
買い物に行って、軽率にオシャレさに惹かれて買ったアロマキャンドル。
お盆になると、田舎の祖父母の家の仏壇に置かれるソレとは、似ても似つかない。
「アロマ蝋燭」じゃ雰囲気でないしねぇ...「香り蝋燭」とかなら合いそう。
こんなことをグルグル考えてしまうわたしはきっと、オシャレな生活に向いてないのだろう。
彼の後ろ姿は哀愁をそそると評判である。
物憂げな視線、少し落ちた肩、時おり聞こえるため息。
普段やかましく騒いでいる印象が多いせいか、黙っているだけで、注目される。
まぁ、いわゆるギャップ萌えだ。
ただ、黙って佇んでいるだけだというのに。
しかし、私は知っている。
彼との付き合いは、自慢じゃあないが長いのだ。
哀愁をそそるその姿の頭の中は、今日のご飯のことでいっぱいであるということを。
まぁ、そんなこと、わざわざ周りの人に教えてやる必要もないか。
そんなことを思いながら、私は「今晩はカレーライスにしよう」と、彼に連絡してやるのだった。
紅茶の香りがする。
アッサム? アールグレイ? それともダージリン?
よく分からない。だってわたしはコーヒー派だもの。
そんなことを思いながら、私も飲んでみる。
(......うん、やっぱり葉っぱ感がすごい)
君が紅茶好きって言ってたから。
つい自分も、なんて言っちゃって。
無理しなきゃよかったかなぁ...。
でも、カップを傾ける君の姿は随分と絵になる。
見られて良かった。
そんなことを思いながら「おいしいね」なんて、言ってみせた。
合い言葉とかけて、愛の言葉で「愛言葉」
ウマイこと言ったもんだと思う。
まぁそんな甘酸っぱいもの、わたしと君の間にはないのだけれど。
柄じゃないにも程がある。
そう言って笑い合うのも悪くないよね。