『雲』

あのひとに　告白した日　は晴天
だったから今　晴れは苦くて

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告別の　時を抜け出し　離陸する
雲のむこうに　おもかげを見る

『ありがとう』

濡れた道　歩く時間は　冷ややかで
戸を開け妻が　寒くなかった？　

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日々のこと
を綴る手紙
を読みたい
理由は君の
景色見たいから　

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風を抜く　はやさのままで　愛犬は
空に旅立ち　話す間もなく　

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亡くなった　無数の人の　一切よ
沈黙の間で　耳を傾け

『優しくしないで』

『触れないで』　涙の君が　うつくしい
あなたにそっと　ニチニチソウを

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だいじょうぶ？　撫でることばが　かなしくて
あなたがひとり　帰る家なら

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浸かれない　あなたのやさしさ　持ち帰り
夜のタクシー　一心不乱に　

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渡された　封筒の口　しわしわで
ありがとうとは　言いたかったよ

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だいじょうぶ　言い切る背中　5回目の
一本の道　ランドセル往く

『カラフル』

鱗から　降るカラフルな　粒のなか
きみに手を振る　殻の舟で


色のない　空が泣く日に　華やかな
スカートが舞う　完全な恋　


好きな色　ばかり使うの　仕方ない
だってあなたを　描くのだから


キャンバスと　対峙ができず　24時
あの純白　がわたしを刺す　


指先に　ついた邪悪さ　キャンバスに
塗りつけるとき　神が笑った　

『楽園』

父と母　引いて歩く　小さい手
ねずみの国は　晴天の先