#11 【愛されたいがゆえ】
自分のやることが、意味をなさないことだと
わかっているのか?
わかっているのか?
否、わかっていないな
自分は願っているだけの、存在だということを
わかっているのか?
わかっているのか?
否、わかっていないな
私はゴミを丸める
それを、信じている
私はそれでもゴミを丸める
それを、信じてしまっている
#10 【美しい】
三寒四温の、胸の中
流るるままに あなたを思う
あなたを思うたび 春を思い浮かべては
あなたに会えないと 雪は舞う
美しいものをみるたびに
こころの中で あなたを思う
桜を見るなら あなたと共に
寒さをしのぐなら あなたの腕のなかで
三寒四温は、胸の中
今宵は春を まちぼうけ
#9 【この世界は】
きっとこの世界は、気付かず通りすぎるだろう
僕が 言ったジョークも
僕が 花を愛でたことも
僕が 電車の中で 屁をこいてしまったことも
たとえ僕が、それを一日考えても
きっとこの世界は、忘れてしまうのだろう
僕が でしゃばったことも
僕が 悲しいニュースに泣いたことも
僕が コーヒーを 白シャツにこぼしたことも
僕にとっては、悲しいことでも
きっとこの世界は、笑い飛ばすのだろう
この世界は、そういうものだ
#8 【どうして】
「どうして?」
なんて、じぶんでも分からない。
でも、それはきっと必然的
「どうした?」
赤えんぴつが落ちて、折れた。とおもう
「どうして?」
音が、きこえたから。でも、ただそれだけ
「どうする?」
ただ、拾えばいい。こたえは、下にある
でも、おもった。どうしても。
下をみなければ、こたえがあるなんて
そんな"じじつ"は、「ない」かもしれない
「どうして?」
赤えんぴつは、浮いているかもしれない
赤えんぴつは、まん中から、折れたかもしれない
「どうした?」
だけれども、こたえの"じじつ"は、なくとも
赤えんぴつがある、という
"じじつ"は、かわらない
「どうする?」
拾うことに、するだろうね
「どうだった?」
なかった
「どうして?」
なんて、じぶんでも分からない。
でも、それはきっと必然的
#7 【夢を見てたい】
ふわふわと
ゆめからさめた
ふわふわと
あなたにあいたい
ふわふわと
ゆめみごこち
ふわふわと
"あくむ"にひたる
ふわふわと
あなたのこえ、におい
なでる、かんしょくが、のこって…
『あいしてる』
あぁ
ずっとこのまま
夢を見てたい
ふわふわ、と
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#7.5 【酔生夢死】
ガチャ
心配のため息は、安堵にかわった
部屋中に、ふわっと漂うお酒とタバコ
「はぁ、酔っぱらいめ…」
「そういじけた顔すんなよ~」
ぷくっとふくれる火照ったあなたの顔
「ただいま」
暖かくて角張った手で、ふわふわ、と撫でられる
「…おかえりなさい」
きょうも、『あいしている』
その言葉は、わたしの命綱だ
この、タルタロスの奈落のような世界で
A.どうしてこの世は、生きづらくなったのか
Q.人類は今、これまでの
「夢の代償」を払わされているからだ
戦争による惨劇
AI擬似問題
不祥事
夢心地にひたる、ふしだらな人間に
怒ったハデスは裁きを下した、のだろうか
突然、深淵に投げ込まれた人類は
必死に、もがき、苦しみ
自分たちの楽園を探したが
とうとう、その窮屈で不安定な世の中に
耐えられなくなってしまった
誹謗中傷
自殺者数の増加
フェイクニュース
それらは、煙のように立ち込め
青い空を覆い尽くし
いつしか、人間は、抗うことを放棄した
そんな世の中だから、正義感に溢れた貴方が
徐々に、壊れてしまいそうで
恐ろしいのだ
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暗く、淡い月の光が刺す部屋には
心臓の鼓動だけが響いていて
逆光に照らされたあなたは
今にも消えてしまいそうなくらい
ぼんやりと儚く、私の目に映った
「どうしたの?」
見つめる瞳は、淡いグレー。
その目に、私が写っていることが
何より嬉しかった
わたしの心は今、嬉しさと不安のトルネードで
入り乱れている
「なんでもないよ」
途端、あなたは私を抱き締めた
その、37℃の体温に全てを覆い尽くされる
「…泣いてるのに?」
ゆっくりと、わたしの背中を愛撫する手
近づく鼻息、揺れる黒髪
ゴツゴツした優しい肌
甘く囁くあなたの声
鼻腔にトロリと残る、タバコの匂い
涙が溢れるほどに安心する
あなたのぬくもり
あぁ、おねがい
離さないで
離れてしまえば、
あなたがどこかに
いってしまいそうだから
宇宙のように、手を離したら
もう二度と、会えなくなってしまいそうだから
あなたがいるなら、価値あるものは
なにもいらない。
あなたがいるなら、
こんな世界を無視して、
気持ちのいい朝を迎えられる
あなたがいるから、わたしがいる
このまま、酔生夢死のごとく
深く、あなたに、酔うように生きて
夢心地の中、溺れるように、死にたい
『あいしてる』
たとえ、それを、世界が許してくれなくても