私の日記には
楽しかった事、嬉しかった事
読み返せば顔が綻ぶような
幸せな思い出が書き連ねてある
誰が見ても幸せな私がそこにいる
嫉妬 悲哀 憤怒
激情が蔓延る私の心は
誰にもバレないように
誰にも気付かれないように
深く深く底に沈めて、固く鍵をかけて閉ざす
"幸せな私"に見えるようにと
偶像だけでも繕うの
クラスに一人はいただろう
一年中半袖半ズボンで
みんなに讃えられていたあの子
きっとあの子の自己満足に過ぎない
見る人が見ればただの阿呆だと思うかもしれない
経過はどうであれ、大正解だ
だってこんなにも一人の人間の記憶に残っている
木枯らしの吹く季節になると、思い出しては考える
風邪をひいていないか、と
私の机の引き出しは
波に揺られて丸まったガラスの破片
桜色の貝殻
道端に転がっていたBB弾
ラムネの瓶から取り出したビー玉
学校の帰り道に蹴り続けた小石
お菓子のおまけについていた指輪
校庭の隅で見つけた四葉のクローバー
なんて事はない、使い道もないのに
どれも美しいガラクタで
素敵な思い出が詰まってる
酷く疲れた
ずっと走り続けてきたせいだ
真っ直ぐ走り続けてると周りが見えない
いくら休んでも、上がった息を整えるのに必死で
いつまで続くのだろう
雑草だらけの道をいつまで走り続けるの
誰に許してもらいたいのか
もう、歩いて寄り道をしていいのかもしれない
もっと周りを見て、好きな事を見つけて
自分らしくいていいのかもしれない
この世界は誰のものでもないから
何故あなただったのか
だからと言って
他の誰かがなんて思えない
どうして どうして どうして
何度も何度も考えた
いくら考えても分からない
運命の一言で片付けられるのか
答えはきっと永遠にでる事はない
ただ、心に仕舞ったはずの感情が
ゆっくりと溜まっては、静かに溢れ出す
できる事なら、もう一度逢いたい
あなたの存在を、体温を
確かめるように抱き締めていたい