十分生きました。
意外に良い生涯を送れたのではないでしょうか。
軽風に髪をなびかせながら歌う黄昏の空の色をした瞳の君へ。
もうすぐ隣に行くよ。
太陽と同じくらい眩しい希望を持って黄金の空から飛び立った。
_____そういえば、人生の最盛期を過ぎることをたそがれ、というそうです…
今日は花葉色の空でした。
鮮やかな赤の彼岸花が引き立てられるような黄金色でした。
明日も花葉色の空なのでしょう?
深い赤色をした彼岸花が揺れた_____
きっと明日も。
きっと明後日も。
いつまでも。
冬になるまで。
彼岸花が一つ残らず枯れるまで______
黄金色の彼岸花が揺れた!
昨夜、私は泣いていました。
静寂に包まれた部屋でひとり。
なぜなら声を殺したからです。
今夜、私は泣いています。
静寂に包まれた部屋でふたり。
なぜなら君を殺したからです。
明夜、私は泣くでしょう。
静寂に包まれた部屋で。
なぜなら自分を殺すからです。
翌朝、私は笑みを浮かべます。
静寂に包まれた部屋でふたり。
なぜなら__________________。
なぜでしょうね。
笑みはどの感情も表せられると言うでしょう?
別れ際には笑い合おう。
少しの笑みと何かを期待するような視線を送ったわ。
何も言わずに。ただ。
その『ただ』の笑みと、『ただ』の視線が
あなたの心を揺さぶると…
____私は知っているから。
別れ際に接吻なんて少女漫画のような事はしないの。
笑みだけの会話…それでいいの。それがいいの。
オトナ特有の歪みのある『恋』もいいじゃない_______?
…という夢を見た中学生であった。まだまだ子供。
別れ際には好きと言うよ。
少し曇り気味の晴れの日。
私は体育館裏に彼を呼んだ。
彼の答えはご察しの通り。
その瞬間雨が降った。
ありがとう。
おかげで瞳の中の通り雨が誤魔化せた。
本当は通り雨のように「好き」って気持ちは過ぎ去っていくものなのだけれど。
馬鹿だなぁ。私ってやつは。