君に憧れなどもうない。駄目なところも、それはどうなんだよと言いたくなるところもあるのだが。
君はもう美しい景色の中の一人ではなく、隣にいる人だからついつい許してしまう。あ、今日は普通に怒るからね。
【愛情】
いやいや気のせい気のせい。
わざわざ離れなくてもこっちにその気はないし。
ない、よね……。
【微熱】
太陽の下、君の黒い瞳に光が当たり薄茶色く輝いた。
そんなに明るい目をしていたのか。この人の目を死んだ目なんて、誰が最初に言い出したのだろう。
こんなにも綺麗なのに。
【太陽の下】
おさがりのセーターを着ているあの子を始めに、わざと大きいサイズのセーターを買う子が出始めた。
あの子の「おさがりだからちょっと大きいんだ」が可愛いかったのであって、それが「大きいと可愛く見える」に変わり、おさがりセーターから、現在の、彼セーター、オーバーサイズ流行りとなったのである。
なんて捻れたきっかけありそうだが真相はわからない。
今振り返ると、わざと一号大きい制服を着た、卒業アルバムの私は、巨女でしかない。肩幅はあってなく不自然で、セーターも襟が開いていて肩幅が広く見えて、スカートから出た足の太さは何もごまかせていない。
今は、リクルートスーツをぴったりのサイズで着たり、ロングスカートをウエストはぴったり締めて広げると、隠れた足は、太ももより細いウエストに合わせた細さに想像で補われる。実際より綺麗な体型に見える。
マスクをすると理想の顔に想像され良く見える現象と同じだ。
不勉強で、親の意見も聞かなかったのだ。
あの頃の私はとにかくぴったりと体型を見せたくなくて体育祭も文化祭のクラスTシャツもLサイズを頼んだ。
おいおい、彼氏いなかったけど彼氏と同じか下手すりゃ彼氏より大きいサイズになるじゃねえか。
【セーター】
人間、落ちていくのは簡単です。
生きていくほどそれがわかる。
【落ちていく】