日記
私の趣味は寝る事である。今日もひたすら寝て過ごす。誰とも関わらず、誰かに傷つけられる事も無く、ただひたすら寝て過ごす。皆が仕事や学校に行って帰ってくる最中にも私はパジャマのまま布団にもぐり、寝て過ごす。仕事はしない。たまに喫煙する。夜はニュースを見る。でも余りにもつまらないのでまた寝て過ごす。誰からも邪魔はされない。月に一度病院に行く。その時が唯一の遠出である。音楽を聴く訳でも無い。ゲームをする訳でも無い。ただひたすらカーテンで締め切った薄暗い部屋の中で寝て過ごすだけである。頭の中をリラックスさせて休めているのである。風呂には入る。歯も磨く。洗濯もする。掃除は…たまにかな。月に1度市役所と保健所からケースワーカーが訪問に来る。その時は応じる。アパートの大家さんも様子を見に来る。その時も応じる。今日も私は寝て過ごす。明日も、明後日も、寝て過ごす。
本格恋愛小説「君と僕。」最終回。
ある時西浦沙織とメールをしている時にうっかり他人の悪口を打ってしまった。ウケるかなと思って春樹のマネをして「宮林のババァ…」と送ったら大激怒。弁解の余地も無く別れる事となった。私は立て替えてもらった自転車のお金1700円を握り締め駅へ行く事となった。
岸谷「…他に返すお金は無い?」
西浦「…無い!!」
岸谷「…ありがとうございました。」
…とあっさり振られてしまった。
周りに女子高校生や男子高校生がクスクス笑う中私はドラマの様にあっさりと振られるのであった。………終り。
その数日後、彼女と2回目の映画館デートをする事となった。最初は「探偵はBARにいる」と言う大泉洋主演の映画にしようと思ったが私のわがままで「神様のカルテ2」に急遽変更になった。映画の内容はと言うと…。ウ~ン難しい…今回もハズレであった…。映画の後に2人でカプリチョーザで食事をした。私はピザ、西浦沙織はパスタであった。自転車が壊れたと言うと彼女のお母さんの車に乗っけてもらい街中の自転車屋さんまで運んでくれた。何から何までありがたい、本当に気が利くお母さんだと思った。お金も立て替えてもらった。このまま幸せな日々が続くと思いきや……。
その数日後私は西浦沙織のお母さんと挨拶する事となった。お母さんはとても優しくこんな俺でも優しく迎え入れてくれた。偶然お父さんと同じ誕生日であった事もあり、お父さんとも気さくに接してくれた。ファミレスで映画の話になり「…好きな映画は?」と聞かれ、適当に「アマデウスです。」(モーツァルトの映画。)と答えると握手してくれた。「…他には?」と聞かれると「海の上のピアニストです。」と答えると又もや握手してくれた。西浦沙織は二つ共知らなかった。ハナミズキを観に行ったと言うと最後の鉄道模型のシーン憶えてる?と聞かれて「ハイ。」と答えると「…それだけ憶えてれば十分。」と言われた。そして私はカレーを食べた。「カレー好きなの?」「いや…。」と曖昧な答えで終わった。余り音を立てずに食べれるかなと思った私なりの配慮である。
ついに西浦沙織を自宅の寮のアパートにお持ち帰りする事に成功した。「…ゴム買いに行く?」と私が言うと照れくさそうに、「岸ちゃん行って来て。」多分二人で薬局に行くのが照れくさいんだろうなと思った。私は一人で薬局へコンドームを買いに行った。途中近所の人がザワつかせていたが気に止める事も無くそそくさと部屋へ戻った。…そして、西浦沙織はファサッと服を脱いだ。…その次の瞬間!!私は雷に打たれたかと言う面持ちであった。なんと言う造形美!!…美しさ!!小振りな乳房。水泳で鍛えたしなやかな身体。…まるで彫刻か絵画を眺めているかのようであった。イヤそれ以上である。非の打ち所が全く無いのである。いつも観ているAVとは比べ物にならないのである。いつも見ている動画は小さ過ぎるのである。これなら何時間観ていても飽きないだろう。それくらいであった。今まで何十人と女性を抱いてきたが彼女が断トツ1位なのである。私はこんな人を口説いてしまったのか…。恐れ多くて気を失いそうであった。…そして…。上手くいったようだ。そしてそのまま二人は熟睡してしまった。