もう一生袖を通す事は無いと思っていたから、花嫁のれん館の存在を知った時は心が躍った。
七尾駅から徒歩8分、花嫁のれん館では「花嫁のれんくぐり体験」ができる。
加賀の婚礼時、花嫁が持参したのれんを嫁ぎ先の仏間に飾りくぐるという伝統行事だ。
ちなみにこの体験では白無垢を着ることができる。
相手がいなくても、せめて写真一枚くらいは撮っておきたかった。
が、
加賀への旅行計画を立てても私がこの花嫁のれん館へ足を運ぶことは無かった。
一度目はコロナ禍
二度目は能登半島地震
どちらも臨時閉館。
災害の前に一人間の瑣末な願望が何だと言われそうだが、それでも少し残念ではある。
次こそは。
そう思っているが、もし三度目も同じように逃したならもう怖くて白無垢は一生着れないだろう。
世界系ヒロインかよ。
◼️無垢
人生を旅に例えるなら
このペンはパスポート代わりね
これさえあればどこにでも行けるもの
そしてこっちの分厚い手帳は地図
君にはある?
自分だけのパスポート
目的地はもう決まってる?
何を見つけに行く?
旅の装備は?
どんな靴を履いて行く?
いつ出発する?
誰と一緒に行く?
今、どこに居る?
わかってると思うけど
この旅は君の人生を超える
君がこの世界から消えてからが本番だ
君の残したものは誰かの
心に、人格に、魂に溶けて
時代を、歴史を
緩やかに下って旅を続けていく
どこに辿り着くのか
見届けることはできないけれど
次生まれてくるときに
地球の裏側で出会うかもね
とりあえず切手、渡しとくね
旅先で可愛いポストカード見つけたらさ
送ってよ
◼️終わりなき旅
今日もまた
心にもない謝罪をしてしまった
どんな業界でもあるあるなんだけど
代理謝罪させる仕事の
多い事多い事
この仕事長く続けてると
サイコパスみたいに言われるけどさ
別にそんな事ない普通のOLですよ
一歩引いて話を聞いて
申し訳なさそうに謝ってあげるだけでOK
だって私は悪くないんだもん
他人事だもん
凄いな私
テレビでよく見る女優より
私の方が演技上手いじゃん
そして今日も企業の代わりに
スーパー怒髪天のお客様に
謝ってあげるのだ
「大変申し訳ございませんでした」
◼️「ごめんね」
少し出遅れた衣替え
ビシッと決まる重厚なコートや
抱きしめたくなるくらいふわふわのセーター
攻撃力高めのブーツetc…
君達とは一旦お別れ
それから夏のベストメンバーをお迎えする
収納ケースを開けると
鼻をツンと刺す樟脳の匂い
一年ぶり。
IQ高見えブラウスに
ユニオンジャックのTシャツ
深い青の贅沢フレアスカート
白のプリーツスカート
真っ赤なバレエシューズ
ミントカラーのバッグ…
今年も私を最高の場所に連れて行ってね
忘れられない夏が来るよ
◼️半袖
そらもう、阿鼻叫喚よ
Twitterとか見ない?
あぁ、ごめん、旧Twitterね
今はXだっけ
「書けない/描けない」ってさ
あいつら勝手なんだ
書いてる時は血反吐吐きながら頭抱えてのたうち回ってるくせにさ
書いてなきゃ書いてないで
自分で自分の存在価値をナイフで滅多刺しにしてくの
どっちを選んでも地獄ってこと
天国なんてホントは無いのかも
さて、
今日この時、君は選択をしなければならない
君は老いた
もう後がない
それでも君はこの先を見に行くの?
▶︎ 行く
やめておく
◼️天国と地獄