スリルとサスペンスの人生だ、明日が来るのか来ないのか。
それさえも解らない状況に追い込まれると、人は思い掛けないエネルギーを出す。
今日も又、明日は来るのか来ないのか?
本当にスリルとサスペンスだ、そんな状況の中でも生きている実感が有るのがご飯の時だ。
敵も味方も、森や林から出てきて車座に座りご飯だ。
今日は、川で取れた鮎を焼いている!
素晴らしい鮎だ、だがアイツに焼けるのか敵も味方も目を離さずに見ている!
あ~スリルとサスペンスのご飯の時の開幕だ。
ベッドにゴロゴロしていると、祖母からラインが来た。
何してるの?寝てるって、伝えると。
今日はいい天気よ、散歩して来たらとライン。
行きたくない理由を、ダラダラ伝えると。
一言返ってきた、散歩行くよと!
窓の下から声が、行くよ〜と。
飛行機の距離の祖母が、窓の下に居た。
車椅子の祖母が、鉄の翼に乗ってやって来た!
仕方ないなぁ〜、跳べない翼を畳んで飛べる翼に替えて散歩に行くかぁ〜。
ススキを取って来てって、母から頼まれたのでテクテク歩いている!
周りは全てススキだ、自分より遥かに大きいススキの林の中に居る。
カサカサ、カサカサと風に揺れるススキの中で一番立派なのを刈る。
抱えて帰ると、立派なのを刈って偉い偉いと褒められる。
ススキは、懐かしい様な寂しい様な複雑な物だ。
もう誰も褒めてくれないし、一緒にお月様を見てくれる人も居ない。
でも、お月さまは変わらずに居てくれる。
電信柱の陰で、刑事ドラマの様に身を潜める。
鉄の階段の有る、古びたアパートの一角凝視している母。
下から見上げる母は、今迄見たこともない余所の女の人だった。
幼い私には予想も付かない出来事が、起こっているのだけは解った。
私の手を握る兄の手が、小刻みに震え雨粒が落ちて来る。
今思えば兄の涙なのだろう、母は兄を見て静かに歩き出した。
脳裏に浮かぶ、兄の記憶はそこで消えている。
意味がない事なんて無いよ。
何でも経験していると、何かの役に立つし人間の幅が拡がる!少し歳を取ると、咄嗟の時に機転も利くし動揺しなくなる。
色んな人や、色んな仕事そして色んなしなくて良い経験!
あっ!有るか意味がない事、理不尽な扱い意地悪な事。
腹の立つことも有った。でも、今は思い出になってる。
意味がない事って、二通り有るよね!本当に意味がない事と、後からジワリとわかる事。
あ~人生は深いなぁ〜