人間は光と闇の狭間で生きていると思う
たとえば真っ赤なひとつの林檎
一見するとおいしそうな赤の宝石
でもころっと見方を変えれば、
それは血生臭い歪な心臓
とにかく人間は不確かで危うい存在である
人間は揺らぎ、絶え間なく変化する
だからどんな善人も凶悪殺人犯になれる
光と闇の狭間をゆらゆらと彷徨う私たちは
どうやったら光の中で生きられるのだろう
数々の哲学者たちが考えた
そして考えたまま死んでいった
でも私はもう知っている
単純明快な私の解
あなたがいれば、そこは光である
『光と闇の狭間で』
近いような遠いような、あなたとの距離
きっとあなたにとって私は特別
でも恋愛とは違うのかもしれない
考えても仕方がないことを
悶々とずっと、考えている
今日も銀杏の蝶々が降る公園に自転車を停める
2人で並んで座ったベンチの約30センチメートル
縮めてもいいのかどうなのか
そこのところ、早く教えてよ
『距離』
愛してるよ
だからもう、泣かないで
『泣かないで』
お互いの為に別れる
相手のことを尊重したように見せる便利な言葉
そういうのが一番気に食わない
私の為を思うなら私がシワシワのお婆ちゃんになるまで、最後まで、連れ添って欲しいのに
私は今も君が好き
そんな言葉で終わらせないで
『終わらせないで』
19歳 誕生日の夜
バイトから帰ると冷蔵庫にあったホールケーキ
私の大好きな苺がたくさん乗っていた
その苺たちを掻き分けるようにして
真ん中に飾られた大きなチョコプレートが
機械的な冷蔵庫の光に照らされていた
父とは高校生の頃から口を聞いていない
原因は些細なことから始まった大喧嘩
頑固でひねくれた性格はあいにく父娘そっくりで
時間が経つほど私達の距離は遠くなっていっていた
"19歳の誕生日おめでとう”
バイト連勤で疲れてたからかな
なんの捻りもない言葉だったけれど
愛情に殴られたような感情で、泣けた
『愛情』