一輪のコスモス


幼いふくふくとしたあなたの手に握られた一輪の花がひどく鮮やかだったことを今も覚えています
綺麗でしょと見せてくれた君の笑顔がとても愛しかったことも
全部過去になりましたね

秋恋


これは確かに恋で、君はまるで秋のような人でしたね

愛する、それ故に


あなたを突き放してしまったね、
私たち来世でなら上手くやれるだろうか
そんな信じてもいない空想話で盛り上がったこと
そのときあなたがほんの一瞬見せた寂しそうな横顔
きっと地獄の底まで持っていくよ

静寂の中心で


君はただ、僕の手を握っていて、
それから静かだね、と一言言った
ぼくはそれに、うんと返しただけで
二人はそれっきり黙っていた
あの静寂の中でだけ二人は確かに温度をわけあっていて、
それだけで、
そして、僕は君のいない静寂に取り残されてしまって

moonlight


たまにはブルーライトじゃなくて月の光でも見なさい、と
あなたが連れ出してくれた夜に見た光が一番美しくってさ
もう戻れない気がするんだ今更だね