駄作製造機

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2/11/2024, 11:35:57 AM

【この場所で】

俺は人を殺した。

衝動的な怒りからだった。

だってアイツが悪い。

アイツが、アイツが俺の彼女と浮気してたから。

彼女も一緒に埋めてやった。

だって彼女に見られたから。

そして憎かった。

あんなやつと一緒に寝て可愛い声で喘いでる彼女が、途端に汚く見えて。

気がつけば、手と服をベットリと血で濡らして、ピクリとも動かない2人を見下ろしていた。

『、、え?おい、おい、、起きろよ、、』

彼女を揺すっても、ただ虚しく死後痙攣が起きるだけ。

『ど、、どうしたら、、、』

何処かで声がする。

"隠せ。隠すんだよ。"

『な、何言って、、警察に、いや、救急車、、』

"違う。隠せば何も起こらない。行方不明になるだけ。お前はただ、恋人と親友を亡くした孤独で可哀想な被害者。そうだろ?"

そうだよ。だいたい、アイツらが俺を裏切ったのがいけないんだ。

アイツらが悪いんだ。俺は悪くない。

"ああ。そうだ。お前は何も悪くない。いいか?遠くの山の林にそいつらを捨てに行くんだ。お前は隠すだけ。死体遺棄じゃない。隠すんだよ。"

『ああ、、わかった。』

これは誰かの声じゃない。俺自身の心の声だ。

俺は2人をブルーシートで包み、血痕を綺麗に特殊な薬剤を使って跡形もなく消し去った。

そこから車に乗り込み、親友がよく山登りで行っていたという竹林に2人を埋めた。

なかなかにハードな作業で、俺は顎に伝う汗の感覚を感じた。

『っふー、、ったく、大変な作業だった。』

親友と元カノが埋まっている部分を見下ろし、唾を吐いてやった。

『ゲス野郎どもが。』

そう吐き捨て、隠す作業は終わった。

そこから、俺は泣き真似と警察の事情聴取のための質疑応答の準備をした。

あくまで警察を怖がっている一般人の様に。

どんな質問をされても、思い出しながら答えられる様に。

万が一を考え、事情聴取のシュミレーションをしていたので、警察が家に来た時も落ち着いた一般人の対応ができた。

『やけに落ち着いていますね。聴取をされるのは日常的なのですか?』

『いえ、、実はものすごく緊張してます。警察の方を見ると、悪いことをしてなくても緊張するものなので、、』

『ははは、、そうなんですか。それで、、11月6日の午後7時ごろ、何処で何を?』

途端に今まで柔和な雰囲気の刑事の瞳孔が鋭くなった。

『はい、、実は、彼女に浮気をされていて、、その場面にちょうど遭遇したんです。それで俺、めちゃくちゃ腹が立って、2人を半裸のまま追い出しました。』

『殺したのではなくて?』

一瞬、心臓が跳ねた。

相変わらず刑事の瞳孔は鋭く、俺の心の中を見透かしている様だった。

"落ち着け。いいか?極めて冷静に、お前はやってない。
一般人だ。親友と彼女を失った可哀想な被害者だ。"

そうだ。落ち着け。

『な、何を言ってるんですか?俺が殺したと思ってるんですか?!』

心理学の本で読んだ。

殺人の疑いをかけられた時、犯人は笑い、無実の人は怒る。

殺人犯はこんな感じ。

『ははっ、殺すわけないじゃないですか。酷いな。』

無実の人はこんな感じ。

『殺すわけないだろ!!』

みたいな。

それで俺は怒るを選択した。

だって、、無実だから。

『すみません、、』

隣にいた相棒の刑事に小突かれて、刑事はしおらしく頭を下げた。

『いえ、、刑事さん、2人は俺のせいで行方不明になったんでしょうか、、?俺が怒って2人を半裸のまま追い出したから、、』

目に涙を滲ませ、顔を伏せ、鼻を啜る。

『そんなに気に病まないでください。2人は我々が責任を持って見つけ出します。』

刑事の同情した声が頭の上から降ってくる。

これで、、大丈夫。

『はい、、必ず、必ず2人を見つけてください、、』

"上出来だ。相棒。お前はよくやったよ。"

刑事2人は泣いている(泣き真似をしている)俺を残し、殺人現場であるこの場所を出て行った。

パタン、、

車の走り去る音を聞きながら、俺は大きく脱力した。

『ふ〜、、クックックッ、、バカな奴らだなぁ。まったく、、せっかくの殺人現場であるこの家に入り、何もせずに出て行くなんて、、ハハハハハッ俺は!この場所で!この場所で2人を殺したんだ!!アハハハハハハハハハッ!』

2人が血を流して倒れていた場所に寝転がり、床に染み付いている血の匂いを嗅ぐ。

"相棒。念には念をだ。死体を埋めた場所を見に行こう。"

そうだな。

5時間かけて、あの竹林に着いた。

埋めた場所を見つけ、少し掘り出してみる。

『ん、、?』

そこに2つ分の死体はなかった。

『は、、?もう、もう見つけられたのか?』

マズい、、冷や汗が吹き出した。

俺は周りを見回し、また土を見下ろした。

ふと、俺の真上に何かの影が降りている。

上を見上げれば、、
腐敗した2つの死体が、竹に打ち上げられて空高く昇っていた。

『、、、』

"焦ったな。さぁ、竹を切り倒してさっさと埋め直そう。"

ああ。そうしよう。

腐敗した死体をもう一度埋めるのは、至難の業だった。
『はぁ、、ったく、、死んでも迷惑かけんなよっ。』

そこらへんの竹を蹴る。

竹が振動で揺れ、葉がガサガサと俺の罪を隠す様に揺れる。

『ハハッ、、また来るよ。この場所に。』

俺はこの場所を一生忘れないだろう。

何てったって、俺の大事な親友と彼女がいるんだから。

2/8/2024, 1:59:18 PM

【スマイル】

Smile Smile!


私は貴方の笑顔が好きだった。


流暢な英語でにこやかに笑う貴方は、いつも私の前を照らしてくれた。


貴方の好きなものは何でも知ってる。


レモン、虹、白い花。

雨が屋根を打ち付ける音、車が道を走る音。


貴方はとても感性豊かで、私に新しい刺激をくれた。

でも、貴方に悲劇が訪れた。

最初に目が見えなくなった。

そこからはいろんな器官が停止していった。

耳、痛み、声。

全てを失っても、貴方はまだにこやかに笑って私を病室へ招いてくれた。

『どうしてこんなに呑気そうなの?もうすぐ死んじゃうんだよ?!』

私がそう言っても、貴方は変わらずの笑み。

『だって、、死ぬんなら笑顔がいいでしょ?』

貴方は優しく私の頬を伝っている涙をそっと拭ってくれた。


『君が17歳になるまでは死なないよ。』

そんなことを言っていた貴方は、その4日後に帰らぬ人となってしまった。


急激に体調が悪くなり、心臓の機能が停止してしまったのだ。

私はもちろん悲しんだが、貴方の両親も悲しんでいた。


貴方は変わらずの笑みで、棺の中で眠っている。

私は貴方の唇にそっと口付けをして、冷たい頬に触れた。


『おやすみなさい。』


一瞬、彼の笑みが深まった気がした。

ーーーーーーーーーーーーー
第一志望合格しました!!!
だからなんやねんってなるけど!

2/7/2024, 10:36:27 AM

【どこにも書けないこと】

みんなは本当の私を知っているだろうか。

もちろん、このアプリの中から得られる情報は少ない。

私はただの小説を書くのが好きな受験生。

今日は面白いテーマが転がり込んできたから、私の本性を此処に残そうと思う。

私は発展していない県の発展してない田舎町に生まれた。

親は父が保険の先生。

母は医療データ入力の仕事をしている。いわゆる事務員。

姉とは年子で、私は中3、姉は高1。妹とは2歳離れている中1。

いたって普通、、喧嘩が絶えない5人家族。

でも私は、妹や姉などの性格とは違い、少し変わっている。

きっかけは友達の発言からだった。

『〜ちゃんって、優しいよね。』

この一言により、私は自分が優しい人間だと自覚する様になった。

更に、私は自分優先で物事を考えるタイプだ。

何事にも自分を優先し、人が困っていてもそれより大事な事があるならばそちらを優先する。

まぁ、、おおまかに言えば偽善者。

優しい私、可愛い。

助けてる私、可愛い。偉い。

とことんクズだと思う。

人と付き合った時だって、茶化されるのが嫌いで、相手の気持ちなんて考えずにさっさと振った。

人と話してても、どれだけ仲がいい人でも、親友でも、心の中では悪態をついている。

でもそれは言わない。

言ったら私は1人になる。

それは私のためにはならない。

1人心の中では悪態を吐き、その人を見下す。

それが私の密かな趣味。

これが誰にも言えない事、どこにも書けないこと。

友人が誰かの悪口を言ってても、私は『ダメだよ〜そんなこと言っちゃ〜』と冗談混じりにやんわり注意する。

何故かって?

決まってるじゃない。

可哀想な子を助ける私に酔ってるから。

私は私が1番可愛い。

この話がウソかホントか、、信じるかは貴方次第。

これからも私の書く小説をよろしくお願いします。

2/6/2024, 11:31:58 AM

【時計の針】

それは突然の出来事だった。

私はあまりにも急な出来事だったから、一瞬時間が止まったかの様に動けなくなった。

でも、人々の騒ぐ声、何処かが壊れたのか水が入る音、そして、、赤いランプが回る警報。

『っまずい、、』

私はシーザールルス船の船員。

主にお客様の健康状態を把握する医者の位置ではあるが、これでも一端の海兵だ。

すぐさま白衣を翻し、客の誘導に向かう。

『落ち着いてください!今状況を確認次第避難誘導を開始しますので!!』

パニックになる客達を落ち着け、最上階のレストランに集める。

『船長。』

私は難しい顔をしている船長に駆け寄る。

『うむ、、動力部分が何かで壊れてしまった。避難しなければ、あと1時間後には沈没するだろう。』

現代の技術が進んだ航海ならば、安全だとたかを括っていた。

私が船に乗り続けて初めての事故。

私は1人でに、唾をごくりと飲み込んだ。

動けない者、怪我をしている者の処置をしながら、足腰が悪い老人達から順番に誘導していく。

『大丈夫ですよ。さぁ、みなさん助かりますからね。』

優しく笑いかけながら、あくまで落ち着きを見せる。

『あの、、あの!息子が、、私の息子がいないの!』

誘導していた列の中に、1人の女性が割り入ってくる。

『、、わかりました。息子さんの服装と年齢を教えて
ください。』

情報を教えてもらい、もう水がかなり上がってきている下の階へと降りていく。

『ナシェット君ー!!返事をしてー!』

壊れたところから入ってくる水の音で、何にも聞こえない。

『、、、』

海水も膝まで使って白衣が濡れる。

何とか白衣を庇いながら、客室へ向かう。

『ナシェット君ー!!返事してー!』

『うっ、うぅ、、助けて!』

鳴き声と共に、子どもの声が聞こえた。

耳に意識を集中させると、その声はクローゼットの中から聞こえている。

水の水圧で開かなくなってるので、力技で壊してナシェット君を抱える。

彼の巻き毛っぽい金髪がキラキラと照明に反射して、彼はまるで海の王子トリトンの様だった。

『さぁ、、行こう。』

濡れてない白衣を彼に着せて、腰まで来ている海水から逃れようともがく。

『お、、お姉ちゃん、、僕達、死んじゃうのかな、、』

『だい、じょうぶ、、だよ、きっと、助かる。』

男の子を抱えながらの水中移動だからか、いつもの倍疲れる。

『っはぁ、、、はぁ、、』

やっとレストランに着いた頃には、もう甲板にもうっすらと水が浮かんでいる状態だった。

そして、どんどん船尾の方から沈んで行く。

『上に行こう。きっとお母さんもそこにいる。』

男の子をしっかり背負い直し、上を目指す。

でもそこに、彼の母親はいなかった。

先にボートに乗ってしまったのだ。

幸い、乗客のみんなはボートに乗っている。

残っているのは私と男の子と今出ようとしている最後のボート。

『、、、すみません、私はいいのでこの子を乗せてもらえませんか?お願いします!!』

上半身を折りたたむ勢いで頭を下げて、男の子を預ける。

『え、、?お姉ちゃんは、?』

『私は大丈夫。さぁ、行きな。』

泣きじゃくる男の子を促し、ボートを強制的に落とす。

『最期も一緒だ。シーザールルス。』

私が子どもの時、この客船、シーザールルスが航海を始めた。

初めて見た時、シーザールルスはとても凄みがあった。

圧倒されるほどの大きさ、そして何より、一室一室に拘った部屋。

私は一気にトリコになってしまい、さらにはこの船に船員として乗りたいと願う様になった。

願いは叶った。

シーザールルスの始まりと同時に、私の時計も動き出したのだ。

そして今、シーザールルスは終わろうとしている。

船長が何かを叫んでいる。

私は船長及び船員達に敬礼をした。

思い切り、心からの敬礼を。

『船長!今までお世話になりました!私はこの船が大好きです!この船と共に、私の人生は始まり、この船と共に今!人生を終えます!』

そして船は暗い暗い海底へと、沈んで行く。

海底は暗く、光を通さない。

船は時が止まったかの様にずっと海へ眠っているだろう。

私はシーザールルスが寂しくない様、一緒に沈んでいこうと思う。

『さぁ、、一緒に逝けば、怖くないよ。』

木製の甲板を撫で、私の時計の針も止まった。

引き上げられるその時まで。

私はシーザールルスと共に。

2/3/2024, 10:53:27 AM

【1000年先も】

突然だが、俺はゾンビだ。

ゾンビとは、何らかの力で死体のまま蘇った人間の総称である。多くはホラーやファンタジー作品などに登場し、「腐った死体が歩き回る」という描写が多くなされる架空の存在である。

そう。架空の存在だった。

近年、発達しすぎた医療の対価として、死して尚動き回ってしまうゾンビが生まれてしまった。

それが本州を中心にどんどん肥大化していき、遂には日本全土を飲み込むほどになってしまった。

ゾンビの特徴は見た目によらず、かなりある。

1・音楽が好き。どこかで音楽が鳴れば、みんな踊り出す。俺でも何でかはわからない。ただ、本能的に踊らなきゃと思ってしまう。

2・人間を襲う。これは多分、人間が放つゾンビにしかわからない匂いが原因だと思う。

3・動いているものに注目してしまう。車や電車、慣性の法則にのっとって動いているものに注目する。

4・頭が弱い。考えが単純で騙しやすい。これは脳も破壊されているからだと考える。

その他もたくさんあるけれど、大々的なのはこれくらい。

俺はゾンビ化して5年のまだまだピチピチゾンビ。

他のゾンビ達にも話しかけてみたけれど、俺の言語は理解できてないのか、頭にハテナを浮かべた様な顔をされて何故か哀れみの顔を向けられた。

まぁ、、細かいことは気にせず、俺は死んでも自我があり、喋れるという事実があるだけだ。

あいもかわらずゾンビ達はダラダラ歩いて、音のする方へ寄っていく。

人間の生き残りはいないとは思うが、これから俺達は1000年、2000年と生きていくだろう。

だって頭を攻撃されない限り死なない生き物なのだから。

でも、、、これから1000年も生きていくにあたり、障害がある。

暇すぎることだ。

俺はゾンビ化する前、音楽を嗜んでいた。

自慢できるほどの腕ではなかったが、音楽をすることは楽しい。

音楽は何世紀も前から人類の心を満たして幸せにしてきた。

ゾンビが何故音楽が好きからわからないが、俺は死んでも音楽が好きだ。

そう自分語りを垂らしていたら、俺の中であるアイデアが閃いた。

『ゔぁ!おんがぐでゾンビだぢをよろごばぜるごどがでぎればべいわになる!』
(音楽でゾンビ達を喜ばせることができれば平和になる)

これが出来れば、俺はゾンビ初のミュージシャンになれるんじゃないか!

そこから、俺の努力が始まった。

マイケルジャクソンの様にエレキギターを持って、、、
指が腐ってるから1つ弾けばボロボロ崩れる。

まずは指の補強から始めた。

そこから、自分の生前の知識をフル活用し、音楽設備を充実させた。


いよいよ本番。

この大勢の観衆(ゾンビ)達を喜ばせるため、俺はエレキギターを構えた。

ジャーーーン!!

奏でるはロック。

伝えるは情熱。

俺は今から、お前らのメシアだ!!

ーーーーー

歌い終わった。

やりきった、、、

ぱち、、パチパチ、、

『ゔおおおおおぉ!!!』

『ああああああ!』

目の前には、熱狂したゾンビ達。

喜んでいる様で、俺に向かって手を振ってくれている。

『ゔおおおおおおおおおおおおおおお!!!』

俺は1つ、ゾンビらしい雄叫びをあげた。

これからも、ずっと、ゾンビと音楽と共に。

俺達は生き続ける。

1000年先も、2000年先も。

地球が滅びるまで、空気が存在し続けるまで。

永遠に。

大好きな音楽と共に。

そして俺は、歴史に類を見ない、ゾンビのミュージシャンとなった。

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