【この世界は】
嗚呼、、風になりたい。
今の私の心情だ。
受験勉強、受験生としての自覚、面接の練習。
何もかもが初めての経験であり、何もかもが不安に感じる。
受験勉強、受験勉強、受験勉強。
毎日毎日そればっっかり。
私の心は徐々にすり減り、遂に泣いてしまった時もあった。
でも、どれだけ不安に思って怖い怖いと言っていても、結局入試の日は来るし、合否発表もある。
だから今、明日の自分に自信を持てる様に努力を重ねよう。
小さな事でいい。
何か一つ、明日の自分に自慢できる様な事をしよう。
そうしたら、その世界は少し色がつく。
私がつけていく、私だけの世界なのだから。
さぁ、君も、明日の自分に誇れる様に。
不安だけれど一歩を、踏み出そう。
世界に色をつけるため。
思いつかないし受験生だからしばらく書くのやーめよ
【逆さま】
世界を逆さまに考えてみよう。
全てを逆さまにしよう。
人は四足歩行で歩き、動物は人間の言葉をしゃべる。
車は空を飛び、飛行機は地底を進む。
水=火となり、火=水となる。
、、、、ちょっと意味わからないよね。
つまり、何もかもが逆になった世界を想像するということ。
そうしたら、君はどう感じる?
放課後の教室。
辺りには気配がなく、まるで真夜中の学校のよう。
茜色の夕日がさす教室に、スラックス姿の男子が2人。
1人は椅子に座り、学級日誌を書いており、もう1人はチャラそうに机の上に座り、日誌を書いている男の子の手元を見ている。
『どうって、、別に何とも思わないよ。いいんじゃない?逆さまになっても。人間は順応する生き物だから。』
そいつはニコと笑い、机から降り日誌の俺の前に来る。
『お前、、いいやつだな!』
満面の笑みで俺を見る。
俺は無心で日誌にペンを走らせる。
昔から表情を読みにくいと言われてきたが、毎回自分でも自分の表情筋を疑う。
『、、別に、僕は自分の考えを述べたまでだし。でも、何で急にそんなこと聞いてきたの?』
途端に黙り込むそいつ。
誰もいない教室に、俺のペンが走る音だけが静かに聞こえる。
『それは、、その、、』
何か言いにくい雰囲気を感じとり、俺はペンを置いて俺を見下ろしているそいつと目を合わせる。
『あ、、え、、と、、、』
そいつは目をキョロキョロと泳がせる。
『何?』
急かすと、観念したように頭をガシガシかいて真面目な顔で俺と目を合わせた。
『俺、、ゲイなんだ。』
は、、
声こそは出なかったが、口がだらしなく開いた。
『そ、、か。』
それだけしか出てこなくて、頭が追いつかなかった。
ゲイ。
保健の授業で少しだけ習ったが、ゲイは男の人が好きな男の人のことだ。
俺はその辺に理解はあるが、自分はそうじゃないから実感というか、本当にいるんだという感情だ。
『、、、引いた?』
『、、いや。ちょっとビックリしただけ。お前はお前でいいと思う。』
そいつは嬉しそうにはにかんで、俺を見つめる。
その目は、何だが情熱的だった。
『俺、お前が好きだ。』
次は驚きはしなかった。
薄々勘づいていたから。
時々向けられるその情熱的な瞳。
俺と話すと楽しそうな声のトーン。
俺は親友の方が強かったけれど、そいつは恋愛の方が強かったらしい。
『うん。』
『俺、、これだけ言いたかった。いつも俺の話を受け止めてくれるお前が好きだ。否定もしない、肯定もしないお前が。頑張りを認めてくれるお前が。好きだ。』
でも、、さすがの俺でも自分の感情は感じ取れなかったようだ。
そいつとは、長く親友をやってきた。
親友がゲイでも、何でも俺は受け入れる。
例え、俺が親友としてそいつを好きでも。
恋愛的な感情にならなかったとしても。
これからそうなるかもしれないから。
お前とこれからも一緒にいたいと思ったから。
見た目によらず、人の細かいところまでよく見てて、良い褒め方をしてくれる。
俺の大切なやつだよ。
『こんな俺、、キモいよね。ごめん。』
立ち去ろうとするそいつの手を、咄嗟に掴む。
振り返るそいつの顔は、夕日のせいか茜色に染まっていた。
『俺、お前がゲイでも、お前が俺のこと好きでも、受け入れる。これからも、ずっと一緒な。』
『っ、、、うん。ありがとう。俺、やっぱお前好きだ。』
『少しずつ、お前のこと知って、好きになっていきたい。お前の気持ちは届いたから。』
『おう。』
その日。俺の中で世界はひっくり返った。
いとも容易く、逆さまに。
【眠れないほど】
いつでも君の無事を祈る
ご飯の時も、お風呂の時も、食事の時も。
布団に入ったら、君と過ごした思い出を脳裏に浮かべて。
朝起きたら、今日も君を思うと誓って。
歩いていても、頭の中は君ばかり。
今日は話せるかな。
今日の君の服はなんだろう。
君は今日楽しく過ごすだろうか。
どんなことをしていても、たとえ明日世界が滅んでも。
眠れないほどに君に夢中で、君を愛してる。
【夢と現実】
今日、憧れの先輩に告白した。
ずっと好きだった。
彼は勉強ができて、体が弱い。
でも、、そんなとこも好きだ。
告白して、OKをもらった時は舞い上がって喜んだ。
先輩からはしゃぎすぎって、笑われたけれど。
明日から、先輩と登校。
四角い縁無しメガネが似合う先輩。
とってもかっこいい私の彼氏。
『楽しみだなぁ。』
ハンガーにかけられた制服を見ながら、先輩の顔を思い浮かべて口角が上がるのを感じた。
ーー
次の日。
ピンポーン、、
『真鶴〜来たよ〜』
このポヤポヤした声は、!
『先輩!』
大慌てで玄関へ向かい、ドアを開ける。
『慌てすぎだよ。ほら、髪ボサボサ。』
くつくつと笑いながら私の絡まった髪を手櫛で直してくれる。
『す、すみません。今準備して来ますね。』
奥の洗面台に引っ込み、もろもろ準備をしてからドアを改めて開けて鍵を閉める。
『はい、お待たせしました。』
『ん、行こうか。』
手を差し出され、恐々と握る。
先輩の手は、とっても温かった。
『んふふ、、夢じゃない。』
『うん、夢じゃないよ。』
夢じゃない。
夢じゃ、、、ない。
ーーーーー
『せ、、んぱい、、』
意識が覚醒して、無機質な白い天井が見える。
『夢、、?』
体を起こせば、自分の部屋。
立てかけてある写真には2人のドレス姿の大人。
『先輩?先輩!』
ベッドから降りて慌てて部屋から出る。
『先輩っ!』
瞬間、香ばしい匂いが鼻をつく。
『ん、もう先輩じゃないよ。今は、君の旦那さん、、でしょ?』
エプロン姿の先輩、、今はもう大人になりきってしまったが。
『ああ先輩、、』
よかった。
そう思いながら料理中の先輩の腰にしがみつく。
『どうしたの?今日は甘えたさんだなぁ。』
『んーん、、変な夢見ただけ。』
『ん、そう。変な夢。もしかしたら、、これも、夢かもね?』
ぐらり。
また視界が反転し、目の前が真っ暗になる。
ーーー
『はっ!!!』
起き上がると、ベンチの上だった。
『ん、起きた。』
『せ、、先輩。』
ベンチから起き上がる。
此処は、、バス停のベンチだ。
朝の時間帯らしく車通りが多い。
『大丈夫?学校お休みする?』
『いえ、、大丈夫です。行きましょう。』
次こそは、、夢じゃない。
暖かい先輩の手をキツいくらいにギュッと握った。
ーーー
『彼女は今、夢と現実がわからなくなっています。』
僕の愛する彼女は、今笑いながら寝ている。
時々僕の名前を呼びながら。
『ねえ、、目を覚ましてよ。真鶴。僕寂しいよ。』
冷たい彼女の手を、僕の温かさで包む。
握り返してくれる彼女はいるけれど、彼女の隣は現実の僕じゃなくて、夢の中の僕だ。
『、、、覚めてくれ、、』
涙がポツリと彼女の頬に落ちた。