あなたの大切なものは何ですか?
断捨離をしていると、何でこんなものを買ったんだ?てものが出てくる。
今はなんでこんなもん?っておもうけど。
当時は大切なものだったんだ。と過去の思い出が蘇る。
その走馬灯に少し心が揺らぐけど、今日は心を鬼にして昔の思い出と向き合う。
思い出させてくれてありがとね。
でも当時は当時、今はもっと大切なものがあるはずだから。
私は今から余計なものはこそぎ落として
スーパー大切なものばかり人間になるんだ!
そう考えつつくだらないなあって微笑む。ふふ。
そんなこと言いながらも、明日から新生活。
頑張らなくちゃね。
毎年思うが、新年度とエイプリルフールはどうして同じ日なのだろう。
起源はよくわからないけど、新年度だから嘘ついていいって理由でもないわけだし、たまたまなのかもしれない。
でもだからこそ、今日のあれこれが嘘なのかマジなのかわからなくなるだけで。
「推しの新番組始まります!」
あ、これは前から言ってたしマジ
「あの作品のマスコットキャラのスピンオフがアニメ化!?」
これは明らかに嘘でしょ
「あたし引っ越すから」
という友達からのメール……これはどっちなの?
幸せになりたい。
それがあの人の口癖だった。
モテたいだとか、お金が欲しいだとか普遍的なことではなく、もっと抽象的な話だという。
あの人は何か不満なことがあるのだろうか。だが、私にはそうは見えなかった。
地位も名誉も金も申し分ない。
だが、平々凡々。
あの人の語る野望は、なんだがそんな世界から逃げ出したいように見えた。
私は平凡な世界で生きるのが幸せだと思うけど。
本当は好きなのに、何気ないふりをして誤魔化すのに慣れてしまった。
素直に好きって言えればいいのにな。
ファンファーレが鳴る。
白い鳩が飛び回り、人々が口々に祝福する。
魔王を倒した私たちは、街の人々にパレードとともに歓迎された。
勇者は王様に感謝され、美しい娘を貰うのだ。
そう、きっとこれはハッピーエンドなのだろう。
だけど私の心は、ちっともハッピーエンドじゃない。
結局魔王軍と人間はお互いの正義をぶつけ合っただけで、和解の道もあったのではないか、と魔法使いの私は思うのだ。
何が正義なのだろう。
何が正解なのだろう。
それもわからないまま、物語は筋書き通りのように進んでいく。