私にとっての正義は、時に誰かの悪となる。そんなことは散々聞いてきたし、わかっているつもりだった。
私は確かに周りの人と比べると、何かと行動は遅いし、よく失敗する。でも、それは私の成長に必要なもので、私にとっては正義だった。
でも、皆にそう受け入れられることじゃなかった。皆が見たら、私はただの駄目人間、つまり悪だ。
そんなことないって言ってくれるのはほんの数人だけ、私の大好きな仲間。
でも、そんないつも明るい君も、みんなのことを考えられる君も、私の大切な君も。
周りから見たらきっと「いい人」なんだろう。
善悪に縛られない方が楽なのに、気にしている私が一番嫌い。私にとっての「正義」も「悪」も、きっと私なんだ。
桜吹雪が綺麗だ。暖かい陽射しが窓から差し込んでくる。こんな日のことを「春爛漫」などと言うのだろう。
桜の植わった並木道。桃色の絨毯の上をゆっくり歩くだけで心が安らぐ、気がする。
いつもは空いている隣町の森林公園の駐車場も、こんな絶好のお花見日和には空きがなくなってしまうと聞いた。桜は毎年咲くのに、これまで多くの人に愛されているのか。少し羨ましい。
毎年冬を乗り越えて咲くのに例え、合格を「サクラサク」なんて言う。今年、咲いたサクラ達が春爛漫の今日、新緑の季節を夢見ているだろう。
卒業式に、友達と指切りをした。
これからもずっと友達でいよう、どんなに離れても友達でいよう、と。
お互い全く違う道を選んだけど、指切りをしたからずっと忘れずにいられる、そう信じて。
指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます。
ゆーび切った。
昔からよくした、約束の時の決まり文句。
それに拘束力はなくても、きっと二人なら平気だよね。
これからもずっと、約束を守ってくれるよね。
最近、何もかも上手くいかない。何も無いところで転ぶような感じで、とにかく何をしても変なところで失敗してしまう。
私ってダメだなぁ、と落ち込んだままとぼとぼ家に帰るため、電車に乗った。
電車に揺られながらぼんやり座っていると、橙に染まった空と大きな夕日が見えた。
沈む夕日を見ると、なんだか少し元気になってきた。
きっと上手くいかなくたって大丈夫だ。明日がんばろう。明日がダメでも、きっと明後日もがんばれば大丈夫だ。そう思うと、少し肩が軽くなった気がした。
電車を降りて、駅のホームを出ると、一番星が輝いていた。
君の目を見つめると、吸い込まれてしまいそうだ。
大きな黒い瞳は、心なしか潤んでいるように見えた。
君も私の目を見つめ返した。なんだか繋がっているような気がした。
お互いの心の中は見えなくても、見つめ合うだけで気分などが何となく分かる。
「今日、何かあった?」
「あのねー」
君の瞳が潤むときは、君は決まって何かを隠している。でも、私は隠し事はなるべく聞かないようにしている。きっとそれが一番、君を傷つけないから。
きっと君も、私の隠し事、聞かないでくれるから。
話せるようになるまで、待ってくれるから。