もう何度目かわからないこの病室
彼が体調を崩したときは
必ずと言ってもいいほどこの病室だった
周りは建物ばかりで殺風景だけど
時々目覚める彼と
病室から見る夕日がとても綺麗な病室
〈病室〉
私が見ている世界なんて
きっと鳥かごみたいなもんなんだろうな
〈鳥かご〉
彼が入院してたとき
病院の花壇とは別の場所に1輪の花があって
それはまだつぼみだった
彼はずっと目を覚まさなかったから
病院に行くたびその花を確認するのが
日課みたいになってた
花を見つけて一週間くらいたった頃かな
あの花がとってもきれいに咲いていた
私が育ててたわけじゃないけど
とっても嬉しかった
その後、彼の病室に行ったら
目を覚ました彼がベッドに座っていた
あの花みたいにきれいな笑顔で
「おはよう」って
〈花咲いて〉
もしもタイムマシンがあったなら?
そうだな
彼が倒れた日に戻りたいな
体が弱かった彼は
「疲れたから少し眠る」といって寝てしまった
側にいたんだから、そこで気づいてあげればよかった
彼の意識がなかったことに
このときは、彼と同じチームの人が意識がないことに気づいて病院や車の手配をしてくれた
喉を締め付けられるような恐怖が私を襲った
「もっと早く気づいてあげれば」
「彼になにかあったらどうしよう」
「私のせいだ」
いろんなことが頭の中を巡って
私はただ手を握って声をかけることしかできなかった
彼は本当に危ない状態で、面会もしばらくできなかった
退院はなんとかできたけど激しい動きは控えなくちゃいけない
彼は「手握っててくれてありがとう」って言ってくれたけど
私は未だに彼が眠るのが怖くて仕方ない
このまま起きなかったら?意識がないことに気づける?家だったら私しかいない
眠るときは彼の鼓動を聞いていないと安心できない
タイムマシンがあるのなら、あの日に戻って
彼の鼓動を聞いてあげたい
〈もしもタイムマシンがあったなら〉
貴方の視線の先には
僕の姿はないのだとしても
恋は何もかも変えてしまう
僕一人を見つめてほしくて
僕は貴方を愛しているから
〈視線の先には〉