君と見た景色は
いつかの盆踊り
二軒隣のおばはんが
文庫結びで華やいで
知らんおばんと
大はしゃぎ
アラレ音頭で
んちゃちゃっちゃ
んなわけあるかぇ
あほぬかせ
言うてたそばから八郎が
いっこも帰ってけえへんと
嫁はん探して右往左往
くそ餓鬼どら猫
蹴飛ばすもんで
呆れてしもうた
おじゅっさん
どたま抱えて
去んでもて
うどんも
よう喉通らんそうで
えらいこっちゃな
さもありなん
そしてあんたと
キッスして
美しかったな
アセチレン
あの子がほしいと
しまいまで
指されずじまいの
六歳児
おててつないで
さいぜんまでは
行きつ戻りつ
はしゃいだに
今やこのざま
バスの車庫
ひとりぼっちで
誰も来んわな
降りそな空が
ねずみ色
団地のあの子も
帰ったろうな
よそのおうちの夕飯時の
オレンジ色が
匂い立つ
なつかしいのか
うれわしいのか
うらめしいのか
うらやましいのか
濃くなってゆく
ねずみの空に
だんだん
泣きたくなってくる
花いちもんめ
花いちもんめ
あたしはだあれ
ここはどこ?
這いつくばって
みたのだけれど
穴ぼこだらけの地面には
昨日も明日もないじゃない
原田芳雄にほだされて
駅のホームで
万歳と
もろてを挙げて
見送れば
駅舎の長が
許すまじ
それみたことか
さて逃げらんと
ズックの紐を
結んでみれば
これぁ昨夜の
カンピョウじゃ
どうにもうまく
染みらんで
なくなく夢を
捨てちまつた
汚れつちまわない
そのうちに
怖じけづかずに
去ってけ
たてお
くらくらだいすき
大倉の
白い器を
べらべら舐めて
じゃらじゃら痛えな
ラング・ド・シャ
らんらんまなこに
ボンタン狩られ
今日子も順子も
ないわいな
ワイもワイもと
神楽をあげれば
たっとい神さん
ホイサッサ
でんでん太鼓の
カタツモリ
堂々巡りの
とぐろを巻いて
ドグラマグラの
夢の久作
柱時計を
ぶぅーんと鳴らせば
ここはどこかえ
わたしゃだれかえ
そこのお宮を
お百度参りゃ
背中合わせに
お前がおった
叶わぬ夢が叶わぬと
思い知ったは
小五の春か
あれからいったい幾年月
灯台守にはならないが
精一杯に着飾って
カルメン故郷に帰ったか
ハバネラの歌
爪弾けば
赤子を抱いたマキちゃんが
ねんねんころりよ
おころりよ
ピンピンコロリと
義母が逝き
たしなめられた
ミニスカートを
新聞回収で
捨てるかな
泣いてくれるな
おふくろさん
とらやの羊羹
買うて行くべや
許してちょんまげ
蒸らして餅米
明日は果たして正月か
そうかと思うて
黒豆炊いたに