大荒れの時化の中で船を操舵する。
私の人生はいつもそうだ。
耐え難い試練があるか、凪で一休み出来るか。
いつかはどこかに辿り着くのだろうか?
ここまで考えて気づいた。
目標を持たずに海に飛び出している事に。
そうだ理想郷を思い描こう。
それがこの航海の目標だ。
長引いた打ち合わせを終えて客先を出た時には、すでに日は落ちかけていた。
自社に戻るのは定時を少し過ぎた時間になるだろう。
少し寂れた喫茶店が目に入る。
とりあえず、一息ついて議事録だけでも纏めよう。
会社に直帰の連絡を入れて、その喫茶店に入る。
店内は古いが清潔感はあり、客もまばらだ。
案内された席に座り、コーヒーを注文する。
パソコンを開いて、打ち合わせメモから、議事録をまとめていく。
ほどなく、注文したコーヒーが運ばれてきた。
良い香りに誘われて、口をつける。
琥珀色の液体がゆっくりと胸に染み込んでいくのを感じる。
張り詰めていた気分が解きほぐされいく。
ふと、店内のBGMが耳に入ってくる。
あぁ。。。なんだ。知っている曲だ。
あなたが夢みていた大学や、就職先では無かったかもしれない。
あなたが望んだ業界や、職種ではなかったかもしれない。
こんなはずではなかったと悩み抜いて、悔し涙を流す夜もあるかもしれない。
もう自分には何もない。
何も築けなかったし、夢も希望も若さも全て失ってしまったと考えてしまう日もあるかもしれない。
それでも悩んで、悩み抜いて、
もう一歩も動けないと思っている自分を。
明日は右に、明後日は左に運んでみよう。
行き止まりばかりかもしれない。
それでも細い道が見つかることがあれば
あなたのもう一つの物語が芽吹いてくるから。
暗がりの中で目を覚ます。
アラームはまだ鳴らない。
まだ、時間はあるはずだ。
忌々しい今日がまた始まる。
この後、重い足を引きずって会社に行く事になる。
今日、顔を合わせるメンバーを順に思い出す。
最初の作業は何で、どんな段取りで、何時までに誰と調整が必要か。
あっ。あいつ、今日、テレワークやんけ。
朝日が登ってきた。
今日も一日頑張ろう❤️
ここはセイロン。
セイロンの朝は早い。学校は特に。
日中の気温が上がりすぎるためか、
朝の7時には始まり、昼過ぎには終わる。
帰宅するとシャワーを浴びる。
外を歩くだけでびっくりする程汗をかくからだ。
部屋にはホットシャワーもあるが、
今は乾季が続き、ダムの水も少ないため、
電気代がかさむ。
水シャワーで充分だ。
シャワーが終わる頃に大家さんから声がかかる。
大事なお茶の時間だ。
お湯は充分に湧いているようで、やかんから湯気が出ている。
ここに真っ白な砂糖を大匙で、1杯。2杯。3杯。4杯。。。もう数えるのは辞めよう。
そして、輸入品の粉末クリープを1杯。2杯。3杯。4杯。。。まあ、同じくらい入れる。
ダストと呼ばれる茶葉をこの砂糖ミルクで濾して、我が家のミルクティーの出来上がりだ。
紅茶の香り?何それ?