『風に身をまかせ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『馴染む』
風に身を任せるように生きれたら、どれだけ楽なのだろうか。この世は簡単の連続でできていると勘違いできるぐらい簡単に思えるのだろうか。
人生は難しい。ハードすぎてもう生きていけないと感じられるぐらいに。
今日吹く風は、冷たい。なら、明日吹く風は暖かいのだろうか。日頃、吹いてくる風は、同じだろうか。◯月1日分用の風、◯月2日分用の風とストックがあるのだろうか。
世の中は、疑問で、できている。もし、自分にとって最善の生き方が見つかったら、この世界に馴染めるようになるのだろうか。
なるようになる
というよりも
なるようにしかならない
今が幸せでも、一寸先は闇かもしれない。
今の地獄は、奥深く達観できた私にしてくれるもの。
色即是空 空即是色っていうじゃない。
ふわりふわりと流れよう。
私自身が常に風となる。
目を閉じて
すうっとゆっくり息を吸って
大好きな空の中へ自分を入れて
ゆっくりゆっくり生きよう。
ガチガチの現世が幻。
自分丸ごと小さなものたちは
ただただぼんやり眺めてればいいよ。
妹は膠芽腫グレード4変異型。
浸潤性の脳腫瘍で、変異型は純粋な膠芽腫に比べると予後は良い(長い)とされている。
執刀医の先生から「再燃(再発)まで4年半持ちこたえられるよう出来る限り切除した」と言ってもえらて、もうすぐ8月で丸4年。
沢山の人から「先のことは分からないからずっと元気に生きるかもしれないよ」等と言葉をもらう。
ありがたいけど、可能性は低い。
学術的に世界のケースを入れて、5年生存率は8%。
10年生存率は0%。※変異型
職業柄多くの死に携り、がんの末期患者の最期も見てきたから、再燃(再発)した後の予後も想像出来てしまう。
診断があった日から、ずっと覚悟をしている。
だから、私と妹はいつも笑っている。
今を生きるようにしている。
とても前向きな話。
題:風に身をまかせ
おっと、礼も名乗りも要りやせん
見たとこそちらさんも旅烏
ほんのいっとき、たまたま止まる枝が同じだっただけのこと
降り掛かった火の粉を払うのに、ちょいと風が強く吹いただけでさぁ
お互い北へ南へ東へ西へ
風の向くまま気の向くままに
肩で風切る一人旅
縁があったら、また顔突き合わすことも御座んしょう
その風が吹くのを、祈っておくとしましょうや
それまでどうぞ息災で
“風に身をまかせ”
風に身をまかせて、ある人物を思い出した。
かなり古い話になるが「風船おじさん」という人がいた。彼は風船を身に付けて実際に飛んでいった。
その先は、私が知る情報範囲では知らないが、知らないままでいいと思っている。
彼には実際に飛んだとき、風と一緒に自由を得たのではないだろうか。
その想像だけでいいのだ。風に身をまかせて自由になれる素晴らしいことに、現実味は必要ない。
風に身をまかせ
良い風なら身をまかせよう
悪い風と気がついたなら離れよう
飛ばされないように
悟られないように
それが身を守る術だ
【風に身を任せ】
きっともう私のことを忘れてしまったあの人のところへ
風とともに吹いていく
もう私はいないけれど
ずっと想っているよ
風に身をまかせ
かんがいいほうかどうかはわからない
昨日のお題は【失われた時間】
書きそびれたら日付が変わってしまった
日曜の朝刊に挟まって今日の特売を宣伝するのが仕事の俺は、役目を終えればクーポンのところだけ切り取られて再生紙に回される運命だった。はずなんだが、ご子息の手によってあれよあれよという間に改造されて、いつの間にか彼のお気に入りの一機に姿を変えていた。彼は中々ベテランのエンジニアらしく、ジェット機を思わせる細身の機体はシンプルだが無駄なく正確に設計されている。翼にはカミナリの意匠が施されて、自分でいうのも何だが中々イケているではないか。
早速お披露目のためにご子息と一緒に公園へ向かう。空は快晴、少し強めの南風が心地いい。絶好のフライト日和だ。芝生の真ん中に立ったご子息が俺を構える。テイクオフ。
正確なタイミングとスピードで打ち出されて、俺は南風に乗ってすいすい進む。飛ぶのはのは思った以上に気持ちがいい。毎秒近づく青空の眩しさに下を向けば、こちらを見上げるご子息と茂る芝生の緑がこれまた鮮やかに目に映った。
「こんにちは」
声が聞こえた気がして頭上を見上げると、はるか上空に巨大な旅客機がひとつ。
「素敵なボディ!今日はどこまで?」
声の正体は彼女らしかった。俺は彼女のエンジン音に負けないように声を張り上げる。
「分からない。行ける所まで」
「そうなの。私は海を越えたもうちょっと先まで。また会えるといいね!」
会話はそれきりだった。ぐっと彼女の機体が上昇して軌道を変えたと思ったら、あっという間に見えなくなった。同時に俺の身体を支えていた風が止む。彼女のようにエンジンを持たない俺は緩やかに大地へと落ちていく。
「やった。すごい飛んだ」
芝生に降り立った俺をご子息が喜んで抱えあげる。俺も一緒に嬉しい気持ちになるけれども、頭の半分くらいでは今さっきの出会いのことを考えていた。また会えるといい。願わくばもっと長く、もっと彼女に近いところで話ができたら。あるかもしれないそのときのため、また離陸準備に入ったご子息とともに二度目のフライトの態勢を整えた。
(風に身をまかせ)
風に身を任せた。
その時から私に意思はない。なにせ捨てたのだ。そうしなければ風に任せられない。
一人はヤケクソなやり方だと呆れていたが私からしたら身動きが出来ずに踠いてるようにしか見えない。
「風に身を任せ」
私にとって風とは何であろうか。
朝、快晴の中、麦畑を撫でる風
友と過ごした桜舞い散る桜並木を走る風
家の雨戸を勢いよく叩く嵐の風
風は月が地球の回りを回って初めて生まれる。
私は風と聞き、一人ジメジメとした部屋に引きこもった時期を思い出す。
あの頃は外に出るのが怖くて、家の玄関を開けるのでさえ恐怖心を感じた。
そんな私を親は見てどう思っただろうか。みっともなく思っただろうか。
私はわたしが嫌いで、それでも私以外の何者にもなれないことを知っていて。
部屋の窓は締め切ったままだった。
外を見るのが怖かった。
普通に過ごしている同級生を、子供を見るのが耐えられなかった・・・私は怖かったんだ
そんなある日風を引いた。そりゃ引きこもって運動もせずに食事もロクに取らずにいれば当然ではあったが、苦しかった。しんどかった。辛かった。
本当に惨めだと感じたよ。
私は生きていていいのかとそんなことさえ思いもした。
そこへ母が部屋へ入って来て、ただ静かに窓を開けた。
何も言わず窓を開け私を見て小さく笑った。
「生きて」
私は泣いた。今までにないくらい、子どものように母の胸の中で泣きじゃくった。
昔に戻ったかのようだった。
その時窓からは夜の冷たい風が入り込み、母と私を包み込む。
肌は冷え、久しぶりの外の空気を感じた。
これからもう一度生きていこう。不安に感じても怖くても、泣いていても、もう一度立ち上がってみよう。
私にとっての風は新しい自分とでも言おうか。
私はそのときの風に身を任せ今も生きている。
また何かあって、挫けて倒れ、うずくまった時、
・・・その度にまた私は新しい風を見つけ、生きていくのだろう
著:蒼月 火凛
「風に身をまかせ」
生物で1番カッコいいのは猛禽類で特に白頭鷲
アメリカの国鳥だけど、たまに日本まで飛来する
生まれ変わったら鷲になりたいとずっと思ってる
風に身をまかせ
何だか、上手くいかなくって。
酷く息苦しくなって、
一人、街を飛び出した。
そのまま、高い丘に登って、
断崖絶壁の崖から、街を見下ろすと、
俺の住む街は、とても小さく見えた。
俺を苦しめてる日常って、
こんなにちっぽけなんだ、って。
そう思ったら、何だか涙が出てきた。
爽やかな風が吹き抜ける。
風が俺の服を、前髪を。
足元の草花さえ、分け隔てなく揺らす。
全て投げ出して、風に身をまかせ、
遠くに飛んでいってしまいたい。
そんな衝動に駆られて。
そのまま、足を踏み出そうとして、
…何とか踏み止まった。
きっと何時の日にか。
風が幸せを運んできてくれるから。
そう思ったら、何だか切なくて。
でも、もうちょっとだけ、
頑張ってみようって、思えた。
好きなら何をしてもいいわけではない。
それに気づかず、ただ大好きと伝えて思っていただけだった。
もっと大切にしなければならなかった。
もっと相手に寄り添うべきだった。
後悔しても過去には戻れない。
どんなに辛くても、これが自分の自己中によりまねいてしまった結果。
後悔ばかり、後悔しか、後悔だらけ、、
本当に近くにいて、なぜそれに気づかなかったのか、夫婦だから壊れないと思っていたのだろう。
本当に辛い、本当に申し訳ない、本当に後悔している。
もう一度修復できないだろか。
自分がではなく、相手を心から思い、自分の為ではなく、相手の為に相手の笑顔の為に、相手の大切な人生の為に。
思いやりを持って、思いやりを忘れず、行動したい。
もう遅いのだろうか。
私は諦めたくない。
これからも一緒に生きていきたい。
まずは、自分ではなく、相手を尊重しよう。
相手を大切にしよう。
自分が変わろう。
どうか、これからも一緒に生きていきたいから、
どうか、もう一度、信じてほしいです。
『1年30日』
風に身を任せわたしは空へ、、、旅立とうとした。
けれど、やはり泣き虫で優しいわたしの大切なあの子が心配なのでまだまだこの世に残ろうと思う。
あの子と出会ったのはまだ肌寒い春の日、木の木陰でひとり座り込んでいる可愛らしいあの子にどこか惹かれ「わたしの名前は瀬良音御、わたしとお友だちになりましょう!」と偉そうに言ってしまったのが今でも恥ずかしい。昔から偉そうにその人の気持ちになったように発言してしまうのはわたしの悪い癖だ。この悪癖のせいでわたしは小学4年にもなっても友だちと言える存在は誰一人といなかった。
そんなわたしに引かずただ驚いたように一言
「う、うん。僕も友だちになりたい」そうはにかみながら言ってくれた。あの時の嬉しさは今でも鮮明に思い出せる。
友だちになったわたし達は出会いが唐突すぎたのでいま一度、自己紹介から始めた。
「ゴッホン、もう一度いうわね。わたしの名前は瀬良音御。好きな事はボードゲームに絵を描くこと、それから、、、なんかめんどくさくなってきたわ。どうせこれからずっと一緒にいるのだから後から知っていけばいいのだわ。それよりあなたのお名前を一度も聞いていないわ、お名前きかせてちょうだい。」言ってしまったあとに少し後悔した。何が「これからずっと一緒にいる」だ。ずっとや永遠なんてないことなんてあの頃のわたしも知っていたはずなのに、それに最終的には他人任せな態度やめようて何回も後悔したはずなのにまた口に出してしまった自分に恥じた。
そんな傲慢な態度のわたしにあの子は怖がりもせずに答えてくれた。本気で本当に嬉しかった。
「ぼ、僕の名前は川澄陽一」
「川澄陽一ね覚えたわよ。貴男、好きな事とかないのかしら?」
「す、好きなことはえっと、その」
「?言いづらいことなの?‥‥なら、別に無理して言う必要はないわよ」
「‥‥女の子の格好すること。‥き、気持ち悪いよね。ごめんなさい。」
「何を謝る必要があるの?女の子の格好するのが好きなんでしょ?もっと堂々としなさい何も恥じるべきことはないわ。」
「‥でも、皆がお母さんお父さんが気持ち悪いて」
「‥‥わかった。貴方のこと否定する奴らはわたしが成敗するわ。だから、貴方は全力で好きな事をしなさい。」
「な、なんで?どうして僕に優しくしてくるの?」
これがあの頃のわたしに出来る恩返しだったこんなわたしと友だちになってくれたあの子にわたしは何としてでも幸せになってもらいたかった。
それから色んなことがあったあの子を馬鹿にする奴らを成敗したり。わたしの誰も知らないお気に入り場所に連れて行ったり、あの子を馬鹿にする奴らを成敗したり。あの子が好きそうな服をプレゼントしたり、あの子を馬鹿にする奴らを成敗したり。あの子と服を交換してみたり、あの子を馬鹿にする奴らを成敗したり。本当に色んなことが起こった。あの子と出会えて毎日が楽しかった。この時間が永遠に続けばいいと何度も思った。
でも、やはり人生はうまくいかないものだと思った。
それは、中学にあがった頃だった。
ただでさえ可愛らしいあの子が中学にあがった瞬間、もっと可愛いらしくなってしまった。
あの子の魅力に気づいた周りの奴らは瞬く間にあの子に群がってしまった。そのせいであの子はわたし以外の友達が沢山できた。悔しいし寂しかったけど沢山の人に囲まれ幸せそうに笑うあの子を見たらなんだかわたしも幸せな気分になった。
高校になった頃は本格的にあの子と会う機会がなくなった会える日といえば週1でわたしのお気に入りの場所で近況報告をしあうぐらいだ。それに、あの子は最近、男の人と付き合ったらしい本格的に寂しくなったし本当はもっと一緒にいたかったけどただの友達の一人であるわたしがあの子を縛る道理なんてないし、いい加減、傲慢な態度を直したかったのでここは大人になってあの子の幸せをただただ祈った。
この時の判断を後にわたしは深く後悔した。
それは、あの子と付き合った男の人があの子をレイプした後に男の人の友人を呼び集団であの子をレイプをしたと噂になり始めた頃だった。わたしが噂を聞きつけあの子のところへ行った頃には全てがもう遅かった。あの子の幸せを願い選択した行動があの子を不幸にさせた。あの子の幸せを守ろうと出来る限りのことをしてきたのにわたしのたった一つの選択で全てが泡のように消えてしまった。
あの日からあの子は狂ったように他の人と付き合っては別れるを繰り返した。わたしが止めようとしてもわたしのことが目に入ってないのか、それともあの子を守ることが出来なかったわたしなど忘れてしまったのかわたしのことを見ようともしなかった。虚しかった悔しかった悲しかった。あの子のために何もできないわたしがもっと嫌いになった。
‥‥‥そしてわたしはナイフを胸元から深く刺された。別に自分を刺したとかあの子に刺されたとかじゃない。
沢山の人の感情を弄んだあの子の被害者である1人があの子に向かって襲いかかったのを庇ったからだ。
後悔はぜったいにしない、だってあの子の大切な未来を守ったから。
きっと今がどんなに辛くてもあの子なら大丈夫。きっと明るい未来があの子にはいつか訪れる。わたしが人生で1番辛くて死んでしまいたいときに貴方という光を見つけたみたいに。
だから、泣かないで。
「大好きだよ、優」
咳 鼻水 熱
風邪に身をまかせ
『風に身をまかせ』
それは虚無に近い。
突き刺した刃が愛した者の体を貫き、さようならの挨拶をする前に彼は青白い炎に包まれてこの世から去った。最後の戦いの爪痕を色濃く残しながら、ダランと下げた手から地面に落ちる愛刀。膝から力が抜けるようにその場に倒れて意識を失ってからは目覚めるまでの間に何もかもが変わっていた。
町の復興に力を入れる役人や、褒美は何がいいと聞いてくるこの国の王の他、救ってくれてありがとうと声を上げる人間達。やがてその賑わいも也を潜め元の日常に戻った時、呆気ないと思った。
それからは、英雄等と呼ばれたがその名前は好きではなかった。彼を葬った手のひらを見つめてから真っ青な空を見上げる。伸ばした黒い髪と緩く羽織った羽織が風に揺れ静かに目を閉じた。
あの戦いから数年。
町から離れた山の中の小さな小屋の中で布団に包まる私は病を患っていた。きっと、今まで無茶して来たツケがやってきたのだろう。軋む体に既に体は1人で動かす事は出来ず、かつての仲間が面倒を見てくれているが、数日前の土砂崩れでここまで来る道が塞がれた筈だ。物凄い音がしていたから。
もって後数日と言った所か。
自分の命の長さを考えながら頭に浮かんだ「ようやく」の文字。そっと目を開けて視線を動かした。
「…何故、真実を話さなかったか……とか、そんな事はもう聞かないさ。きっとあの選択しかなかったし、お前もそうした筈だ。」
『……もっと、俺の事を嫌ってると思ってたが、思ったより好かれているようだな。』
「千年、共にいれば嫌い以外の感情だって芽生えるさ……」
私の紫の瞳は何も映さない。
それでも確かにそこに彼は居るし、こうして言葉だって交わしている。
『そうだったな、千年か。長い様であっという間だったな。』
「…………王は、お前の体を何としてでも手に入れようとしていた。そして、私の体も……純血の鬼はもう、私で最期だから、今頃必死にここまで来ようとしている筈だ。でも、私は王にこの身を捧げる事はしない。」
『世が世なら、俺はあんたを娶ってたよ。気高く美しいお前を。』
自然と流れる涙。少しだけ口元を緩めて「ふっ、お前様からそんな事言われるとは思わなかったよ。」と言った後最期の力を振り絞るように彼の頬目掛けて手を伸ばすが、届く事無く布団に落ちる間際、優しく包まれて「お前様の元へ今から行くよ」と笑った。
小屋ごと包む様に大きな炎が上がり小屋の中にいた2人は抱きしめ合いながら口付けを交わす。一層大きく上がった炎はまるで天に昇る様に舞い上がるとそのまま跡形もなく消えていった。まるで自分の存在を消し去るかのように。
「そこの娘さん、良ければこの先の茶屋で一杯どうだい?」
「怖い者知らずな男が居たもんだ。お前、私の事知らないのか?」
「……なんだ?偉い人間だったのか?でもまぁ、そんな事関係ないね。俺が娘さんに興味を持ってお茶に誘った。それ以上でも以下でもねぇよ。」
「……ふ、随分な変わり者だ。」
大きな大きな桜の木の下、純血の鬼の姫君は同種の男の手を取って立ち上がった。ゆっくりと前に進む2人を阻む物は何もない。
風が吹いて桜の花びらが散ったとしても、それを悲しむ事はもうしない。
風に身を任せ、2人は何処までも何処までも連れ添ってあるいていった。
春風?ってなんか気持ちいいよね
その風に身を任せて飛んでみたくなる
#1「隣に居るのに、怒鳴らないでよ…」
何を書いたらいいかわからないけど、思ったことを書くとするなら、なんでそんなに怒るの?なんでそんなに怒鳴るの?ただ普通に言ってくれたらいいのに。だって私は隣りに座ってるんだよ!?なのに、あたかも遠くに私が居て、そんな私を全力で呼ぶような呼び方をしなくてもいいじゃん!そんな呼ばれ方をされたら、誰だって返事をしたくなくなるよ。たとえ、その場で私が返事をしたとしても、それはただその場をとりつくろう為だけで、アナタが怒らないように私が気を使ってるってだけなんだよって、きっとアナタは全く気がついてないんだよね。じゃなきゃ、何度もアナタは同じことを繰り返さないよね?だけど私も、そんなアナタと変らずに今もずっと一緒にいるってことは、似た者夫婦なのかな?もうそれはそれで慣れちゃって。それともただ、私も淋しいから離れられないだけなのかな?そんなことを考えてしまう今日このごろです。
題名『スター』
(裏テーマ・風に身をまかせ)
あれは何年前だろう。
私はまだ高校生だった。
友達がアイドルに憧れていて、あるグループのオーディションを受けるのに不安だから一緒に受けて欲しいと懇願された。
私は歌も下手だし踊れないしリズム感も無いから恥はかきたくないと固く断った。なのに勝手に私の分も応募してて、オーディションの日になかば強制的に付き添わされて参加した。
あれだけ憧れて毎日のように練習して努力してた友達は早々とあっけなく落ちたのに、私はなぜか残っていった。
顔もスタイルも友達の方が綺麗なのにドブスの寸胴のペチャパイの私を運命はもてあそんでいるようだった。
そして研究生として合格した。
「君はやる気がないところか面白い。でも、本気になったらもっと面白そうだから残した」
審査員のどこかで見たような顔の人がそんたことを言っていた。
そして練習の日々が始まった。
私は基本やる気のないグータラが幸せの人だけど、負けず嫌いは筋金入りだった。ライバルに勝ちたいわけじゃなかったけど、負けて見下す目で彼女たちに見られるのが腹が立って本気になっていった。
そしたら、グループに入ってデビューすることが決まった。いつの間にか同期で最初のデビューだった。
ドブスだとコンプレックスを抱いていた顔も、メイクさんに言わせると化粧映えする顔だそうだ。本当かよって思ったけれど、プロのメイクさんの技術はすごい。私が完全にニセモノに変身していた。少し自分が好きになった。
デビューするとSNSで少し話題になった。でも私は目も耳もふさいだ。どうせ悪口だ。わかってる。見たら傷つく。
ある日、グループのプロデューサーに呼び出され、怒られるのかとドキドキして会いに行ったら、
「今度の新曲のセンター、お願いね」
そう言われた。
私は理解できずに返事もしないで立ちすくんでいた。ポカリと口を開けたまま。
それからは記憶が曖昧だ。
あまりに凄まじかった。歌は記録的な大ヒットになった。
私はめちゃくちゃテレビに呼ばれるようになり、いつしかグループの顔のように言われていた。
やったことのないドラマの仕事も頼まれた。映画にも出演したら話題となり女優としていろんな賞ももらった。
グループとしてもヒットを連発して、下手だった歌もファンの中では歌も踊りも上手な子だと言われていた。
人生は不思議だ。
あの日、オーディションの日、友達を失いたくないから私は風に身をまかせる覚悟をした。
なのに、その友達とは仕事が忙しくてあまり付き合えなくなっていた。たまにメールのやり取りはあるけど、めっちゃ気を遣われていることが伝わるから、私も気を遣うようになった。
恋人は欲しいし、実は有名なタレントさんからもアプローチはあるけど、みんな断っている。
私は私を応援してくれる人が一番大切だから裏切りたくなかった。風に身をまかせてって言ったけど、その風はファンの人が作ってくれた風だから。
今、ギターの練習も始めた。
作詞作曲をして、いつか私の想いを歌にして届けたい。
女優も続けたい。
演技も面白いけど、一番はいろんな人と会えることが嬉しい。
協力して、作品を作り上げるプロセスが楽しいし感動する。
風が止んで、ズッコケて?落ちるまで飛び続ける。
本気の私を私が、見たいから。