『雨に佇む』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雨に佇む君を見ていた。
雨の力強さに負けて道端に落ちていく桜をずっと見ながら、傘もささずに佇む君を。
桜は風に乗って散れば美しく見えるが、そこに雨が混じると美しいとは言い難い姿になってしまう。それでも君が、雨に濡れながらその桜を「美しい」と零すから何だか申し訳なくなった。
君は消えた私をずっと探している。
毎年咲く桜を見ては、苦しんでいる。その姿を私は毎年この桜から見ていた。
別れる時に、好きな花を教えなさい。花は毎年咲くのだから、という言葉を思い出していた。私は君に好きな花を教えたことは無かったけれど、桜と共に消えてしまったから私と桜を結びつけてしまったんだろう。
少し、愚かだなと思った。忘れられず、受け入れられもせず、ただただ毎年桜と共に私を待っている。君に聞こえる声で何かを伝えられたなら、どれだけ良かったのだろうか。声も出せず、ただ毎年桜を見に来る君を拒めない私も、きっと君と同じくらい愚かなんだろう。
出来ることならば、君に姿を見せてあげたい。前とは少し変わってしまったけれど、新しい私も君に受け入れて欲しいと思ったから。
だけど、まだ私はここから動けずにいる。
やまない雨はない、と言うけれど、きっと君はずっと雨を望んでいる。薄暗い空から流れる涙に紛れて、自分の涙を流せるから。雨が降り続ければ、永遠に桜は咲かないから。だけども、残酷なことに雨は何時かやんでしまうし、桜は毎年咲く。
君が私を忘れることは出来ないだろう。愚かで愛い人間さん。
そう心で思い薄笑いを浮かべながら、私は雨に佇む君を何時までもずぅっと見ていた。
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薄暗い話がとても好きです。
桜が似合う貴方のことを忘れるには、よりもっと残酷で暗い出来事がないと無理だと思うのです。だけどもその事実がとても心地よいのです。
カラフルな雨傘で
大げさに振り返る
嗚呼
君が恋しい
もういつのことだったか
最後に雨が降ったのは
[日照田]
雨に佇むフクロウ
フクロウの孤高さが好きだ
静かに枝にとまり、気配を消す
神が下界を見るかのように、地上のすべての動きを見透かす
獲物を見つけた
音もなく羽ばたき、仕留める
獲物は、逃げる間もなく、やられたことも気付かなかった
今日はしとしとまとわりつくような濃厚な雨
孤高のフクロウは、いつもと変わらず枝にとまり、気配を消した
ミッションをこなすために
フクロウの孤高さが好きだ
石灰色の古びた煉瓦に囲まれた厳かな空間の中で、男は独り立ち尽くしていた。否、今は少年と形容するべきだろうか。彼の姿は、遠い記憶のなかにある幼い彼自身と瓜二つなのだから。
少年は溟い空間の中で目を醒ました。
ささくれの一つも無い足裏に伝わる感触は、硬い石畳と水の冷たさ。少年はここが現実ではないと早くも理解した。
夢であることを認識できる夢を明晰夢という。夢であるはずなのに、やけに感覚がはっきりとしているのはこれが明晰夢だからなのだろうか。少年は冷静な思考を巡らし、改めてこの空間の全貌を視界に収めた。
落ち着いた配色に飾り気のない柱。
ここは……ああ、そうだ。教会に似ている。幼い頃に両親に連れられて訪れた町はずれの教会。内装こそ差異はあれど、満たされた空気に懐かしさを憶える。少年は風化した石の柱にそっと触れて、足元に広がる水溜りを僅かにちらつく光の源を目指して歩みを進めた。
少年が辿り着いた先には、塗装の剥げた扉があった。
扉の隙間から光がこちら側に漏れ出ていたのだろう。少年は吸い込まれるようにドアノブに手を掛け、扉を開ける。
溟い空間から一転、眩しいほどの太陽光が少年の瞳を眩ませる。やっと光に慣れた少年が面を上げると、目の前には色とりどりの花で埋め尽くされた花畑が一面に広がっていた。
「ここは……」
少年の応訪を喜ぶかのごとく、ざあっと一陣の風が花畑を吹き抜ける。渦巻いた花の香りが少年の鼻腔をくすぐり、少年は郷愁の念を胸に抱いた。
「そうか……。ここは、あの子との思い出の場所だ」
少年は心の奥底にしまい込んでいた記憶を手繰り寄せて、ほう、と形にならない息を零す。いつの間にか忘れていたあの子との思い出……。少年の頬に涙がつたう。
あの子との別れ際、溶けるようなあの子の碧色の瞳に映ったかつての自分も、今のように涙を流してあの子との別れを惜しんでいた。
もう一度、あの子に会いたい。
記憶と寸分違わない鮮やかな花畑。あの日と同じ姿の自分。全てが同じはずなのに、ここにはあの子だけがいなかった。
「もう、変わってしまったんだ。……あの頃とは」
二度と戻れない光景に手を伸ばそうとして、少年は諦めたように静かに手を下ろした。涙が少年の頬をつたって、足元の花弁を濡らす。
少年の思い出の箱庭の中。幼い頃の想いを胸に抱いて、少年はやがて意識を手放した。
『mylife』
あんずは、雨が好きです。
ーー私の声は、反映されていない……(´;ω;`)
また、落選した。
教室の友達は、入選しているのに……。
私だけ、半年佳作にも、入選もしていない。
なんで頑張っているのに。
雨の中に蹲りタイムリミット気分。
強い雨に打たれてなにもかも辞めたい。
私が、短詩頑張っている理由はありますか?
やる気を失くす。
先生が、教室で『あんずちゃんは、この句どう想ういますか?』と聞かれて
前の私は、ドキドキをしながら、先生の眼を見ながら、『この句が好きだからです。』と、
発言するのが関の山だった、私。
今も緊張は、するけれども、ちゃんと自分の意見も言えるようになった。
私なら、こんな風にするよ(#^.^#)なんで、言えるようにもなったネ^_^v
奢っているかしら☺
好きか嫌い、しか言えなかった、私なの。
落選ばかりだけれども、また、一から頑張ろう〜(´;ω;`)
上手くいかないことだらけだけれども、恋なんて現を抜かしているからなんて言われそうだけれども。
何が、因果かは知らないけれども、私は片想いでも、失恋でも、恋をしたら
泡沫になります.。o○
私らしく、また、恋や水泳や前向きになれない日も、
エンジョイしたら、また、教室の先生も『あんずちゃん、ちゃんと頑張っているネ^_^♫』と、
選ばれなくても遠い空で見ていてくれますよネ^_^??信じています。
今迄、ちゃんと頑張って来たんだもん(#^.^#)♫
雨が好きなあんずらしいよネ💛(#^.^#)♫
ーーこれでも、先生の門下生だヨ〜^_^♫た、泣き笑いしながら、
胸を張らなくちゃネ〜(#^.^#)v
忘れないようにします(#^.^#)
想先生なら『あんずちゃんは、単純だヨ〜』なんて、笑われるかな〜^_^♫
でもそれが、あんずなの。^_^v♫ 終わり、
雨の日は憂鬱だという人も居れば楽しいという人もいる。雨宿りに佇んだ軒下で、なにか良い出会いはないかと、こころでそっと想う。雨があがれば虹となる。あぁ、あの虹の向こうにきっとその人は居るだろう。
【雨に佇む】
約束の時間には、まだ少し早い。
大きな青い傘。
そこだけ別の世界みたい。
屋根のあるところで待ってくれていいのに。
そういう律儀なところが好きなのだなぁと、しみじみ思う。
五月雨のような優しい雨に包まれるように打たれたい。
ー雨に佇む
神様
神様?
きっといるでしょうね。
この世界で起きる説明のつかない、あらゆる事象は全部神様のしわざだと思えば納得でしょ?
神様は過去も現在も、そして未来も知っている。
世界が混沌へと少しずつ近づいていることを知っている。
あなたが人生を悲観して、今まさに命を絶ちたいと思っていることも知っている。
だから、神様はきっとあなたに罰を与えることはないから、安心していいよ。
「神様なんか絶対に信じない」?
仮に君が神様を信じたくなければ、それでもいい。
というか、信じたくないよね。
きっと神様は君の気持ちも分かってくれてる。
地球には痛みが多すぎて困るよね。
雨の中。
男は傘も差さないで立ち尽くす。
髪の毛や服から滴をしたたらせながら。
もう泣けなくなった自分の代わりに。
空が泣いてくれているのだと。
頬を伝った雨粒に想いを馳せた。
【雨に佇む】
ずっと曇りの僕の心
時々雨が降り、僕は雨に佇むしかない
僕の心が泣いてるのかな
それとも過去の僕や
未来の僕が泣いてるのなか
あーぁ……
今日も雨
また雨に佇む日だ
黒く分厚い雲が私の心を支配する
きっともう、晴れることはない
君はもうここにはいない
わかってるのに、
わかりたくない
何も知らなくていい
君の1番になれなくてもいい
私はただ、君の隣で笑っていたかった
仮初の幸せを信じていたかった
君は今、何をしてますか?
私のこと嫌いになったよね
でもそれでいい
我儘だってわかってるけど、
もう少しだけ君のなかにいさせてほしいの
「弱虫」
私は昔から、人と関わるのが苦手だった。
私は人より20㎏くらい太っていた。自分の体型がコンプレックスで、何度も死にたいと、消えたいと思っていた。つい他人からの評価を気にしてしまい、気付いたら臆病になっていた。誰かと話すのが怖くて、学校にも行けなくなっていた。だけど、私はいつだってヘラヘラ笑って居なきゃいけない。周り迷惑はかけちゃいけない。心配をかけちゃいけない。そう考えてるうちに、私の心は壊れていった。何も聞きたくなくて、イヤホンを毎日付けるようになった。都合のいい話しか聞かなくなった。体型のせいで、私の性格のせいで好きな人なんてひとりも出来なかった。なのに、周りに合わせて、私はあの子が好きだよ~とか言って自分を偽る。そんな日々に疲れて逃げた。皆にハブられるのが怖くて、虐められた事があって、親友に裏切られたことがトラウマで、全部から逃げた。私は弱虫だ…。
ねえ、かえろうよ。
冷雨に濡れる君の背に向けて掛けた言葉は、雨音に掻き消されて届かず。
かぜ、ひいちゃうから。
君は動かない、濡れそぼったシャツの袖から伸びた腕は青白く微かに震えていた。
もう、かえろうよ。
すり抜けてしまう自分の両腕で、冷たい君の身体を抱きしめる。
冷たくなってしまった君の心と身体を、少しでも温めることが出来たら、と思いながら。
かえろう。
この冷たい墓石の下に自分は居ないのだと、目の前の君に伝えることが出来たなら、どんなに幸いだろうか。
テーマ「雨に佇む」
もうすぐ夏休みも終わる。
去年のお盆明けに川に転落死をしたおじいちゃん。
お盆明けというなんともなタイミングで死んだおじいちゃん。
わりと近所に住んでたし、転落した川に来てみた。
土手に座ろうと思ったけれど暑くて無理。
仕方ないから橋の下の日陰に行くと、ドーンと大きな音と光で近くに雷が落ちたよう。同時に豪雨。
もう、毎年の事だしちょっとやそっとじゃ驚かなくなった。
川の水が急に増えたりしないかなぁと、辺りを見渡すと、川の反対側にカラスが一羽雨宿りしている。
カラスと目が合ってる気がする。
じっと見つめ合うカラスと私。
カラスと目が合った時、逸らした方いいのか逸らさない方がいいのか…
まぁ、カラスから威嚇する様子もないし。大丈夫かな。
河原の石の上に腰を下ろして、川を眺め、雨を眺め。
カラスもアッチへチョンチョン。コッチへチョンチョン。すると、雨の当たらないギリギリのところで立ち止まる。
カラスの家がある方なのか心配そうに森の方を眺めている。
その姿が、なんとなく家を守ろう。家族を守ろうとしているように見えて、なんとも綺麗。
凛とした佇まい。じっと遠くを見つめる強い目。
カラスのくせにカッコいいじゃないか。
きっとオスだな。
嫁カラスと子カラスの心配してるんだな。
と、勝手に想像する。
私にはお父さんがいない。だからおじいちゃんがお父さんみたいな感じだった。
こんな風に雷がなると、『大丈夫?』って電話を毎回かけてくれてたおじいちゃん。
小さな頃、雷が怖くて泣いていた私のままだと思ってたんだよなぁ。
おじいちゃんに会いたいなぁ。
カラスのお父さんよ、子は成長するからね。カラスの人生楽しんで、長く生きてくれよーと。
未だにじっと動かず雨に佇むカラスにエールを送る。
お題「雨に佇む」
数年前にネット上のパズル系ゲームにはまってた
パソコンを開けばかなり時間を費やした
そのうちの絵合わせ的なものの素材のひとつに
いつも心を捉える写真があった
モノクロで女性が傘もささずに雨の中立っていた
その写真が出てくるたびにまじまじと見てしまう
時間制限いっぱい使って
ゲームオーバーになるまでただ見ていた
もうそのゲームはなくなってしまい
その写真にお目にかかることはなくなった
ハッキリとした記憶もだいぶ薄まり
どこに何に魅力を感じていたのかわからない
時々ふと思い出し検索して探したりするけれど
やっぱりお目にかかることは未だにない
薄らいでいく記憶の中の写真
いつか見つけ出せるだろうか
雨に佇む
急な雨が降ると
普段は何となく見ているちょっとした屋根に
人が集う
皆同じ格好をして
あぁ、生き物だったと思わされる
雨に佇むわ
真綿のような
縫い針のような
細く生ぬるい
まっすぐな雨に
トレンチコートの腰は細く締め
ハイヒールと
それとお揃いの真っ赤な口紅を引き
濡れた黒髪は艷やかにまとわりつく
ウイスキーを煽り
溶け出して潤めいた氷をさげずむ
私は片付いたばかりの食卓に肘を付き
壁の窓の向こうを眺める
ぼんやりと
ただぼんやりと
たったいま産まれたばかりの別の私に
あの日観た、あの映画のあの女に
どうすれば
このくだらない魂を宿すことができるのかと
ぼんやりと
ただぼんやりと
車の弾く、かすかな雨音を聞きながら
わりと真剣に考えている
「雨に佇む」
雨に佇む。
雨粒が頬を伝い、涙と紛れて零れ落ちる。
湿気を帯びた雨の空気が鼻を覆い、息苦しい。
前の景色が水滴でぼやけ、見えなくなる。
この悲しみも、洗い流してくれたら良いのに。
ぼつぼつと、少し重さのある雨粒が服の袖を濡らしていく。
傘を忘れた。
一度目、駅に向かう途中で降られる。二度目、最寄り駅に着いて家へ向かう途中で降られる。
心の中で、壊れたようにあははと笑う。
そういえば、昔の映画で男性が雨の中楽しそうに踊っているのを見た記憶がある。
スマホで検索してみると、『雨に唄えば』と出てきた。YouTubeで動画をタップすると、イヤホンにお洒落なメロディが流れる。それにのって、軽やかなリズムで歩き出した。
どうせ笑うなら、やっぱり楽しく笑いたい。
イヤホン、家に着く頃には壊れているだろうな。
あはは。