『雨に佇む』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雨に佇む
雨に佇む猫、
というふうに書き出そうかと思ったけど
なんだかその光景をイメージしたら
猫が可哀想すぎて
書けなくなっちゃったよ
雨に佇む、
…カタツムリにしておくよ
カタツムリ、最近見ないんだよね
どこかで幸せに暮らしててくれればいいな
あきかぜ
雨に佇むその姿は
今の私によく似合う。
雨、好きなんだよね。
全てを洗い流して
明日への澄みをくれる。
澄み切った青空に言いたい
ありがとう、って。
大きな声で言いたい。
辛さ感じる時間を
幸せ気づける時間に変換したい…
テーマ「雨に佇む」
【雨に佇む】
嵐のように雨が吹き荒れた日だった。
静まり返った公園で、君がずぶ濡れになりながら空を見ていたのは。
「ね、ねぇ、ちょっと」
僕は慌てて声をかけた。
どうしたの? 何してるの? 風邪ひくよ?
なんて言おうかなんて思い付いてない。ただ、雨に濡れるのは悲しい事だと思っていたから、急いで傘を刺したんだ。
なのに、君は。
「どうしたの、良い天気なのに」
と惚けたように話すから、僕は面食らってしまった。
なんだって?
良い天気だって?
「どこをどう見たらそうなるんだ」
「私にとっては良い天気なんだよ」
ふふふ、と笑う君に僕はついていけない。
とりあえず傘を刺したまま、僕は彼女の隣に立つことにした。
近くの道路からは車の行き交う音がする。
たまに道を散歩する人が通りかかったが、挨拶をすることもなかった。
「あのね」
君が話しだす。かなり時間が経っていた気がした。
「なんだい?」
「あなたは忘れているかもしれないけど、雨の日は私たちが初めて会った日なの。私にとって雨の日は、幸せの日なのよ」
君はチラッと僕を見ると、また空を見た。
「雨が止んだら私は帰らなきゃいけないから……本当は止んでほしくないんだ。だからもっと降ってほしいなって空を見ていたの」
「なんだ……そんな事で」
「そんな事じゃないよ」
今度は、しっかり僕を見て……彼女は笑った。
「雨でも降らないと、あなたは私のこんなにそばにいてくれないでしょ?」
そんな事は、ない、とは言えなかった。
話すのはそんなに得意な方ではないから。
「もうちょっとだけそばにいてね」
それだけ言うと君はどこか満足そうだった。
僕は、どうしようか。
なんと返事をしていいかわからないまま。雨が止むまで肩が触れそうな距離にいた。
お店に入る前から雨雲が怪しい…とは思ってたのだけど、お店の商品に目を奪われてからは、天気のことなど頭からすっぽんと抜けていった。
ようやくお目当てのものが買えてホクホクとしながら出入り口に向かうと、まだ雨は続いていた。
「まじかー…」
傘は持ってこなかった。否、晴雨兼用の日傘は持ってるのだが、なにせ小さい。ついさっき、素敵なものを買ってきたばかりの紙袋。
にわか雨ならまだよかったのだが、残念ながらゲリラ豪雨である。
こうして雨に佇む人間が一人出来上がって、それは雨が続いて時間が経つほど人数が増えてゆく。
隣にあるスタバへ移動しようとするが、私と同じ考えだったのか、雨宿りとして使う人で行列ができていた。これでは当分は座れそうもない。
仕方なく、再び商業ビルの中へ戻る。このまま雨止むまで突っ立ってるよりは、いくらかお店を見回る方が楽しいだろう。
歩き疲れる頃には、晴れることを願って。
小雨の中、バス停でバスを待っていた。傘を持つ手の指先が、靴のつま先が、徐々に雨の温度に慣らされていく。
体全体が雨に包まれて、このまま消えてしまいたい、と頭のどこかでぼんやりと思った。
時折聞こえる車道の音。ひと気のないバス停。
雨に佇む。
君が病に倒れた時、俺は狼狽え動転し、君になにもしてあげることができなかった。
「そんなことないよ」
再び俺の隣に寄り添えるようになった君はそうやって柔らかく笑うけれど。
「まぁ確かに? 君は医者でもないしこの病の経験者でもない。僕もほら、あえて君に頼ることはしなかった。みっともない姿を見せたくないって気持ちもあったしね」
「強いよな。知ってたけど」
「強くないよ」
全然強くない。
「苦しくて苦しくて…そしてふと顔をあげるでしょ。そうしたら目の前に君がいるような気がして、雨の中でひとり佇んで泣いてるような気がして、ああ早く治さなきゃって思ったんだ」
「俺はそんなに弱くないぞ」
口を尖らせて言ったら、君は目を細めて笑った。
「知ってるよ。弱いのは、そんなことを思う僕……」
雨に佇む
雨が降ればどこか遠くへ行けるのに
嫌いにならないでと泣いた君
嫌いにならないよと笑った君
雨に佇む
真夏の夜
家に帰らなかったから
大粒の雨と過ごす事になった
大きな雨の粒が容赦なく
自分に降りしきるこの感覚
子供の頃にもあったな
急な雨に
傘を届けてくれた祖母
そして
届く事は無くなり
周りとの違いを実感した
あの日は
私を少しだけ強くした日だった
暖かい雨の感触と
夏の匂いは 今も
あの頃のまま
雨に佇む
雨が温かく感じるほど
私は冷たいのだろう
何も考えない脳を
洗ってくれたならば
明日は晴れると思えるだろう
円の中から一歩踏み出せる
風を待っている
「雨に佇む」
しとしと降る雨です
薄暗い地上に降り注ぎます
傘をさしていない人が一人佇んでいました
頬を伝うのは私の雨なのか、彼の雨なのかはわかりません
雨に佇む。今日はお題を無視してジャンプの感想を短めに書いて終わらせよう。
この日記は習慣化するためにある時期から大体同じ時間に書いてるんだけど今日は書く時間にエアコンの工事が始まった。別の時間に書くこともできるけどそれはあまりしたくない。
今週は鵺の前にワンピ呪術がなかったから鵺を最初に読んだ。センターカラーいいね。主人公の能力が覚醒してページが明るく、白くなるシーンが印象的でよかった。
呪術は気になるワードは出たけど特に語ることないな。つなぎの回というかための回なのかな。
雨に佇む
毎年梅雨前から
ゲリラ豪雨が頻発していた。
そんな中
雨宿りしている女を見て
声をかけてみた
[ 凄い雨ですね ]
女は
[……]
何も喋らなかった。
男にとってそれが恋だった。
「雨に佇む」
雨の中うつろな顔でじっと佇んでいる
いつもと違う魅力的なその姿
まるで映画か何かのワンシーン
……って、違うっ!
単に傘忘れてずぶ濡れなって
さてどうしようかと呆然としてるんです
もう勝手に詩作すなっ!
子供の頃は雨が嫌いだった
友達と外で遊べなくなるからつまらなかった
大人になった今も好きという訳では無い
頭は痛くなるし、時には憂鬱な気分にもなる
ただ何故か不思議と雨に打たれていたい気分になる時がある
自分を守る傘なんか放り捨てて
頭から足先までずぶ濡れになってしまいたくなる
このどしゃぶりの雨が、訳の分からない焦燥感や虚無感、自分への不信感、
周りへの恐怖心など全部洗い流してくれるのではないかと信じながら
今日も私は雨の中でじっと佇んでいる
雨に佇む人がいる。
傘もささずに泣き濡れる。
ロングヘアーが垂れ下がる。
化粧も崩れて、いい女。
俺が代わりに、傘☔差し伸べたいが
失恋💔なのかわからない?
ほっといて!と、降られ三枚目も
バッ悪い、男心も泣き濡れる。
徳博
雨に佇む高校球児
9回裏2死満塁5対2で相手打者は7番打者2ストライク3ボール後1球、1回からノーヒットで押さえてきているとは言え嘗めてはいけない。
ここへ来て8回からの小雨が俄に夏の入道雲からの豪雨に変わる、グランドは、まだ中止なるほど、ぬかるんではいない。審判も最後の1球を待ちピッチャーを凝視する。これが青春の最後の1投とばかりの全力投球。
打者も渾身の力を振り絞り打ち返す、打球は右中間を破り走者一掃のサヨナラランニングホームラン。
マウンドに立ち竦む背番号1の、これまで一人で投げ込んできたエース。
ただ無情にも、いそうきつく雨が青春の全てを流すシャワーのように降りしきる。もっと早くもっと強く雨が降ったならコールドゲームで勝っていたのに。
ただ一人最後までマウンドで雨に佇む、涙と汗と雨水に、びしょり濡れて。
徳博
雨に佇む
急な天気雨
傘は無し
一瞬にして、ずぶ濡れ
面白くて笑う
楽しくて笑う
「勘弁してくれよ……」
傘を持っていない時の雨の鬱陶しさといったらない。それが豪雨で、しかも移動手段が徒歩しかないとなればなおさらだった。
駅を出て、菜緒の待つアパートまで歩いて十五分と言ったところ。一時の避難場所として他人の住居の車庫に駆け込んだ僕は途方に暮れていた。
頭を悩ませているのは菜緒の存在だった。付き合いたての頃はおっとりしていて、二人の最善を考えて行動してくれる女の子だったのに。同棲を始めて結婚を意識するにつれ、彼女の嫉妬深さとヒステリックな部分が徐々に顔を出すようになった。
(早く帰らないと)
昔の彼女に戻ってくれることを期待しながら、実はこれが本性ではないかと気づきつつ目を背けて機嫌をとる日々。僕は疲弊していた。
(菜緒にうるさく言われる)
尻ポケットに入った携帯は既にひっきりなしに震えており、彼女の精神が危うい方に傾きだしていることを告げていた。
(……もううんざりなんだよ!)
もちろん本人には言えない。一を言えば百が返ってくるからだ。
「雨宿りですか?」
その落ち着いた声は、乾いた大地に染み込む水のように僕の耳を抜けて全身に広がり、馴染み、吸収されていった。こんな感覚は初めてだった。
「あっ、すみません、貴女はこの家の方……?」
僕は驚きながらも、隣に立つ女性をまじまじと見つめてしまう。自分よりも年上に見えた。派手さとは無縁そうな、淑女と言うのが似合う品のある顔立ち。胸のあたりまで伸ばされた真っ直ぐな髪が、濡れて艶々している。
「いいえ、通りすがりです。要は私に話しかけられてビクビクしている貴方と一緒、なのかしら」
そう言って歯を見せて笑う大人の女性は、子供のような無邪気さに溢れていた。僕はどきまぎして返事が出来なかった。彼女の白いシャツが透けて、すみれ色の下着の輪郭が浮かび上がっていたのがいけなかったのかもしれない。
「通り雨だといいんだけど」
僕の様子に構うこと無く、彼女は呟いた。
そうだ、その通り。こんな雨はさっさと止んでもらわなければ困る。
早く帰って、ただいまと言って、わめく菜緒に遅い帰宅の弁明をして、着替えたらすぐに夕飯を食べて、奈緒の愚痴っぽい話を聞いてあげて──。
僕はポケットに手を突っ込み携帯の電源を切った。微弱な振動を受け続けた尻が痺れている。菜緒との連絡手段は失われた。何故こんなことをしたのか。つまり。そうだ。僕は疲弊している。雨宿りの偶然がそれを決定的なものにした。
「あの、雨、止むまで、ここにいますか?」
「え? うん、そうね、そうするしかなさそう。貴方は?」
ざあっと雨音が強まった。叩かれた地面が水煙をあげている。
「僕も、止むまでここにいます」
「そう」
穏やかに微笑む彼女の身体から、滴るような甘い香りが漂った。やはり鼻を抜けて全身に広がり、馴染み、吸収されていく。
あるいはそれは、今の僕にしか分からない匂いなのかもしれない。
▼雨に佇む
雨に佇む(創作)
ポタポタと水もしたたるその人は。
傘も差さずに何を思うのか。
そんなことを思いつつ
自分自身は傘を差して見つめていると、
その人は気づいて犬のようにやってきた。
「遅いよぉ」
「…………遅いよ、じゃないよ。何してんの」
呆れた顔で、その人を見つめた。
へにゃりと笑うその顔に、少しだけ腹が立った。
信号機が発する光を、水滴が反射している
赤、青、黄色。私がここに来てから、何度変化しただろう
涙を誤魔化し雨に佇む姿なんて
この淡い光に溶かされてしまえばいいのに
(雨に佇む)
雨だ。
このまま濡れて帰ろう。
泣いてるのが分からないように。
「雨に佇む」