『逆光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
いつも輝いているひと
その人たちは
対決してきた敵がいないと
輝けない。
常に輝いているわけじゃなくて
見えない時に努力して
頑張ってるから輝ける。
太陽の方向にたつ人は
自分を影にして
周りも輝かせてるんだ
すごいな
僕には無理だ
無理って言葉
最近口癖なんだ。
無理なことなんてないって
よく言われるんだけど。
ほんとにそうなのかな
そうなんだろうな
ただ勝手に決めつけて
無理だって諦めてるだけ
分かってるよ
だから
輝くことができないんだ。
でも別にいい
輝けない僕に
手を差し伸べてくれるんだ
輝ける人は。
そんな人任せな人間なんだよ、僕って。
僕に手を差し伸べることでその人が
もっと輝けるかも。
こんな考え方のみっともない人間
輝いてる人は
アドバイスしてくるんだ。
自分に自信がある人が
羨ましいよ
毎日不安がつきないんだ。
言い訳だよね
全部分かってるよ
自分の性格の悪さも
考え方変えてみたら楽かもよ
なんて
何回も何回も言われたよ、
できないんだ。
やる気がないなんて言うなよ。
もっと惨めになるんだよ、
逆光
君が眩しすぎるから
君の光に当てられた僕は、きっと黒く塗りつぶされたシルエットしか書かれないモブ
でもそのくらいが心地よい
メインキャラの君の事を見つめていられるなら喜んでモブになろう
窓の外を眺める。
花壇に水やりをしている君と目が合う。
優しく微笑んだ君は
逆光で神々しくてまるで天使をみている様だった。
そんな君に私は心惹かれたのだ。
深呼吸をする。
目の前の君を見据えて自分の想いを伝える。
私の気持ちに応えてくれた君の顔は
逆光で眩しくて見えなかった。
ー逆光ー
Adoさんの逆光を否が応でも思い浮かべてしまう。
なら僕が書く必要は無い。
僕が描きたいのは、言葉にできない想い。
皆が見たことが無いもの、考えたことが無いもの。
だけど心のどこかにあるもの。
言葉を見た瞬間に何かがイメージされるなら、それ以上を作ろうとしても、たとて作れたとしても決して評価されない。
なぜなら人は有名である事を喜び迎合するから。
多分、僕に創作をする資格は無い。
「逆光」より。
逆光
逆さまから見た
光り
眩し過ぎて…
前が見えない
見えなくていい…
今に光り輝くところ
に焦点を当てて…
前が見えない程…
ぶっ飛んでるから
誰でも良かったと言いながら弱いものを狙う
絶対に敵わない
絶望して媚びへつらい生存に掛けるしか無い
これ以上恐怖を植え付けられたくない防衛本能なのだ。
魂絆でハド様は魔界に行ってナンバーワンになりたいと言っていたので、
魂絆がサ終したあとに連れていきたいなと思って長編を書きました。勝手にあの人(?)行っちゃったけど…。
58000文字…。pixivに乗せるには乗せたけど、長すぎて書き直しができません…。
下手だし知識無さすぎだったけどがんばった。
戦闘シーンは音楽(橙の竜の騎士と、進撃の巨人)を聞きながら想像しながら書いてました。
アリアハンから↑にいってアルキード→ダバ→(あちこち行く)→ロモス→デルムリン島→魔界… という大冒険! 楽しかったー! マイ・ミラドシアルールで、アリアハンに絆の勇者用の街があるんですよ。チュートリアル用かな?
橙の世界はご飯も気候も様々で、戦いも激しかったけど充実してたな…って思います。
魂絆のスキルと奥義しか使えないのが大変でした。手かざしゲーは健在😊
ルーラなんてない!!船と馬と馬車と飛竜しか移動手段ないんやで!大変だった!!(さも行ってきたかのように)
魔界にハドさんとフレくんといったあとは、
バブルスライムを永遠と召喚する屋敷とか、地下に閉じ込められた原竜の遺跡とか、魔力に守られた街を3人で回ってます。
最終的に魔界の4大強(仮)の一角になり、絶妙な均衡のまま、魔界ナンバーワンにハド様を押し上げていくつもりです!
絆の力で彼に力を与えていくのだ。
キズナちゃんは彼のこと大好きだし、身体も委ねられるけど、ハド様はキズナを利用しているみたい。
それでも構わないから
最強になるあの人の役に立ちたいな、支えたいな、と思っている。
壮絶な最後を迎えたハド様に、最強な魔族人生を送って頂きたいのだ。
何年後かしたら二人はまぁ良い感じになるんじゃないかなぁ。年齢差あるけど…すごく…
人間にしたら38歳とかでしょ?キズナちゃん…15とか16とか… (ほんとは1歳)ええっ
女だからとか、そういう括りがないんじゃないかな。とても厳しい幼少期~青年期を送ったのだと思う。それこそ、力で無理やり支配され追われ搾取され続ける時代を送ったんじゃないかな。だから力にこだわるのよ。
だからキズナちゃんも「女扱い」して欲しくない。部下でも友人でもない戦友でもない。 なんだこの関係は???
『逆光に照らされて』
十一月の初め頃に修学旅行が行われる。高校生活の中でも一番大きなイベント。期間は五日間。旅行場所は自然が綺麗な外れの離島。五日もすることがあるのかと思ったが、その離島に属する3つの島を順番に回るらしい。全て移動はフェリーやジェットホイルで行う。都会の喧騒から離れた遠い地で新たな感性を養ってほしいということだそうだ。そして歴代の先輩たちは口を揃えて皆こう言う、
「写真を撮れるか撮れないか。それが問題だ」
と。壮大な景色を写真に綺麗に収めることが何より重要であるというその言葉を受け、俺はスマホの容量を少なくし、モバイルバッテリーを購入し、万全の準備を整えた。しっかりとしたカメラを購入するのお金がないので無理だった。だがしかし、スマホを侮ってはいけない、スマホでだって使い方によっては綺麗な写真を撮ることができるのだ。俺は今まで何回もスマホで写真を写してきた。その俺に死角などない。
修学旅行当日の朝、港には自分の学校の生徒たちが集まっていた。もとから写真が趣味の人やお小遣いが多い人たち、親などがカメラを使っている人たちはとてもしっかりとしたカメラを持ってきていたが、その数はとても少なかった。また、先生方はなにか高級そうなカメラを持ってきていた。そのままジェットホイルへと乗り込み、三十分近くかけてその島へと向かった。
ジェットホイルの中で俺はしおりを開き、予定の確認をした。自然が撮れるチャンスは三日ある。三日目と四日目と五日目だ。初日はその島唯一の高校にいる高校生たちとの交流会なので当然自然とは関わらない。二日目はその島の農業や漁業の体験、ディスカッションなどが行われるので、自然と関わることになるが綺麗な景色とは巡り会えない。なので三~五日目がチャンスなのである。俺はその間は片手にスマホをもちながら移動しようと考えた。
初日、二日目は貴重な体験ができたことと、いい思い出ができたことなどで心の充足感はあったものの、記念撮影以外は特に写真が撮れることはなく、物理的充足感は無いまま過ぎ去った。そして二日目の夜寝る前、四人部屋で好きな人暴露大会をしている中、俺は決意を新たにした。
「絶対に綺麗な写真を撮ってやる」
と。
三日目は今いる島でのバスツアー。神社や資料館も訪れのるだが、重要なのは海を一望できる高台にいくという予定だ。神社でのお参りや資料館で重要文化財を見るなど多様な内容を経て、ついに高台に到着した。その高台からの景色は圧巻だった。太陽といい具合にマッチする海の景色は今まで見てきた海とは全く違う美しさを表現していた。俺はその美しさに感動し、思わず写真を一枚撮った。そして上手く撮れたか確認しようとアプリを開き写真を見ると、海の一部分が黒く写っていた。なんだこれと思ったが考えていくとある一つの考えに行き当たった。「逆光」か。そう、逆光のせいで風景が黒く写ってしまったのである。やってしまったと感じた時間がないのでどうすることもできずに、まあそういう日もあるかと諦めをつけ、まあ一日くらいだろと楽観的に見ていたがそうはいかなかった。
四日目はフェリーでもう一つの島へと移動した。その島では自由探索ということで友達と一緒に色々なところを回って行った。その日は色々な風景を撮れた。そびえ立つ神社、綺麗な海岸線、樹齢の長い大木など、写真も何枚か撮れたが、俺を昨日のような感動に陥れるにはまだ足りない。その日の一番のシャッターチャンスは山の上にある神社にお参りに行こうぜという誘いを受け、山を登っているときだった。山の中腹からみた街の様子。それはいつも過ごしている場所とは違う、高いビルもなく、工場もない緑に囲まれた簡素な住宅街。しかしそれはどことなく懐かしさを感じさせた。初めての経験だ。街の風景でこんな思いを感じるなんて。俺はこの経験をまた思い出したいと、写真を一枚撮った。きっといい写真のはずだと思い確認した。しかし、その写真はいい写真にはならなかった。そう、また「逆光」が邪魔をしてきたのだ。なんで今までは撮れてたのに急にこうなるのか分からない。まるで綺麗な写真は撮るなと神様に言われているように思われた。
その日は寝るまで逆光を恨んでいた。
五日目の最終日はもう一つの島に行って地元の人の説明とともにする街歩きということだった。もう最終日になってしまった。楽しい思い出は毎日のようにあり、とても充実していたが、綺麗な景色を撮れていないというその一点だけが心に引っかかっていた。今日はしっかり撮ってやると朝のうちに決心を強め、泊まっている場所の近くにある神社でお参りをした。
「いい写真が撮れますように」
街歩きでは当然のことながらほとんど歩きっぱなしだったのでスマホを構える余裕はなく、また、興味深い話が多かったので、途中まで写真のことは忘れていた。街歩きの一番最後、その島の港の前で全員で写真を撮ろうということになり、集合写真が撮られることになった。俺は一番真ん中列の右らへんで中腰で元気よくピースをして待っていた。写真を撮るのは学年主任の先生。はいチーズという掛け声とともにシャッターが押された。合計三回シャッターが押されたようだ。五日間過ごした後での写真これはきっといい写真になるだろう。早く出来がみたいそう思っていると、先生が撮った写真を確認したあと申し訳無さそうに
「逆光なのでもう一回場所変えて撮ります」
と言った。他の生徒からは笑い声が起こったが、俺は素直に笑えなかった。なぜならまた「逆光」が顔を出してきたからだ。もういい加減にいてくれよと、場所を変えて撮っている間にそう思っていた。
帰りのフェリーで俺は甲板に立ちながらこの修学旅行を振り返る。日々の喧騒から離れたこの五日間はとても有意義で楽しい時間だったように思える。ただ一つだけ心残りがあるとすればそれは逆光のせいで感動したと思った綺麗な景色を上手くうつせなかったことだろう。俺は逆光をひどく恨んだ。ただそれと同時にこうも思った、
「綺麗な景色は写真で残らずとも心の中には強く刻まれているはずだ」
と。たとえ記憶の中だけであっても見たということに変わりはない。記憶の中だけだからこそ綺麗に思えるかもしれない。そう思うと幾分か気分も良くなってきた。だが、俺の悲しみは少なからず存在している。写真でここまで落ち込むのはあまりないのかもしれない、けれどどうしても思い出を綺麗に形として残したかったのだ。バキッと心が折れる音がした。俺は片手に持ち続けていたスマホをカバンにしまう。そして俺はもう写真は撮らないようにしようと、そう決意した。
夕日が落ちてきている。風に煽られながら周りに広がる海を眺める。その綺麗な景色さえ今は撮る気が起きない。すると広い広い海の中一つだけポツンとそびえる島が見えた。縦に細長いその島はまるで燭台のような形をしている。火がつかない燭台、それはまるで俺が写真を取ることに対する熱意を失ったことを暗示しているように見えてしまう。そこに丁度夕日が落ちてくる。フェリーの遅い速度に合わせてだんだんと夕日と燭台が交わっていく。燭台に火が灯った。もう一度だけ。そう思った俺はスマホを取り出し構えた。カシャッと音が響く。一枚だけ写真を撮った。それは案の定逆光で島の部分は黒く写っていた。しかしそれはなにも見えない黒さではない。夕日を映えて見えさせるそんな芸術的な黒さだった。ある一つの燭台に灯る火。その火は、大きくとても輝いて見えた。「逆光」によってその作品は完成したのだ。
「逆光っていいところもあるんだな」
そう思った俺の心にも大きな火が灯っていた。
憧れの貴方に近づけば近づくほど、貴方の光がこんなに強いものだったと知らされる。
けど、その光に包まれた貴方はどんどん影になり闇にのまれていく。
ねえ、もう1人の、逆光の中の貴方は何を考えているの?
逆光
光に向かって突き進む
その先にあるものを手に入れるために真っ直ぐと
光で先が見えないけれど迷いなく
自分の影が道になれるように大きく手を伸ばす
見る角度を変えれば光の角度も見え方も変わる。
自分にはない発想、感性
立場が違えば思うことも受け取り方も変わる。
同じ立場でしか分かり合えないなら
別の角度からの光を自分の中に取り込めるように
動いたり工夫してみたりして
自分自身がちゃんと輝ける角度を目指す
今が何も見えない闇でも別の角度からみたら
何かが変わるかも。
未来が今を決めるために存在しているんだとしたらどうしちゃう?くだらない乱数調整みたいな日々をさ、これから一体どうしちゃおっか。スマホから聞こえる泣き声に優しい言葉を探して過ごす深夜。支えになったとしてそれに意味はあるのかな。ただただ空を飛んで過ごす。
もしかして、何億の可能性が偶然だって思ってる?過去からの逆行が真実だとしたら、Q.私の今日のお昼ご飯はなんだったでしょうか?ハンバーガーだよ。玉ねぎがたくさん挟まったトマトソースのハンバーガーだったんだよ。幸せな記憶は話してあげなかった。つまり線引き。ピクルス的な存在。
笑えないなあ、これが私のエレメント?最初から配られたカードじゃつまらない話しか組めないかなあ。それって能力不足かな。イエス・キリストみたいな人生を送りたいな。聖人じゃなくていいから。
誰一人存在していなければいいのに。この人生を覗く第三者がいたらいいのに(18禁作品でないとして)。この世界に蔓延る悲劇も惨劇も全部作り物なんだとしたら、悲しまないでいられるかな。無理だろうけどさ。洞窟に影が伸びて、私達は影絵に勤しむ人生を送る。作り物に差した。慈しんで。逆光を。
「逆光」
冬の青い光の中で優しく頬を撫でる逆光のように、その青さの中に物語を描く。
束の間の休息のように季節の風が吹く。
春が来るのを待ち侘びながら。
青い逆光の中、熱くなるほど遠くなる。そんな人だった。
逆光
光あるところに影あり。
光が強ければ強いほど、影もまた黒く深みを増すものだ。うん、中二。
逆光から外れるけど影と陰の違いって何。
周りの人たちが凄すぎて、
夢や希望に溢れてて、愛されてていいなって。
周りの人たちが輝きすぎてて
その光に照らされてる僕はいつも真っ黒。
消えたくなって死にたくなって。
僕だけ違う気がして化け物みたいに思えて。
輝いてる人たちが羨ましくって。
そんな人達は弱音を吐いてもね、
「大丈夫?無理しないで」って、「1人じゃないよ」って。
励ましてもらえて。声掛けてもらえていいなって。
ずるいよ。やっぱり僕は普通じゃない。
最低な思いが頭の中でぐるぐるして止まない。
「みんなから愛されてるくせに、辛いって言わないでよ。
全部全部ずるいよ、何しても愛してもらえてずるいよ。」
やっぱり、僕は普通じゃない。
『逆光』
眩しくてよく見えないな
カメラにも写し出せないあなたを探す
逆光
眩し過ぎて本来の姿を見失う
そこを見ないまま飲み込まれたら
それに気付かないまま
大事な何かをなくしてしまう
逆光に照らされ、私はランウェイを歩き出した。
夢にまでみたこの舞台。私が1人で輝くことのできる、唯一の場所。
一歩一歩踏みしめて歩く。動きが固くなってしまっているかもしれない。でも私は気にしない。やっとこの舞台に立つことが出来たのだから。
幼い女の子の声が聞こえてくる。私を紹介してくれているようだ。
「えんとりーなんばー1ばん!」
私はそのまま歩き続ける。ちょうどターンしようとした時、
不意に目の前が暗くなった。さっきまで眩しかった逆光がなくなる。え…
おもむろに、私は大きな男の手に捕まってしまった。
幼い女の子の声がまた聞こえる。大きな声で怒っているようだ。
「あたしのリカちゃん、返してー!」
もう、
わたしが眩しいリビングの光を見ることはなかった。
「もう終わりにしよう」
彼女はそう言って俯いた。窓辺に座る彼女は、夕焼けを背景にくっきりと浮かび上がっている。表情は見えない。
「どうして?」
我ながら情けない声が出た。脳内に自分の言葉が反響する。どうして? どうして?
こちらを向く彼女の目が光った。涙なのか、嫌悪の光なのか。それとも、私への哀れみか、侮蔑か。
「言わないとわからない?」
逆光でも、彼女の顔が歪んだことに気づいた。笑みを含んだその言葉は、私の胸を抉った。
どうして? は、まだ頭の中をぐるぐるしている。どうして? どうして? どうして?
固まったままの私に、彼女はにじり寄った。
「わからないなら教えてあげる。あんたって人は、言葉にしないと理解できないみたいだから」
聞いたことのない声色、見たことのない表情で、彼女は私に詰め寄る。
「私はね、ずっと我慢してたの。あんたのその自己中な性格にね」とん、と私の肩をつつく。「付き合い始めた頃は、まだよかった。あんたは優しいし、きちんとしてるって印象だったから。でも一緒に暮らし始めてからは、どう? 約束は守らない、家事はしない、休みの日はダラける。デートしよ、って言っても、めんどくさいから寝る、で済ませる」
「……うん」
「これで別れたいと思わないとか、あんた頭大丈夫? 私のことなめてるの?」
私は顔を伏せた。
「あんた、甘えすぎなんだよ。私はあんたのお母さんじゃない。約束は守ってほしいし、最初に決めた家事はちゃんとしてほしいし、休みの日は外でデートしたい」
言い募るうち、彼女はだんだん涙目になっていく。私の目にも涙が浮かぶ。
「挙句の果てに、裏切りかよ」
「……ごめん」
「謝って済むと思うなよ。今まで、私がどれだけ我慢してきたと思ってるの」
詰る彼女を責められない。
「……泣きたいのはこっちだよ」
彼女は立ち上がる。あらかじめ纏めていたようすの荷物を持ち、玄関へ向かう。
「待って」
思わず言うと、彼女は振り返った。今度は表情がはっきりと見える。明らかな侮蔑の表情。
「……話しかけないで。永遠にさようなら」
玄関の扉が、開いて閉じた。彼女はいなくなった。
「どう? 撒けた?」
一時間経ってから、私は彼女に電話をかけた。
「うん、大丈夫そう。今からそっちに戻るね」
「そっか、よかった。なかなかしぶとかったね」
「ほんとにね。今回ばかりは、もうダメかと思ったよ」
電話越しに、彼女のため息が伝わる。私は苦笑した。
「いやあ、まさか盗聴器まで仕掛けるとはね……。うちの母が、ご迷惑をおかけしました」
私は手元の機械を見た。私の母親は、一人娘を心配するあまり、彼女と私の住む家に盗聴器まで仕掛け、監視していたようだ。半端者との交際を認めない、ということだろうが、私にとっては迷惑なだけだ。案の定、母は彼女との交際を反対し、あろうことか盗聴器まで仕掛けるに至ったため、彼女に協力してもらって一芝居打ったということだった。
「盗聴器、全部壊した?」
「うん。ちゃんと部屋の隅から隅まで確認したよ。これでもう、覗き見……ではなく覗き聞きはできないね」
私が言うと、彼女は笑った。
「よかった。じゃあ、そろそろ帰るね」
「うん、待ってる」
電話を切る。彼女と縁を切る事態にならずに済んだことに安堵しつつ、カーペットに寝転んだ。
しかし、あることに気づき、すぐ飛び起きた。あの時彼女は、表情から行動まで、何から何まで自然だった。まるで、聞かれているどころか「見られている」ことまで想定済みであったかのように。
私は再び、部屋の隅々を見て回った。盗聴器だけではなく、カメラは仕掛けられていないだろうか。
彼女が帰ってくるまでに解決しなければならない。
私はまた、這いつくばって捜索にあたる。彼女との未来を守るために。
君とは色々な場所へ出かけた。出かける度にたくさんの写真を撮った。でも見返すと君の顔が写っているものが全然ない。出てくるのは食べたものや風景、君が写っていても後ろ姿ばかりだった。
きっと君は写真に写るのが好きではなかったのだろうし僕も積極的にカメラに収めようとはしなかった。
でも1枚だけ君を正面から撮った写真がある。それは高校の卒業式に2人で残って教室で撮ったものだった。あの時のことは鮮明に覚えているしきっとこの先も忘れることはない。ただ君の表情だけ何故か思い出せず、あの時の写真をひっぱりだしてみた。
その写真は窓から差し込む西日で君の顔が見えなかった。正面から撮った唯一の写真も逆光で顔が見えないないなんて君らしい、なんて思いながら元の場所へ戻した。
「君の顔、いつまで覚えていられるかな」
もう君の後ろ姿が写った写真が増えることもないアルバムを抱えて目を閉じた。
飲みかけのストロングゼロを天高く掲げれば、逆光を浴びたそれはまるで芸術じゃないか。謎の黒い円柱って感じでミステリアス。
そしてこの中に入っている古代から人を迷わせてきた「あるこほる」なるものも然り。
なぜか笑いが込み上げていざ「くくく」と笑おうとしたらあるこほるが気管に入ってむせた。
「かひーっ」
ブランコで遊んでいた少年が、いつしか漕ぐのをやめてじっとこちらを見ていた。それに気付いた母親らしい女性は、少年の視線を遮るように割り込んだ。
おれだって、あれくらい小さくて純粋だった時代もあったんだぞ。
それがどうだ、新卒で入った会社と折り合いがつかず一ヶ月で心が折れ、アルバイトの求人に応募しては敗れる日々だ。そりゃ、昼間から公園の地べたで飲みたくもなるさ。
缶を煽ってストロングゼロを飲み干そうとした時、誰かがおれの前に立って太陽を遮った。
「やっと見つけた」
聞き覚えのある声に、9%のアルコールが吹き飛んだ。
立ちあがろうとしたら肩をつかまれた。
「ひぃ、人違いですっ!」
「人違いだって? 忘れるわけがないでしょ、こんなクズ」
漆黒のスーツと赤い口紅。逆光を受けた彼女は、一ヶ月前に会社で最後に見た時よりもすごみが増していて。
「しゅびばせんしゅびばせん!! でもおれもう嫌ですあんな仕事!!」
「つべこべ言わない! 除霊できる新卒なんて上玉、逃すわけないでしょうよ」
「いやだいやだー! 」
ブランコにいた親子がこちらの様子を見ている。あっあいつら足が透けてる。
ちくしょう、おれがこんな体質じゃなければ。
【お題:逆光】