『貝殻』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
テーマ「貝殻」
貝殻の 飾りきらめく バスルーム
貝殻
小さい頃海に行くと綺麗な貝殻を集めてた
色んな貝殻が入ったセットを買ってもらったしてた
何をするわけでもない
理由も全くわからない
冷めてしまえば
過去になれば
わけがわからない熱量ってあるよね
海にかくれたきれいなものたち
色とりどりの貝の殻
洗って洗って砂つぶに。
いろんなかたちのサンゴたち
洗って洗って砂つぶに。
海に消えたいのちのあとの白い骨
洗って洗って砂つぶに。
いのちのキラメキ
寄せては返す波の中
砕けて砕けて
小さく小さく
洗って洗って
砂つぶに
すべては すべては
海のキラメキに。
「貝殻」
No.112『貝殻』
私が持つの貝殻の片割れ。
もう一方は愛しのあの人が持っている。
これを持っていれば、どこに行ってもあなたと引き合わせてくれると信じてる。
貝殻
初めてのデートで拾った貝殻で作ったネックレス
2つ合わせたら綺麗に合うように作ったのに
もう、ずっと合うことはない
このネックレスももうお別れしないとな、
君がいた日々は
本当は幸せだったんだな…
くすぐったい
馴れ合いの距離も
ほんの少しの
窮屈感も…
君がいなくなって
また欲しくなってしまって…
こんな僕はどうかしているね。
穴だらけのコルクボード
溢したコーヒーの染み
右側の空いたソファー
言うことをきかないトースターに
君の頬杖…向かい側のテーブル…
もう君は居ないのに
まだ こんなにも
君の声が響いてる。
そっと
季節の栞を揺らす風が吹いた
「ねぇ…」
ふいに僕を呼ぶ
君の声みたいに…。
- 貝殻 (シェル) -
夕暮れ
恋人と海岸散歩
アスファルトを歩くのと違って
思うより疲れる
流木やワカメなどが打ち上げられている
恋人が不意に繋いだ手を離し
と と と と歩き
しゃがみ込んでいる
これ
恋人が見つけたのは
桜色の貝殻
綺麗だね
その心を
ずっと忘れないで
その心が
好きだから
常に心を閉ざしている子どもだったと大人になってから散々親から聞かされた。
A子は過去に思いを馳せる。
確かに辛いことや悩み事があったら、帰宅して誰にも打ち明けずにすぐにトイレに閉じ篭っていたかもしれない。
まるで貝殻から一切出てこないアサリみたいだ。
当時は幼いながらも心を開くやり方が恐らく分からなかったのだろう。
無理矢理こじ開けようとすればする程頑なに閉じていくアサリ。
熱して殺してパカッと開いたのを人間たちは美味しくいただく。
人間の貝殻の場合はどうやって開けたらいいんだろう。
力でこじ開けようとしたり、火で炙ったりしたところでそのまま死滅してしまうだけだ。
最終的に自らの意思で内側から貝殻を開けることでしか、本当の意味で心を開くことはできない。
私たちは人間なのだ、面倒くさくってどこか愛おしい生き物。
貝殻からようやっと自力で出てこられたA子は、自らをそっと抱き締めた。
貝殻
(本稿を下書きとして保管)
2024.9.5 藍
いつまでこうしているのだろう
外は怖いものだらけだ
でもずっとこのままではいずれ腐ってしまう
動けなくなってしまう
殻の隙間からは光が差し込んでくる
いいことばかりではないだろう
きっと失敗して傷つくこともたくさんある
でも生きる希望に出会えるかもしれない
明日を待ち遠しく思えるかもしれない
そしたらもう大丈夫と思えるかもしれない
『貝殻』
〜魚と貝殻 遊んだ記憶〜
海の底。
波に乗って旅して来た貝殻が、静かに休憩をしていた。
真っ暗で、何も見えないけれど。
そこに1匹の魚が来た。
チカチカ
その魚は体を光らせ
「遊ぼうよ」
と、言っているようだった。
貝殻は
「泳ぐことができないから」
と、断ることしかできなかった。
魚はしばらく考えたあと、ひょいっと貝殻を背中に乗せ、泳ぎ始めた。
「ほら、これで遊べるよ」
魚は笑顔でそう言った。
そしてしばらく遊んだあと、元の場所に戻った。
そして、貝殻は
「ありがとう。また遊びに来てね」
笑顔でそう言い、魚と分かれていった。
【貝殻】
貰った貝殻は
内側が虹色に光っていた
きらきらと心を反射した
さびしいカイガラ ゆめみるカイガラ うちにはないカイガラ つかれたカイガラ なにかのカイガラ 生きていたカイガラ だれかのカイガラ もういない もういない もういない
→短編・恋の始まる日
風が通り抜けて、人々にいたずらをした。
少年は風に押され、少女はオカッパの髪を乱された。
「貝殻みたい」
少年の一言に、少女は慌ててヘルメットのような髪を撫でつけ耳を隠す。他の人よりも大きな耳は彼女のコンプレックスだった。
「どうして隠すの?」
顔を赤くして耳を押さえる少女に驚いたのは少年だ。少女のひらひらと薄い大きな耳はとても美しい。巻き貝そっくりで、自分なら見せびらかすだろう。隠す理由が少年には一つも思い浮かばなかった。
「だってカッコ悪いもん」「キレイなのに」
少女の呟きに少年の賞賛が重なった。
「し、知らない!」
少女は逃げ出した。恥ずかしいのとは別の熱が彼女の頬を朱く染めていた。心がムズムズとこそばゆい。
「明日! 図鑑持って来るよ!」
少年は少女の背に誘いかけた。少女と同じように少年の頬も染まっている。
きっと明日も明後日もその後も、二人は顔を合わせる。二人の小さなハート型の時計が動き出す。
テーマ; 貝殻
「貝殻」(一行詩)
貝合わせに夢中になり気が付けば平安民
◆
貝殻をカスタネット代わりの独奏会
◆
ビーチコーミングしてワタシはカイガラになる
◆
ヤドカリを見て引っ越しを決める
貝殻
綺麗な色
可愛い形
海で洗って
沢山集めた
ちょっと大きな巻き貝は
耳に当てたりして
あの海を思い出す
一夏の思い出
お題 貝殻
不思議な女の子
今年も1人で海に来る。
海の写真を撮るために。
砂浜を歩いていると、可憐な白いワンピースの女の子が黙々と貝殻を見つめているようだった。
素敵な子…と思いながら通り過ぎようとしたその時、
『お姉さん!この貝殻綺麗じゃない!?』
女の子の明るく可愛い声が響き渡った。
私は戸惑いながらも返事をする。
「そうね。とっても素敵な貝殻。」
女の子が持っている貝殻は真っ白で、形も一切崩れていない、珍しいほど綺麗だった。
いや、女の子が持っているから綺麗に見えたのかもしれない。
そんな事を考えている時、
『あ!それカメラ?お姉さん写真撮ってるの?』
と聞かれる。海に来た本来の目的を忘れる所だった。
「そうなの。写真家で日本中を旅しているんだ。」
と答える。女の子はまるで向日葵のような明るい顔をして
『なら!私を撮って!』
と元気を話す。
話を聞くと、女の子が着ているワンピースはお誕生日に家族に買って貰ったものらしく、初めて着た記念に撮って欲しいとの事。
写真家としてこんな素敵なご依頼、断る訳には行かない。
もちろん返事はOK。
「それじゃあ撮るよ〜。」
と合図をすると、貝殻を持った女の子はひらっ…とスカートを広げ微笑む。
その姿はまさに女神だった。
あまりの美しさに言葉を失っていると、女の子の明るい声が聞こえてくる。
『お姉さん!ありがとう! その写真、お姉さんにあげるね!ついでにこの貝殻も!!』
と明るく話す。
もちろん私は困惑する。
「え…?いいの?家族に見せた方喜ぶんじゃない?」
そう女の子に問う。
だが女の子から帰ってきた返答はまたも私を混乱させた。
『うんっ!あのね、私お姉さんに一目惚れした!』
『だから、写真撮ってもらったの。私の事忘れないように、この写真と貝殻一緒に持ってて!』
と答える。
頭にハテナしか浮かばない。
この女の子が私に一目惚れ?私に忘れられないために写真を??
そう私が悩んでいると、また女の子の声が聞こえてくる。
『そろそろ時間、行かなきゃ!』
『ありがとう。素敵なお姉さん。』
と言い女の子は走って行く。
今の時間はなんだったのだろう…
10分にも満たない時間だったのに、あの子の虜にされたようだ。
こんな不思議な出会いがあるから写真家は辞められない。
素敵な写真をポケットにしまい、海や砂浜の写真撮り、海を後にする。
ありがとう。写真撮らせてくれて。
そして、あの子と出会わせてくれて。
これは名も知らない少女に恋した、私の話。
貝殻
そのへんに落ちていて、目に留まることのない貝殻。
砂浜を歩いていると、稀に踏みつける。
ジャリジャリと音を立てているのは、砂か、貝殻か、捨てられたゴミクズか。答えなんて出せないけれど、いま一度地面を踏みつける。はっと、我に返ると、日差しの熱さに気づく。半袖を着る自分の腕は、仕方がなく焼かれていた。たまに吹く温められた風のせいで、髪は、悔しそうに絡まっていた。そんなこと気にも留めないで、海は、蒼く光っていた。
私は、なんとなく微笑んだ。いつしか、生きていた貝にならって。
貝殻って綺麗な気がする。
でも手に取ってみると砂だらけ。
綺麗ではない。
あらゆることでもそう。
大体そんなものが多い。
詩(お題)
『貝殻』
砂浜で貝殻を拾った
綺麗な色から想像もした
巻き貝は耳にあてた
潮騒が聴けると教わったから
キラキラ、家族の休日は
しょっぱいけれど甘いおもいで
大人になって久しぶり
砂浜歩けば悲しくなった
貝殻は海の墓場
わたしは死骸を踏みつけ生きる
ギラギラ、太陽は容赦なく
母なる海はやさしく濡らす