『行かないで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「行かないで」
「ねえ、お父さん!どうしたのさ!しっかりしてよ!」
父は倒れたまま動かない。どれだけ体を揺すっても、大きな声で話しかけても無駄だ。
ボクだって気付いていた。
父の体の冷たさに。
でも、なにもせずにはいられなかった。
だって、ボクのたったひとりの家族だから。
生きているって信じたかった。
もう一回、笑顔を見せてほしかった。
もう一回、優しい声を聞きたかった。
もう一回、膝の上で話をしてほしかった。
もう一回、もう一回───。
「まだ、どこにも行かないで?」
だってまだボクは子どもだよ?
もっとたくさん、愛してもらいたかったのに。
「行かないで……?」
ボクは自分自身が嫌になった。
お父さんを心配させないために涙を流せないように自分で自分を作り変えたのに、一番泣きたいときに一粒の涙も流せなかったから。
笑顔で見送れるわけでもない。
また会えるわけでもない。
なのに、泣くことすらできない。
せめて最後は「ありがとう」って言いたかったのに。
†:.。.:+゚+:.。.:†:.。.:+゚+:.。.:†:.。.:+゚+:.。.:†
突然全身が強い痛みに襲われて身動きが取れなくなった。
そのまま自分の体が冷たくなっていくのを、ただただ観察することしかできなかった。
少しして、私の子どもがやってきた。
どうにか私を回復させようと色々な手段を使う。
だが、その甲斐なく私の意識は遠のくばかり。
でも、最後の微かな声は聞こえた。
「行かないで……?」
あぁ、私は最後まで君を悲しませることしかできなかった。
君は気付いていないようだけど、本当は知っているよ。
私の前で涙を我慢して、いつも笑顔でいたことに。
安心して子どもを泣かせることもできない、そんな親になってしまった。本当にすまなかった。
もう一度、君の可愛い笑顔を見たい。
もう一度、君の元気な声を聞きたい。
もう一度、君を膝に乗せて話をしたい。
もう一度、もう一度だけ───。
どこにも行きたくない。
君のそばにいたい。
みんなで笑いたい。
どうして、どうして私はいつも───。
「前回までのあらすじ」───────────────
ボクこと公認宇宙管理士:コードネーム「マッドサイエンティスト」はある日、自分の管轄下の宇宙が不自然に縮小している事を発見したので、急遽助手であるニンゲンくんの協力を得て原因を探り始めた!お菓子を食べたりお花を見たりしながら、楽しく研究していたワケだ!
調査の結果、本来であればアーカイブとして専用の部署内に格納されているはずの旧型宇宙管理士が、その身に宇宙を吸収していることが判明した!聞けば、宇宙管理に便利だと思って作った特殊空間内に何故かいた、構造色の髪を持つ少年に会いたくて宇宙ごと自分のものにしたくてそんな事をしたというじゃないか!
それを受けて、直感的に少年を保護・隔離した上で旧型管理士を「眠らせる」ことにした!
……と、一旦この事件が落ち着いたから、ボクはアーカイブを管理する部署に行って状況を確認することにした!そうしたらなんと!ボクが旧型管理士を盗み出したことになっていることが発覚したうえ、アーカイブ化されたボクのきょうだいまでいなくなっていることがわかった!そんなある日、ボクのきょうだいが発見されたと事件を捜査している部署から連絡が入った!ボクらはその場所へと向かうが、なんとそこが旧型管理士の作ったあの空間の内部であることがわかって驚きを隠せない!
……ひとまずなんとか兄を落ち着かせたが、色々と大ダメージを喰らったよ!ボクの右腕は吹き飛んだし、ニンゲンくんにも怪我を負わせてしまった!きょうだいについても、「倫理」を忘れてしまうくらいのデータ削除に苦しめられていたことがわかった。
その時、ニンゲンくんにはボクが生命体ではなく機械であることを正直に話したんだ。「機械だから」って気味悪がられたけれど、ボクがキミを……キミ達宇宙を大切に思っているのは本当だよ?
それからボクは弁護人として、裁判で兄と旧型管理士の命を守ることができた。だが、きょうだいが公認宇宙管理士の資格を再取得できるようになるまであと50年。その間の兄の居場所は宇宙管理機構にはない。だから、ニンゲンくんに、もう一度一緒に暮らそうと伝えた。そして、優しいキミに受け入れてもらえた。
小さな兄を迎えて、改めて日常を送ることになったボク達。しばらくのほほんと暮らしていたが、そんなある日、きょうだいが何やら気になることを言い出したよ?なんでも、父の声を聞いて目覚めたらしい。だが父は10,000年前には亡くなっているから名前を呼ぶはずなどない。一体何が起こっているんだ……?
もしかしたら専用の特殊空間に閉じ込めた構造色の髪の少年なら何かわかるかと思ったが、彼自身もかなり不思議なところがあるものだから真相は不明!
というわけで、ボクはどうにかこうにか兄が目を覚ました原因を知りに彼岸管理部へと「ご案内〜⭐︎」され、彼岸へと進む。
そしてついにボク達の父なる元公認宇宙管理士と再会できたんだ!
……やっぱり家族みんなが揃うと、すごく幸せだね。
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ふとした瞬間に
頭をかすめる
ありし日のこと
子供のころに遊んだ
あの場所と友人たち
顔も名前も記憶が滲んで
殆ど朧げだが
確かに存在する思い出
けれど 段々と
記憶が溶けていく
歳が経る度 重なる度に
そんな感覚に手を伸ばしたくなる
【行かないで】
行かないで
私をおいて行かないで
お願い、私を一人にしないで
これはとある少女の心の声。
少女は両親から虐待を受けていて体は痩せこけて傷だらけ。それでも唯一祖父だけは少女を守ってくれていた。
少女はそんな祖父が一昨日亡くなったことを知った。それから悲しくて寂しくて毎日泣いてばかり。それでも両親は彼女に容赦なく罵声を浴びせたり暴力を振るったりする。少女の心は限界だった。
この少女のように親から虐待を受けている子供は沢山います。少女のように誰かの助けを必要としている人がいます。私は世界中から虐待で苦しむ子供が少しでも減ることを願っています
お題『行かないで』
私は今ゲームに挑戦している。
ベルトコンベアで運ばれてくる豆腐をタイミングを見計らって梱包するゲームだ。そのゲームは、梱包数が増えるごとにベルトコンベアの速度が増していく。たくさん梱包したからといって、全国ランキングに載るだけで何になるわけでもない。とはいえ、プレイ人数も少ないので私が二位のところにつけている。
暇つぶしにちょうどいいからとこのゲームをやり続けていたら、いつの間にかそうなってしまった。あともうすこしで一位の『MugenTofu』さんに追いつくところまできている。
今、私は電車のなかでスマホを手に豆腐を梱包している。速度は今、最大になったところだ。順序よく豆腐を梱包していたその時、突如として電車が急ブレーキをかけた。
はっとした時には、機械を急速に通り過ぎていく生の豆腐の映像が目に入ってしまう。
「あぁっ……、行かないで!」
思わず声に出してしまい、恥ずかしくなって思わず口をつぐむ。スマホの画面では暖色の色調で、大して残念そうでもなさそうな『GAME OVER』の文字が大きく出ていた。
「離れないで」
このまま行ってしまうのでしょうか。
私の知らない世界に、貴方は一人で。
夢を追い続ける、それはとても良いことで応援すべきことなのでしょう。
けれど、心のどこかで
" 行かないで "
と、思ってしまうのです。
遠くに行って欲しくなくて、
私から離れないで欲しくて、
ずっとずっと、私を視界に入れていて欲しくて。
なんて、願ったところで叶うはずもないのに。
テーマ:行かないで
※創作
行かないで
電車のホームで、通り過ぎる車両を眺めていた
遠くへと行ってしまう、あの人のことを考えている
あの先で、元気にやっているのだろうか
ご飯は食べれているのだろうか
そのことを考えるだけで、胸が張り裂けるように冷たくなる
「『ダメ。そこへ行かないで』と、
『私はAには行かないで、Bに行きました』と、
『豪雨だったらしい。行かないで良かった』と?
他には『今行かないで、いつ行くの』とか?」
「行かないで」に繋げられそうなハナシ、昨日、まさしく書いたばっかりだな。
スマホの通知画面、今回のお題の5文字を見て、某所在住物書きは頭をガリガリかいて天井を見上げた。
「続編モドキ程度は許容範囲よな?」
再度、ため息。物書きは昨日の文章を読み返す。
「なんで今日じゃなく昨日あのネタ書いたし……」
すなわち喫茶店の奥に「この先に行かないで」の注意書きがある、というネタが書けた筈なのだ。
――――――
頑張って貯めたガチャ石が、ジャンジャンどぶどぶ溶けて流れて、消えゆく濁流に絶叫。
その「行かないで」をガチャ爆死と言うそうです。
という物書きの◯週間前の慟哭は放っておいて、今回のおはなしのはじまり、はじまり。
最近最近のおはなしです。都内某所のおはなしです。
某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしており、
その日は一家総出で稲荷神社の大掃除。
そろそろ神無月の10月から、霜月の11月に変わります。出雲へご出立なさった稲荷の神様が、狐たちの稲荷神社へ、お戻りになるのです。
さぁさぁ、神社を清めましょう。
それそれ、汚れを払いましょう。
新しい器も美しい飾りも、ちゃんと用意するのです。
稲荷の神様の神使たる不思議な化け狐の一家は、
神様と一緒に出雲には行かないで、稲荷神社で神様の留守を、しっかり守っておるのです。
稲荷の神様がちょっと早めにお戻りになっても大丈夫なように、ぱたぱたぱた、どたどたどた。
あっちこっち、掃除しておくのです。
で、今回のお題が「行かないで」のせいで、
化け狐一家の大掃除に、ひとり人間が巻き込まれて、末っ子子狐と組んで一緒にお掃除。
哀れな人間は名前を藤森といいました。
花咲き風吹く雪国出身の、心魂清き人間でした。
「何故私が?」
深いことを気にしてはなりません。
それが今回のおはなしです。今回のお題回収です。
しゃーない、しゃーない。
「あなたは、この部屋を掃除してください」
狐一家のお母さん、美しい黒髪の女性の姿で、藤森ににっこり。お手伝い内容を伝えます。
「奉仕の報酬として、この廊下の突きあたりの部屋に、お茶とお菓子と軽食を用意してあります。
好きに行き、好きに食べて、よく働いてください。
ただし突きあたりから伸びる廊下の先には、特に廊下の先、稲荷狐の四宝の意匠が付いた部屋へは、
決して、けっッして、 行かないでください。」
行っては、なりませんよ。 ふふふ。
絶対、ぜったい行ってはなりませんよ。 うふふ。
いわゆる「押すなよ」みたいなフリなのか、「鶴の恩返し」みたいな本当の禁止事項なのか、狐のお母さんはちっとも説明しません。
ただ穏やかに微笑み、部屋から出ていきました。
さぁさぁ、神社を清めましょう。
それそれ、汚れを払いましょう。
藤森と末っ子のコンコン子狐、放り込まれた部屋のお掃除を、さっそく始めたのでした。
「子狐。稲荷狐の四宝というのは」
「カギ、まきもの、ほーじゅ、イネのほ。
行っちゃダメ!ゼッタイ、いかないでください」
「行くなと言われている場所に立ち入るつもりは無い。言葉を知らなかったから、聞いただけだ」
「ダメ!だめ! いかないで、ください」
「分かった。わかったよ。行かない」
「ゼッタイゼッタイ、絶対、行かないでください」
「……あの、子狐。実は逆に『行け』なのか?」
「そのけんにつきましては、キツネ、もくひ」
「もくひ……?」
行けなのか、行くななのか。
なんともモヤモヤしてスッキリしない藤森です。
仕方がないのでモヤモヤを放ったらかして、ハタキにほうき、濡れ雑巾に大きなゴミ箱。
ぶんぶんビタンビタン尻尾を振りながら壺を拭く子狐と一緒に、神社掃除のお手伝い。
途中で藤森、少し喉が乾いたので、
「お茶とお菓子と軽食を用意してある」とお母さん狐が言っていた、突きあたりの部屋へ、
お茶を飲みに、歩いていったところ、
お母さん狐が「行かないでください」と言っていた「突きあたりから伸びる廊下」の先の扉が、
チラリ、はっきり、見えたのでした。
鍵と巻物と、宝珠と稲の穂の意匠が付いた扉です。
廊下の先にあるのに、何故かよく見える扉です。
あれが、 「行かないで」 と言われた扉だ。
真面目で誠実な雪の人、藤森はコクリと唾液を飲み込み、廊下の先に向いたつま先を、
ちゃんとソッポ向かせて、結局、「行かないで」の部屋へは行きませんでした。
行かないでの部屋が何の部屋で、行けば何が起こったのかは、結局分からなかったとさ。 おしまい。
雫『ねぇ、なんて行っちゃうの…私より先に逝くなんて…泣』
少女はとあるお墓の前で手を合わせて泣いている。雨の中で…
この少女には兄がいた。
そらきと言う少年がしずくの兄だ。
優しく、時にウザイ。
とてもいい兄で、しずくは心から慕っていた
「これからもずっと一緒だ」って指切りげんまんで約束した
なのに、そらきは死んでしまった。
死因は自殺。
学校の裏山で虐められていたらしい
雫「なんで、相談してくれなかったのよ…」
そんなに頼りなかったのかと、しずくは思っていた
すると突然兄が目の前に現れたのだ、!
しずく「お兄ちゃん!」
そらき「しずく〜!いつまでメソメソ泣いてんだよ!」
兄は笑っていた。
しずく「だって、」
そらき「ふっw」
しずく「何笑ってるのよ…」
そらき「いや?お前さ、少しは周りのヤツを頼りなよ?俺みたいになっちまうぜ?w」
そういう兄は何処か心配そうな顔をしてみていた。
しずく「…けどッ!」
私は迷惑をかけたくなかった
そらき「頼るのは迷惑な訳じゃない…わかったか?しずくには…味方がいるだろ?ニッ」
兄は今まで見た事のないような笑顔をこちらに見せた
葵「しずく!!」
遠い所からしずくの幼なじみの声が聞こえる
どうやら探しているようだ。
そらき「おっと、そろそろ行かないとな」
しずく「そっか、わかった…」
そらき「お前にこれやるよ!俺の付けてた髪飾り!」
しずく「!ありがとう…!」
そらき「じゃあこれでお別れだな!」
しずく「わかった」
しずく・そらき「またね!」
葵「見つけた!!!しずく!」
幼なじみが凄い焦った顔で近づいてきた
しずく「なに?」
葵「雨なのにそらきの所に来てたのか?…ってそれは…」
しずく「へへっwそらきにぃの髪飾り」
葵「…そっか笑会えたんだな」
しずく「うん!」
言葉は呪いだ。
「行かないで」
そう叫んでも、嘆いても何も答えてくれはしない。
どうにもならないことをどうにかしようとするのは無意味で馬鹿馬鹿しい。
それなら、何もしなければいい
簡単なことだ。それでも私は呪いの言葉を紡ぐ。
今はもういないものに「行かないで」と
私は常々思うことがある。それは、物分かりが良くなることはイコールで成長したと言えないのではないかということだ。確かになんでもかんでも自分の要求が通ると思い込んで好き放題言うという状態は早めに卒業するに越したことはない。それはただただわがままなだけだからだ。しかし、何でも相手の言うことを受け入れたり、相手の顔色を窺って言いたいことを飲み込んだりするのは何か違うように思う。なぜなら私自身それで後悔したことがあるからだ。
私が小さかったころ、一番仲良かった子の引っ越しが急に決まった。それも気軽に会いに行くことができるような距離ではないところへの引っ越しだった。到底受け入れられなかったが、聞き分けの良い子供を演じていた私は決して「行かないで。」とは言わなかった。だが、お別れの日、その子から言われた言葉は今も消えない傷として残っている。「一度も引き留めるようなことを言ってくれなくて寂しかった。私たちの仲ってこんなものだったんだね。」と。そんなことを言っても困らせてしまうだけだと思ったと後から理由付けすることは簡単だった。それでも一度でも言葉に出して言ってくれることを待っていたのだろう。あれから長い時が経ったが、一度も連絡は取れていない。
『行かないで』
「ここ行きたい」
「あれ食べたい」
「連絡はすぐに返して」
「毎日電話して」
「今から会いに来て」
いつもわがままばっかり言ってた。
ぜんぶ叶えてくれてた。
そんな人に
「行かないで」
だけは、言うことすらできなかった。
行かないで
ねぇ もう遠くに
ねぇ 離れて行くの?
あの時の交わした約束
置き忘れた手紙
もう あなたは居ない
暖かった温もり 今では冷たくて
行かないでと 心が何度も叫んだ
だけど 時は止められない
「彼女と私の道」
子供の頃からの夢を叶えるため、明日、彼女はこの街から出ていく。
「仕方ないよね。うちの県に私の志望する学部が無いんだから」
彼女はすべてを吹っ切ったような、さっぱりとした口調でそう言ったあと、一瞬寂しそうな表情をした。
すべての子供に平等な教育を──などと言うが、希望する職に就くための教育機関が地元に無い場合、それは本当に平等といえるのだろうか。
「でも、やっぱり、どうしても諦めたくなくて」
彼女は悩んだ末、昔から描いていた自分の夢を追うことに決めた。
親に金銭的負担をかけるかもしれないと悩んでいたが、その職業に就くことが出来たら、日本国内どこに行っても仕事に困ることはない。当然、地元に帰ってきても引く手あまた。色々と条件は出されたものの、ご両親は最終的に賛成してくれたのだという。
「絶対、絶対帰ってくるから」
約束──と、互いの小指を絡める。
「私のこと、忘れないでね」
まだ自分のやりたいことが何なのかわからないままの私は、このまま地元の大学でなんとなく大学生活をエンジョイして、そのまま地元の企業か役所に勤めて、そのまま地元の人と結婚するのだろう。
幼馴染の彼女と私の道は、ここで分かれる。
それでも今生の別れではないはずだ。
どうしてこんなに胸が苦しいのだろう。
次に会う時には、彼女が別人になってしまうような気がするからだろうか。
「絶対、ずっと友達だから」
彼女を抱きしめて、それだけ伝える。
身勝手な本音は、私の心の奥深くに沈めて。
────行かないで
お願い、行かないで、
私を独りにしないで。
そうやって貴方に縋れたら、
貴方を引き留めることができていたら、
どんなに良かっただろうか。
去ってしまった貴方の影を、
いつまでもいつまでも追いかけて。
もう手が届かないことを知っていても、
追いかけることをやめられなくて。
そうやって未練を断ち切れないまま、
今日も貴方の夢を見る。
はるな「ウチさ世界中の人と友達になろうと思ってんだよね」
みき「ええやん。で、どうやって友達になるの?」
はるな「とりましゃべったら友達っしょ」
みき「あーね」
はるな「ウチこの園の全員と友達」
みき「マジ?全員の喋ったことあんの?ユウトも?」
はるな「あるよ、ユウト電車の名前とかめっちゃ詳しい」
みき「へー旅行行く時神じゃん。え〜、じゃあユメノは?」
はるな「ユメノは好きなキャラ一緒だし」
みき「ユメノ、キュアニャミー好きなの?マジ気合うじゃん。りじちょーともしゃべったの?」
はるな「当たり前じゃん。今度このブランコ新しくするらしいよ」
みき「ヤバいじゃん。はるな、幼稚園制覇してんじゃん」
はるな「マジでそれ」
みき「てか最初どこ行く?」
はるな「やっぱハワイじゃね?」
みき「じゃ今から行っとく?」
よく晴れた秋の昼下がり。ひだまり幼稚園は今日も平和です。
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お題:行かないで
うちの猫は、家族の中で父の事が一番好きだった。父が外から帰ってくると、ドアが開く前に気付いて我先と迎えに飛んでいったし、父が出掛けると玄関の前で「にゃ〜〜お」と大きな声で鳴きつづけていた。わたしの時は見送りもお迎えも、気が向いた時にしか来てくれなかったのに。やはりごはんをあげる者は強い。
季節に箔を付けるために、その時期にあった服を着るために衣替えをするのだが、なかなか温度がいい感じにならない、上を向けばどこまでも続く青い空、動けばまだ暑い。嗚呼、衣替えをしてやるぞという、私のやる気が去っていく。行かないでと言っても、寒いなら、その辺の羽織で何とか間に合うでしょ、と去っていく。
行かないで
小説向けのお題だね。たまには小説を書いてもいいけど気分じゃないし昨日のことでも書くか。
昨日の昼は結構暑かったな。ついエアコンをつけようと思ったくらいだ。そろそろ扇風機を片付けようと思ってたけどまだいいかな。
しかしもう11月のなるってのにまだまだ暑いね。去年のことなんて覚えてないけど毎年こんな暑さが続いたっけか。残暑が厳しい。
かと思えば夜は割りと寒かったりするから気温差が大変だ。それでも真冬の厳しさに比べれば今の季節は過ごしやすいけど。
それと椅子を買い換えたからその感想でも書きたいけど長くなるからまた今度にしよう。ただ椅子を買い換えて部屋の床が傾いていることに気付いた。
正確には床じゃなくて畳なんだけどな。底辺だからいわゆる和室界隈に住んでる。
それはともかくなにが原因か畳が部屋の真ん中に向かって傾いている。普通にしてたら気付かないレベルなんだけど新しく買い換えた椅子が勝手に部屋の真ん中に向かって回転するから気付いた。
そのことに気付いたら部屋の居心地が悪くなった。畳も飽きたしなにより嫌だから引っ越したいけどめんどくさいしそんな金もない。困ったものだ。
白い軍服を肩から羽織り、まるで外套のようにはためかせながら、男は大股で急いていた。
表情は険しく肩で風を切る姿に、すれ違うものは皆驚き男に道を譲った。
「—レイ!」
扉を開くと同時に男—ウォーカーは吠える様に呼びかけた。呼ばれ振り向いた赤毛の男は、ウォーカーを見とめるや否や和かに応えた。
「ウォーカー!こっちから声掛けに行くつもりだったのに。わざわざ来たのか?」
数名の部下と共に荷造りしていたようで、既に部屋の半分程が片付き殺風景に見えた。それがウォーカーの心境を逆撫でした。
「あのふざけた辞令は本当なのか」
—レイ・ウォーリア少佐をダマスカス国境地帯第二戦闘区域第十四番隊部隊長へと任ずる。
「ふざけたってお前なあ。映えある抜擢って言ってくれよ」
「馬鹿言え!あそこは…」
死にに行く様なもんだ。ウォーカーは言いかけて喉が詰まる。国境地帯の戦闘区域は何処も激しい戦闘が続いている。
前任がヘマをした尻拭いを誰かがしなければ、必ずそこから敵は攻め込んでくる。早急に対処が必要だった。
そんなこと誰もが理解していた。ただ納得がいかないだけで。
「分かってる。遊びに行くつもりなんて無い。でも心配要らない。俺の悪運知ってんだろ?な、大佐?」
レイは茶化すようにウォーカーの胸を小突くも、その手をがっしりと取られる。怒気をはらんだ顔がぐっと近付く。
「だからって、見送れって言うのか?!友が、死地に赴くのを!黙って!!」
あまりの気迫にレイは口をぽかんと開けて呆けた表情で固まった。二人の様子に、側にいたレイの部下達も荷造りの手を止めて見守っている。
この口下手な男が必死に何か伝えようとしている。長く側にいた友だからこそ、レイには分かりきっていた。それが嬉しくも心苦しかった。
「ウォーカー。俺が行かなきゃ他の誰かが行く羽目になるだろ」
「ならお前じゃなくていい」
これは長引くぞ。レイは苦笑し部下に目配せする。二人は静かに頷きそそくさと部屋を後にする。
「そういうわけにはいかないだろ。国の危機なんだから」
「ならこんな国滅んじまえ」
「そんな悲しいこと言うなよ」
レイはそっとウォーカーの手に自分の手を重ねた。手首を握る彼の手は情けない程小さく震えていた。ウォーカーは何度も何かを言いあぐね、漸く虫のさざめき程小さな戦慄く声で告げた。
「……行くなよ」
なんて弱々しい姿だろう。味方を鼓舞し、自ら敵陣へと斬り込む、皆が知る勇敢な姿とは全くの別人だった。
「帰ったらさ、愚痴でも何でも全部聞くから。だからさ…」
レイの頭上から小さな嗚咽が聞こえる。肩口に覆い被さるように、ウォーカーが額を擦り付けた。
まるで母に縋る子供のようだ。レイは困った顔で微笑んだ。
「そんな顔すんなよ」
≪行かないで≫
《3日目》行かないで
「俺のもの残ってたら捨てていいから」
ただ、それだけを言い残してあいつは消えた。
「…行かないで」
いなくなってからでは遅いのに。