『突然の君の訪問。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ただいま、と玄関ドアを開けた時に、その声は聞こえる。
警戒の色と、焦れた羽音の、短いメロディ。
どうしてそばにいなかったのかと、少し怒っている。
11年共に暮らし、旅立ってから10年たつのにね。
心配せずとも、新入りの文鳥はいないよ。
【突然の君の訪問。】
あ ごめん
い 何回も聞いた
あ …
い …コスモス?
あ ?
い あっという間
あ そうだな
『突然の君の訪問』
油断していた。
隠すべきものを隠す余裕がなかった。
突然扉を開けられ、マゴつくままにすべてを見透かされた。
お手上げだ。
突然の君の訪問。
いや、突撃といってもいい。
もう少し秘密にしておきたかった。
心の扉を閉めたまま、ニヒルな自分を演じていたかったのに。
「君が好きだよ」
そんなセリフを土産に突撃されたら、ニヒルなまんまでいられる訳がない。
そもそも、ニヒルって何なんだ?
心の中は、アヒルみたいに羽をバタバタさせて騒いでる。
扉は全開。だって君ならウェルカム。
もう、ニヒルは捨てました。
今度は、君の心にお邪魔いたします。
「俺も好きです」
のお土産持ってね。
家に居たかった
カーテンを閉めた暗い静かな部屋で
心を薄めていたかった
彼女ができた。急にどうした? と思っていることだろう。だが聞いてほしい。この長い18年という人生、オレにはついぞ彼女ができたことなぞなかったのだ。
それが。……それが!
「急なんだけどさ……今日、お家、行ってもいいかな……? 一人暮らし、なんだよね……?」
一週間前、まさかの彼女からの告白!(前から好きな子! オレだって誰でもいいだなんて失礼な男じゃない)
そして今日、裏庭で昼食を取っていたところ、彼女からの突然の家庭訪問催促!! 違う、お家デート!!(ちょっと馴染みの無い異文化すぎて言葉を間違えた)
人生薔薇色すぎてこわい。もしかしてオレ、ついに、ついに来ちゃいましたか? その……ね? みなまで言わせるな!
放課後、待ち合わせして一緒にオレの家に行こう、という話で落ち着いて彼女とその場から別れた。やばい、オレ今顔面保っているか。心配になりつつ教室に戻ろうと振り向くと、見覚えのあるニヤついた友人トリオ。顔面すごいぞお前等。
「おいおい、お前、急展開すぎんだろ! もう連れ込むわけ!? ヒューッ! 感想聞かせろよな!」
「お前アレだぞ、アレ買って帰ろよアレ! ンへ」
「いやコイツやで? そこまで行かへん行かへん! チロルチョコかけてもええで!」
たいへん下衆である。好き勝手言いやがって。うるせーどっか行けと言っても一向に離れないのでチロルチョコを一人一個ずつ渡していくと各々教室に帰っていった。なんなんだよお前等は。
その後これと言って何事もなく一日を終えて、ついに放課後である。そして、inオレの家。場面が一気に飛んだ? 仕方ないだろう、オレの心情はもうずっとジェットコースター状態で時が加速しまくりなんだ。今日、午後からの授業の記憶マジでない。
「えっと、あの……なんか飲む!?」
「あ、うん。じゃあお願いするね」
緊張が尋常じゃない。喉カッサカサだ。むしろオレがなんか飲まないと死んじゃいそう。飲み物を用意しようと立ち上がった拍子に、膝をテーブルに打ち付けてしまった。なんでこんなところにいるんだテーブル! ウオオ、痛え! そしてオレ最高にダサい! 悶えていると彼女が慌てたように立ち上がった。
「だ、大丈夫!? 痺れるでしょ。そんな慌てなくてもいいよ。……意外におっちょこちょいなんだね。ふふ」
なんだそれ、天使か、天使なのか、そうなんですねえ!? 脳内ファンファーレが鳴りまくる。オレの彼女可愛いすぎか? ちょっとびっくりしちゃったな。
「だ、大丈夫! ごめん、ありがと、あ」
「え? わっ」
少し蹌踉めいてしまった。断じてわざとじゃない。本当にちょっと体が揺れた程度だったけど、わりと今、オレたちの距離は近かったものだから、軽く体がぶつかってしまった。顔が近い。……エッ!? これ、そういうやつ!? オレわかんない! 何もかもがハジメテだもの!
彼女も頬をうっすら赤く染めつつ(可愛さの限界値突破してる)離れようとしないし、オレはなんか熱いし、頭から湯気が出そう。しちゃっていいのか、こう、ブチュッと。いいのか!? それにしたって心臓がうるさすぎる。ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、ドシン! ……あ?
心臓の爆音じゃない別の爆音が明らかにしたぞ今。外から? 彼女も聞こえたようで、二人して首を傾げ、そして窓を見た。何もない。無いけど、近付いて、窓を開けてみる。下を覗くと、見覚えのある顔が三つ。
一様に、ヤベェという顔をしながら三人同時に口を開いた。
「……お、お邪魔してま〜す……」
「邪魔すんなら帰ってェ!!!??」
テーマ「突然の君の訪問。」
突然の君の訪問。
突然の君の訪問は
絶対に嬉しい。
「逢いたいから
来ちゃった」と
言われたい。
次に逢えるのが
本当に嬉しい。
突然の君の訪問
「え、なんで来たし」
「行くって言ったろ」
「連絡したって聞いた」
「せめて既読ついたの確認してからにしてくれない?」
私と弟は訳あって離れて暮らしている。自由人という言葉がしっくりくる弟は、そりゃあもう周りになんと思われようが関係なしに「思い立ったが吉日!」をモットーにアクションを起こすのだ。
「既読ついてから来い」って言ったの、これが初めてじゃない。腐るほど言ってる。耳にタコが……できてほしいな、いっそ。
今日は都合が悪いわけでもないから、黙って弟と後輩を家に上げる。
「お茶菓子なんもないけど」
急な訪問が億劫なのは、独りでいたいとかじゃない。
自由人の弟とは生まれてからの付き合いなのでいつ来られてもいいように常に部屋を片付けている。だから、そっちの問題もない。
単純に、おもてなし用のお菓子がないのが私的にいや。ただそれだけだ。
「持参したから紅茶だけ淹れてくれ」
「レモンタルトがおいしそうだから買ってきた」
ああ、なんだ。それなら別にいいや。
それにしてもレモンタルトか。弟、レモンに取り憑かれてるんじゃないかってぐらいレモン大好きだからね……。「紅茶を淹れろ」なんて言い方を図々しいなと思わなくもないが、
「レモンティー?」
「なんでレモンにレモン合わせるんだよ。ビタミンC不足か?」
いや、あんたが前にレモン×レモンがいいって言ったんだが? と、言いたげな顔の後輩がジト目で弟を睨んでいた。私の代わりに。
(いつもの3人シリーズ)
『突然の君の訪問』から
数日が経った
はたから見れば
平時と変わらなく
時間が過ぎているように
見えるはず
いや
はたから見なくても
わたし自身は平時と
変わらず生活している
だけど、
何かが心なのか、頭なのか
わからないけど、刺さっている
「なんだったんだろう」って!
友人に話したくなる
「どう思う?」
まー
【突然の君の訪問。】
終電まで仕事をして
片手には半額の弁当とビール缶
何とか階段をあがり
アパートの扉前まで辿り着く
さあ 入ろうとしたところに
なー という声がした
するり と俺の足に擦り寄ってくる
久々のダチ
暫く見かけないと思ったら
生きていたんだな
何かなかったかとビニール袋を漁り
半額の刺身が出てきたので
半分 そいつにくれた
ダチは満足そうに
喉を鳴らしていた
【突然の君の訪問。】
毎日が憂鬱だった。
そんなある日突然君が来た
『にゃ〜』と鳴きながら
捨て猫だった
その日からこの捨て猫を飼うことにした
飼い始めてから毎日が楽しくなった
朝、起きたら君がいる
買い物や学校から帰ってきたら君がいる
突然の訪問は驚いたけど訪問してくれてありがとう
突然の君の訪問。
とか、ないかなぁーーー
って、毎日思ってる。
会いたい人。
お前が会いに行けばいいじゃないかだって?
僕は行動的じゃないから無理です。
憧れの人。
僕の何百倍も行動的で明るくて、魅力的な人。
当然友達が多い。
僕にとっては、大切な記憶の中の人。
僕はその人の友達の中の一人だけど
その人から必要とされたことはない。
でも僕は
その人の気遣いに救われてきた。
僕のことは
もう忘れちゃったかもね。
それでもやっぱり僕は
突然の君の訪問を望んでいる。
「突然の君の訪問。」
今日の明け方、君は突然現れた
しかも、どアップで...
あの懐かしい笑顔
飛びっきりの笑顔
夢とはいえ、それはそれは驚いたよ
最近、私が塞ぎ込んでたの
上から見てたのかな?
突然の君の訪問に...
とても嬉しい訪問に...
涙が止まらなかったよ!!
【突然の君の訪問】
「なんで、きみが…?」
「君が好き」
そんな事を言ったきみ
自転車に乗ってここまで来たみたい。
そんなことしたら忘れられなくなるじゃん。
だけど僕達は前みたいには
戻れないんだよ…。
「ごめん。…愛してた。」
ボロボロのアパートの一角、インターホンなんて大層なものはなく、コンコンとノックがされた。
「……チッ、こんな夜中に誰だよ」
疲労と眠気と押し付けられた書類から、𓏸𓏸はノックをしてきた人間にやり場の無い怒りを向けた。
「……はい」
「…………あ、ごめん……寝てた……?」
不機嫌そうに扉を開けた先には、何故か息を切らしてベトベトに汗をかいた××がいた。実に高校以来、5年振りの再会である。
「……何しに来たん」
「えっ、とぉ……行く場所が無くて……?」
「……そんで元彼の家来るやつがおるか。その辺のネカフェでも泊まってろや」
「……1泊だけ!だめ……?」
そう言って××は覗き込んでくる。角度が危うい。汗で張り付いたTシャツは当時より成長した体のラインを強調していて、何とも目に毒だ。
「……とりあえずシャワー浴びてこい」
「ありがと!信じてた!」
「……服は新品のやつ出しとく。ブカブカでも我慢しろ」
「うん!」
歩き出した××が数歩歩いただけでふらりと倒れる。咄嗟に𓏸𓏸が支えたその手ですらも痛そうに顔をゆがめた。
「……お前」
「ご、ごめん!何でもない!シャワー浴びてくる!」
逃げるように浴室へ向かう××を見て思い出す。喧嘩別れでは無かったため、偶に連絡を取り合っていたのに一時期からピタリと生存報告が無くなったこと。そして痛みに耐えるような歪んだ表情。突然の訪問。
「……アイツ」
玄関の扉に鍵をかけ、××が好きだった夜食を作り始める。勝手に××の置かれている状況を想像して、勝手に体が動くのはまだ心のどこかで……そこまで考えて膨らむ思考を押さえつけた。
『突然の君の訪問。』
(突然の君の訪問。)🦜
あのね。
・突然に
僕達 すずめ、が
家のベランダや
玄関に
訪れたら
・大変喜ばしい
事なんだよ。🦜
(それはね。)
「家庭円満。立身出世。
子孫繁栄。
突然の、金運上昇。
・そんな家にしか
訪問しない。」🦜
《でもね。》
✣雀は、
とても、臆病だから
静かに、
優しく
見守ってほしいんだ。🦜
【必ず、幸運が
舞い込むよ。】
❝僕が、約束するからね。❞
突然の君の訪問。
ピンポーン♪
?誰だろう。
配達も予定も何も無いこんなときに。
私はインターホンのカメラを見、驚いた。
映っていたのは友達だった。
「あれ、約束したのは明日だったけど……どうしたの?」
「え?!明日?
ごめん!間違えた!」
「せっかく来たし……上がる?」
「いいの?
じゃあ、お邪魔します!」
まずい、これはまずい。
何がまずいって自室が足の踏み場の話どころではない
くらいに散らかっているのだ。
リビングで待ってもらい、
慌ててクローゼットに散らかっているものを放り込んだ。
ガタッ!ドスッ!ドン!
急げ、急げ!
ふと、視線を感じ、ドアの方に目を向けた。
友達が立っていた。
「すごい音がしたからつい……」
「見た?」
「ミ、ミテナイヨ!」
「見てたかあ……諦めよう。
もう少し待ってて!」
「は〜い!」
掃除機をサッとかけ、机を用意。
お菓子と飲み物を置いて……
「いいよ〜!」
「は〜い!」
突然の訪問は慌ただしく、
秘密もバレてしまったが、楽しかったのでよしとする。
チン、とトースターの音が鳴った。
淹れたてのコーヒーの香りが部屋に広がる。
用意していた皿にトーストを乗せ、
マグカップと一緒にテーブルへ。
朝よりも少し遅く、昼よりは少し早い。
そんな、緩やかなひととき。
今日は完全に休みなのは確認したし、
家でのんびりと過ごそう。
そう思い、トースト片手に新聞紙を開く。
普段は新聞なんて読まないけど、たまには良いだろう。
遅めの朝食を食べ終え、コーヒーも残りわずかの時。
1件の通知音をスマホが奏でた。
『おはよ!起きてる?…』
唐突なメッセージ。
よく見れば続きが途切れている。
何を送ってきたのだろうか。
アプリを立ち上げる。
相手とのトーク画面。
それを見るやいなや、
はっとしてすぐに玄関まで駆けていった。
───『突然の君の訪問』(2024.08.28.)
突然の君の訪問。
叫んだ。心の中で。実際に出たのはヒッ、という鋭く息を呑んだ音だけだった。
抜き足差し足棚に置いてある強力スプレーを手に取り背後に回って噴射する。
去ね!!!!!!
滅びの呪文を唱えながら煙幕の中目標が仰向けになって転がったのを確認。
ということが起きて以来、絶対に彼らの訪問を受けないために推奨されるあらゆる場所に忌避剤と毒餌を置き、月1の空気噴射も欠かさず行っている。
君は出禁。予約も断りもなしに敷居をまたぐことは絶対に許さない。
もちろん予約され挨拶されても訪問は受け付けない。
何の連絡もなく、突然の君の訪問。
いつものことだ。
君はいつも突然来ては、僕を遊びに誘うのだ。
予定がある時はちょっと迷惑だけど、暇な時は僕も誘いに乗ってついて行く。
君は行き先を言わない。
僕の分の必要なお金を払ってまで、君はサプライズしようとする。
なんだか悪いけど、君はとても楽しそうだ。
君の行く先はいつも面白い。
僕を思いも寄らないところへ連れていき、世界を広げてくれる。
自分では絶対に行かないであろう場所でも、君に教えられた場所は常に楽しい。
君のおかげで日々を楽しく過ごすことができる。
でも、いつか僕も君を驚かせられるようになりたい。
君からもらってばかりじゃ悪いし、僕もサプライズを仕掛けるのは好きだから。
このアプリをダウンロードしたのは2024/08/28。
アプリを通じて と知り合ったのもその日。
その時は、 が突然家に訪ねて来るようになるほど、仲良くなるとは思ってもいなかった。
家に来るまでは、電車の乗り継ぎが何度も必要だから、時間もかかっただろうに、家までの通り道だからと熱々のたこ焼きまで買ってきてくれた。
僕は、 専用になったコップに、 が好きな温かいお茶を注いで渡した。