『突然の君の訪問。』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
Summerhappyhalloween🎃
私達は、夏休みの在庫の想い出して、想先生んちで、halloweenパティーをすることにした。
木田太一君、河井夏音ちゃん、中村ひなたちゃん、高橋悟君。
木田太一君は、明るくてムードメーカーで、部活は、サッカーをしている。河井夏音ちゃんは、ショートボブで、しっかりとした女のコで、アニメが大好き。中村ひなたちゃんは、とってもカワイイ女のコで、緩いくせ毛で、趣味は、音楽鑑賞。パステルカラーの似合う女のコです。高橋悟君は、優等生だけどもやさしい。私、坂野あんずを含めみんな仲良し組💙
木田太一君は、ワンピースのルフィーの仮装、河井夏音ちゃんは、鬼滅の刃の魘夢の仮装。ちょっと、暑いのに頑張っているな〜。中村ひなたちゃんは、涼宮ハルヒの仮装だぁ〜^_^黄色のリボンがよく似合っている。でも、ひなたちゃんは、ポニーテールね。カワイイ〜(#^.^#)高橋悟君は、鬼滅の刃の炭治郎の仮装だ。私は、ゾンビメークと、白いワンピース風です。みんなで、会った時は、笑ったね〜。夏音は、私を見て『あんず顔色、悪くない〜www』と、言った。『それりゃ、ゾンビだもんで^_^♫(笑)、夏音ちゃんは、暑いのに、魘夢なんて、頑張ってたネ〜。ちゃんと涙のマークも入っているし』夏音ちゃん、クスリと笑って、『眠れ〜✋』と、言った。ひなたちゃんのハルヒは、みんなに好評だった。『高橋君と私は、今日は、敵同士だネ〜』と、夏音ちゃんは、言った。『君に苦痛の夢を見せられるだよな〜』とか、言いながら、高橋君は、クールに笑った。木田太一君は、『行くぞ〜、みんな、俺に、ついて来い!!』、大股で、歩き出した。ひなたちゃんが、『木田君、ルフィしているネ〜』と、肩を竦めて笑った。『ひなたちゃんとも、ハルヒなら『面白くなりそう〜❢』と、強きならなきゃね〜』と、夏音ちゃんは、言った。こんな感じかな〜、『面白くなりそう〜。』と、やや、控えめぎみだった。(^_^;)
想先生のマンションの部屋の前でした。炭治郎もとい、高橋悟君がインターホーンを鳴らした。ガチャリと、ドアが開いた。
想先生は、ドラキュラの仮装をしていた。
『皆さん、良く来てくれました。我が城へ』と、想先生は、瞳を大きく故意にさせて、黒いマントをハラリとさせた。
『想先生、赤いカラコン入れているんだ〜』と、木田太一君が、言った。
『先生、これでも、頑張ったんだぞ〜www』と、想先生は、爽やかに屈託なく笑った。
『みんなも、頑張ったな〜。ひなたのハルヒカワイイな〜』と、想先生は、言って、私のこともチラリと見た。いまの何?!と、自問自答した。
私が、立ちつくしていると『想先生、私達のために頑張ってくれているネ。あんず早く行こう〜(*^^*)♫』と、私を呼んだ。
ーーお城のドアが軋む音をたてて、閉まった。 終わり
【突然の君の訪問。】
仕事から帰れば、家の前に見慣れない男の子がいた。
「あ、おかえりなさい」なぜか私を知っている様子。
「えっと、どちら様?」見た目では高校生か、大学生か。
そんな若い知り合いに心当たりはまったく無いが。
「父さんから聞いてないんですか?」と首を傾げられる。
「お父さんって誰?」知っている人の面影は、ないな。
兄の子供はまだ中学生だし、妹の子供は生まれたばかり。
おかげで私も両親に結婚を急かされて煩わしい。
スマホを確認するが、子供を預かる頼まれ事はない。
記憶を辿っても、口頭や電話で頼まれた覚えはない。
事情は話してあるって言ってたのに、と彼が呟く。
彼の口から出た名前は、幼い頃に親しくした従兄だった。
いつまでも外で話して変な噂が立ったら困る。
ひとまず彼を招き入れ、椅子に座らせてお茶を出す。
「ちょっと待っててもらえる? 確認するから」
従兄に電話をかけながら、私は廊下に出た。
しばらくして繋がる。『久しぶりー』と呑気な声。
『電話なんて珍しいな。どうした、なんかあった?』
「あなたの子供を名乗る男の子が私の家にいるんだけど」
『おー、無事に着いたんだ』それがどうした、みたいな。
「あなたの子供を名乗る男の子が私の家にいるんだよ?」
『うん、聞こえてたけど。無事に着いてよかったな』
「なんで私の家にいるのかな?」圧をかけて問い詰める。
「……言ってなかったっけ」ようやく気づいたらしい。
聞けば、彼の大学は実家から遠いが一人暮らしは心配。
それなら、と大学に近い私の家に預けると決めたと言う。
男の子は安心した様子で笑う。「よろしくお願いします」
私は構わないけど、一応、年頃の男の子だよね。いいの?
久しぶりですね。と、声をかけられてトクンと胸が高鳴る。これは恋ではないけれど。懐かしい君の笑顔にハッとさせられたのだろう。恋って何だっけ?と、自分に問い掛ける。答えはよくわからないだ。胸のドキドキが恋だというのなら、きっと僕はみんなに恋してる。変なの。この気持ち。
「突然の君の訪問」
「へぇ、綺麗にしてんじゃん?おっ、エッチな本発見!」
「ちょ、やめてよ!」
まさかこんなやり取りを高校のアイドルだった君と出来るなんて…
「あらー…ホントに最低限のモノしか置いてないね」
冷蔵庫、ロデオボーイ、ベッド…無趣味でつまらない男の部屋…なんだか急に恥ずかしくなってきた
ドアを開けた瞬間、君だとわかった、卒業して15年も経つのに君は全く変わってない
「テレビとか見ないの?」と彼女
「あ、無いからスマホのワンセグで見てるんだ」と僕
「たいへん!じゃあ受信料払わなきゃじゃん!今すぐこの契約書にサインして!」
「えっ?ちょっと…君、NHKの徴収員だったの?僕をだましたの?」
「君、変わっちゃったね。クラス委員長だった君がまさかNHKと契約を結んでないなんて…どうしてそんなことが出来るの?NHKじゃなくて悪魔と契約しちゃったの!?」
大袈裟な…
「ごめん…サインするよ…でも約束してほし…」
「シャラップ!サインアップ!」
「………はい」
「で?何を言おうとしてたの?」
「15年ぶりに東京でこんな形で再会できるなんて…すごい奇跡だと思わない?これって絶対なにかの縁だと思うから連絡先交換しようよっ」
「下心丸出し…そのぽっちゃりボディを鏡で見てみなよ?ロデオボーイもろくに乗りこなせてない君が私を乗りこなせると思う?…さようなら」
バタン…
僕と縁があったのは彼女ではなくNHKだったようだ
「あ、はい!行きます!」
思わず返事してしまった。
ぼーっとスマホを眺めていたら、
『その映画、今日見に行きなさい』
ハッキリ声が聞こえた。
スマホを持つその手の形のまま、時間を調べると次の回は16時5分、ちょうど1時間後だ…間に合う。
後々のこと考えたらとても映画なんて行けないけど、とりあえず声の通りに行動してみます。
突然の君の訪問。
小さな声に驚いた。迷い込んだのかな。
刺激しないように様子を見守る。
どこかぐったりしているようにも見える。
この暑さに参ったのだろうと、水を小さな皿に入れてそっと差し出す。
ぺちゃぺちゃと音を立てて舐めとったのち、くるりと丸まって寝息を立てていた。
「お休み」
その日は休日だった。普段なら仕事をしているのだが、先日代打で入った休日出勤の代わりに出来た振替休日。平日ど真ん中の水曜日。何処かへ行こうにも明日はまた仕事。遠出も出来やしないし、部屋の片付けでもしようかなんて考えていた朝だった。
テレビの横に置かれたデジタル時計が10時12分になった頃、家のチャイムが鳴った。荷物が届くような事は無い筈だし、勧誘か何かだろうか。だったら居留守を使おうと思いながら、インターホンを確認する。画面に映った意外な人物に驚き、俺は慌てて玄関に向かった。
「よぉ。元気か?」
扉を開けると、聞き慣れた声が飛び込んでくる。久しく会って無かったその顔が目の前にある事に俺は驚きが隠せない。
「山﨑……久しぶりだな」
「ヤマサキな。お前変わんねーな」
「お前もな」
俺は目の前に現れた彼――山﨑透をとりあえず部屋の中へと招いた。彼とは高校時代同じ寮の部屋で過ごした仲だった。お互いその後進学した大学が一緒だったのでよく会っていたが、就職後は中々会えず、最後に会ったのは1年前…友人の結婚式だったと思う。
「んだよ、相変わらず散らかってんねぇ〜。この様子じゃ片付けてくれる彼女も居ないってか」
「余計なお世話だよ。これから片付けるつもりだったんだ」
「へぇへぇ。お前はそう言って片付けた試し無いだろ」
「うるせ。適当に座ってくれよ」
「悪いね。あ、これお土産」
部屋を見回しながら山崎は物をどかしてソファーに座る。来るのがわかっていたなら昨晩のうちに部屋を片付けたんだが、どうしてこいつはいつも急に来るのだろうか。
大学時代もそうだった。レポートが終わらないと言い夜中に押し掛けて来たと思ったら、ある日は早朝5時に出掛けるぞ!と部屋まで入って来た。
お互い何があるかわからないと合鍵を渡していたのも悪いのだが、時間帯やら予定やらを確認して貰いたい。
しかし何故だか、彼が来る時は必ず俺は暇なのだ。何か予定が入っていても、キャンセルになってしまった日なんかに限ってやってくる。
「んで、ヤマは何しに来たんだよ。相変わらず急に押し掛けてくるよな。俺が居なかったらどうするつもりだったんだ?」
「でも、居ただろ?オレはお前が居るのをわかってて来てるんだよ」
「お前って昔からそうだよな。なんで俺が暇だってわからんだ?」
「特殊能力ってやつかな」
そう言ってダサい決めポーズでドヤ顔をする。山﨑のこういうおちゃらけた所も相変わらずらしい。そしてセンスが微妙なのも相変わらずな様だ。
「急に来といてなんだけどさ、時間が無いんだわ。ちょっとオレに付き合ってくれよ」
「本当になんなんだよ。相変わらず忙し無い奴だな」
「たまには良いだろ?」
「仕方ないな。付き合ってやるよ」
「そう来なくっちゃ」
山﨑はいつも俺を引っ張ってくれた。何処へ行くのも何をするのも、山﨑が俺を誘い俺は後ろをついていく。多少強引な事もあったが、その強引さが心地良かった。
俺は昔から積極的に何かをする方では無いし、自分の意思で決める事が苦手だ。何をするのも、始める為の一歩が中々踏み出せない。踏み出す位ならやるなくても良いとすら思うタチだった。
そんな俺とは反対に山﨑はなんでも突っ込んでいく、ガキ大将のような男だった。
何をするにも一番。みんなの先頭に立って引っ張っていく。気になる事はすぐにやってみるし、思い立ったらすぐ行動に移す。リーダーシップに長けていて、いつも周りには人が集まっていた。
明るくて、ユーモアがあって面白い。勉強はあまり得意な方では無かったが、運動は出来た。女子にはモテないが男子にはモテる。同性、異性問わず、友達にしたいタイプの人間である事は間違い無かった。
そんな山﨑の性格が大人になっても変わってない事に嬉しくなりながらも、やはり急に押し掛けて来た事が気になった。
大体今日はたまたま振替休日で家に居たから良いものの、普段なら仕事をしているのだ。急に来られた所で留守にしている。
「ヤマ、なんで今日俺が家に居るってわかったんだ?」
「俺エスパーだから」
「……じゃあ、なんで急に家に来たんだ」
「お前に会いたくなったからかな」
「…………会話にならねぇ……」
「ははは、相変わらず細かい事を気にするよな。んな事どうだって良いだろ。そのうちわかるんだから。それより支度出来たならさっさと行こうぜ」
山﨑は立ち上がって玄関に向かうと、靴を履いて外へと出ていった。こういうせっかちな所も変わってないらしい。
「待てよ、すぐ行くから」
俺も慌ててバッグに荷物を置いて詰め、山﨑の後をついていった。
***
「そんなに大荷物……何入ってるんだ?」
電車に揺られながら、山﨑が、不思議そうに俺のバッグを見つめている。心配症は昔からで、つい荷物が増えてしまうのだ。
「何って大したものは入ってないよ。財布だろ、携帯だろ、タオル、リップ、日焼け止め、パンツ、靴下、エコバッグ、ゴミ袋、ティッシュ……それから……」
「待て待て、財布、携帯、タオルまではわかるが、パンツと靴下ってなんだよ。要らないだろ」
「急な雨で濡れるかもしれないだろ?」
「どれだけの雨にうたれるつもりなんだ?大体折り畳み傘だって持ってるんだろ?」
「あぁ、もちろん」
俺はバッグから取り出した折り畳み傘を山﨑に見せる。コンパクトだがちゃんと大きく広がる折り畳み傘だ。これは普段からバッグに必ず入れている。
「相変わらずの心配症だな。今日は晴れ予報だぜ?」
「何が起こるかわからないのが夏だろう」
「準備が良いと言えば聞こえは良いが……。いや、お前の場合いつ災害にあっても大丈夫そうだな」
「あぁ。非常食セットも持ってるぞ」
「本当に準備が良いよ、お前は。俺もお前位準備が良ければな……」
「何か言ったか?」
「いや。お前はそのままで良いぞって話だよ」
電車で揺られる事2時間。他愛無い話や昔話に花を咲かせていると、2時間という時間はあっという間だった。
着いたのは神奈川県藤沢市江ノ島。平日ど真ん中という事で、流石の観光地も空いている。
「よし。じゃあ、海鮮食いに行くぞ!」
「その為にここまで来たのか?」
「シラスの時期だから美味いんだよ。オレは死ぬ前にシラス食っとかなきゃ、死んでも死にきれねぇと思ってさ」
「お前ってそんなにシラス好きだったか?」
立派な門構えの駅を出て真っ直ぐ進む。海の上の橋を渡ると、海鮮の炭焼きが良い匂いを漂わせてきた。
「イカ焼きもあるぞ。浜焼きも美味そうじゃん。何処の店入るんだ?」
俺はこの辺りの海鮮に入ると思ったのだが、山﨑は一行に足を止める気配がない。
「そんな所じゃ食べねーよ。美味い店があるんだ。ほら、行くぞ!ここまで来たんだから、登らなきゃ損だぜ」
「はぁ!?まじで言ってんのか?」
そう言うとさっさと山﨑は歩き出した。鳥居に向かう坂道を登り、段々に折れ曲がる階段を登っていく。途中現れた神社でお参りをしたかと思うと、またすぐ上へと登っていった。
「ストップ……休憩……。一旦休憩……」
俺は暑さと慣れない運動で汗が止まらず、上がった息も整わないというのに、前を行く山﨑は息が上がるどころか汗一つ掻いていない。
普段から運動をしているのかもしれないが、それにしたって結構な距離を登ってきたというのに、おかしなものだ。
「ったく……情け無いなぁ。本番はこっからだぞ」
「本番が……ここからだ……?ここ、もう頂上だろ?」
俺は目の前に見える灯台の方を見る。この先に行けば蝋燭灯台の展望台がある所だ。確かにまだ道は続いているが、奥は確か恋人の聖地と呼ばれるカップルのスポットとその更に奥に岩で出来た洞窟がある位の筈。
俺たち2人で恋人の聖地に行った所でどうしようもないし、岩の洞窟に行くなら最初から船に乗っていた筈だ。だったらこの先何処まで行くつもりなのか。
「何言ってんだよ。まだ海鮮食ってないだろ?店があるのはこの先」
「げっ……まじかよ。観光で腹減らしに登った訳じゃねーの?」
「当たり前だろ。まぁ良いや、少しそこで休んでろよ。たこせん買ってきてやるから、分けよーぜ」
そう言って、またも俺を放置し山﨑はさっさとたこせんの列に並んでいった。
俺は近くの木陰にあったベンチに腰掛け、汗を拭う。途中自販機で買ったお茶はすっかりぬるくなっていた。
「お待たせ」
半分に割られたたこせんとラムネの瓶を持って山﨑が戻ってきた。たこせんは早くも山﨑の口に入っている。
「食うのが早ぇよ」
「これはあったかいうちに食うのが良いんだよ」
薄く伸びたたこを味わいながら、冷えたラムネを流し込む。しゅわしゅわの炭酸が喉の奥を通っていく感覚が気持ち良い。甘ったるさも今は丁度良かった。
「江ノ島結構来るのか?慣れてるけど」
「来ないよ。忘れたのか?昔お前と2人で来たの」
「え?あぁ……大学の時のか?そういや来たっけなぁ」
「お前の恋愛成就願いに来ただろ〜。結局告れずに、相手の子彼氏作っちゃったけどさ」
「良いんだよ、それは……」
「男ばっかの寂しい青春だったぜ。今思えばそれはそれで楽しかったけどな」
「まぁな」
空を見つめる山﨑の横顔が何処か切なく見えたのは気のせいだろうか。
俺は残りのラムネを飲み干し、立ち上がった。
「急ぐんだろ?昼になっちまうぜ」
「なんだ?たこせん食ったらやる気出たんだろ」
「そんなとこだ。行くぞ」
空き瓶を店先に返し、俺たちは更に奥へと向かっていった。なんとなくラムネについていたビー玉は回収しておいた。
そこから更に歩いて30分は経っただろうか。目的の店まで来たのに、山﨑は入ろうとしなかった。
「この店なんだろ?平日だから、まだそんなに混んでないぞ」
「んーそうなんだけどさ。ちょっと先に寄りたい所あるから、付き合えよ」
「お前……シラス食いに来たんじゃ無かったのか?」
「まぁ、良いじゃねぇか」
山﨑はいつも多くを語らない人間だったが、今日はいつもにも増して口籠っていた。何か大事なことを伝えなくてはならないのに、それを後回しにしている様な。しかし俺はそれを聞き出す事はせず、山﨑が言い出すのを待っていたのだ。
何度か登って降ってを繰り返し、最後長めの階段を降りた先に、大きな岩の洞窟が見えた。紅い橋がかかっていて、これを渡ると洞窟に行ける。
手前にもゴロゴロした大きな岩が剥き出しになっており、浅瀬の辺りで水浴びをする子供の姿も見られた。
「良い景色だろ。夕焼けが綺麗らしいんだ」
海の奥に見える江ノ島の町を眺めながら、山﨑が呟く。
「今は昼間だし夏だから陽も長い。夕焼け見たかったんなら、もっと遅く来ないと」
「時間無かったからさ。昼間で良いさ、お前とこの景色見れたなら」
「んだよ、気色悪いなぁ」
「へへっ。良いだろ、今日くらい」
ポケットの中の携帯電話が鳴る。画面を見ると、また懐かしい名前が表示されていた。
高校時代同じクラスだった田宮だ。山﨑と同様大学も一緒で、今でもたまに連絡を取り合う仲である。
「時間切れか……」
「何が?」
俺が聞き返すが、山﨑は何も返さない。ただ悲しそうな、寂しそうな笑顔で俺に笑い掛けるだけだった。
「出ろよ、電話。大事な用かもしれないぜ」
「あ、あぁ」
俺は山﨑に言われるがまま、電話を取った。
***
「もしもし、田宮か?どうしたこんな時間に電話なんて」
「山下……。今、会社か……?」
いつもより低い田宮の声。所々鼻を啜る音が聞こえる。
「いや。出先だけど、どうかしたのか?」
「そうか。タイミング悪かったな。悪いがこっちも急ぎだから…。落ち着いて聞いてくれるか」
「なんだよ、仰々しな」
「…………ズビッ……はぁ……」
電話越しからは鼻を啜る音と深呼吸の声。明らかにいつもとは違うその様子に、俺の脈が上がる。一体何を切り出そうとしているんだ。
「……ヤマが………山﨑が……死んだ」
「………………は?」
俺の思考が一瞬止まった。何を言っているんだ、こいつは。だって山﨑はここに居る。今、ここに居て……俺はずっと山﨑と一緒に江ノ島にきて……。
振り向くと、泣きそうな笑顔で山﨑が俺を見ていた。そうか、お前はちゃんとわかっていたのか。わかっていて俺のところに来てくれたのか……?
「驚くのもわかる。俺も今聞いたばかりで混乱してるんだ。数日前…九州でデカい台風が直撃しただろ?あの時出張で九州に居たらしく、その時起きた土砂崩れに巻き込まれたらしい。子供を庇う形で見つかったって。幸い子供は無事だったが、ヤマは発見直後流れてきた別の土砂に埋もれて………結局……うっ……ぐすっ……」
「もういい……ありがとう、田宮。また連絡する」
最後まで何とも山﨑らしい。ガキ大将で子供が大好きで弱きものには優しかった。クラスで浮いている子がいれば声を掛けるし、嫌な先輩が居れば乗り込んでいった。そういう優しさは昔から変わってない。
俺は電話を切り、目の前で消え掛かっている山﨑に近づいた。
「俺に会いに来てくれたのか?」
「何言ってんだよ。俺は海鮮食いにきただけだって」
「海鮮食うだけなら下で良かっただろ」
「上にある店が良かったんだよ」
こういう時でも減らず口だ。あぁ、でももう……一緒に食べられないんだな。
「もっと……お前と一緒に居たかった。結婚式だって呼びたかったし、お前にスピーチ頼むの夢だったんだぞ」
「お前相手居ねーじゃん」
「これから作るんだよ!旅行だって、夕焼けだって……本当はお前と……一緒に……」
溢れ出す涙が止まらなかった。目の前に居るのに、まだ触れられるのに、もうこの世に居ないなんて信じられなかった。だけど頭ではちゃんと理解しているから、だから涙が止まらないのだ。
視界がボヤける。薄くなる山﨑の身体を、表情を最後まで目に焼き付けたいのに、ちゃんと見られないのが悔しい。
「俺は最後にお前に会いに来れて良かったぜ。また2人で来たかったからさ、江ノ島」
「お前、海好きだったもんな」
「あぁ……シラスもな」
「シラスはお前の代わりに食べといてやるよ」
「頼むぜ」
「おぅ。だから……もう大丈夫だ。安らかに眠ってくれよ」
涙を堪え、俺は山﨑に笑い掛けた。大丈夫、俺は大丈夫だから、お前は自分の逝くべき所へ行ってくれ。俺はまだちゃんとここに居るから。
「俺は先に逝くけど、お前はまだ来るなよ。俺が天国で入国拒否してやるから」
「お前にそんな権限ねぇだろ」
「うるせ」
眩しい日差しが山﨑の身体をキラキラと反射させていく。もう殆ど表情がわからない位に、身体は透けてしまっていた。
「お前に出逢えて良かったよ。ありがとうな、相棒」
「俺もだ……。もう少し待っててくれよ、相棒」
その言葉を最後に、山﨑の姿は見えなくなった。最後の表情は見えなかったが、笑っていたと思いたい。
***
涙を拭いて俺は1人来た道を戻った。
途中寄る予定だったお店でしらす丼を食べた。しらす丼は塩の味が効いていて、ほんのりしょっぱい味がした。
階段が続く登り道、1人息を上げながら山を登り降り海沿いを歩く。やっと着いた鳥居を過ぎて、炭火の匂いを嗅ぎながら帰路へと着いた。
帰って来た頃にはすっかり陽は暮れ、真っ暗な部屋に、ゴミと荷物が散乱している。
部屋の灯りをつけ、机の上に置かれたお土産を手に取る。これは確か、山﨑が持って来たものだ。包装紙には九州名物などと書かれている。
「本当に九州から来たんだな……。土産まで律儀に持って来やがって」
俺はそれを台所に置き、ゴミ袋を持って戻ってきた。散らかった部屋を片付けるのだ。
相棒にまだ来るなと言われてしまったから、まだそっちには行けそうにないな。
まず手に取ったのは、机の上に置いていた遺書だ。俺はそれを破って、ゴミ袋の中へと捨てた。
#シラス丼を食べに 【突然の君の訪問】
春に引っ越してきたばかりの我が家。
今回はマンションの一階の部屋。
転勤族と言われる家で育ってきたから春の別れも出会いも慣れてる。
夏休み頃には仲良くなる友達もできる。
とは言え、毎日会う程でもないからわりと家にいる。
夕立が来そうだなぁと部屋でゴロゴロしていると、なんだか視線を感じて周りを見回すと、窓の外からこちらをじっと見つめる猫。
誰だお前って感じで見てくる辺り、前からこの部屋のベランダによく来ていたんだろう。
雨宿りに来たっぽい猫からの他所者を警戒する視線を感じつつ、またゴロリと寝転ぶ。
猫も、雨に濡れたくないのか先住者としての意地なのか、ベランダにゴロリと寝転がる。
しばらくして、雨がザーザー降り出した。
猫は前足で上手に顔を擦っている。
まぁ、あれだ。私は今日は一日中出かけないつもりでいたけど、今は雨を理由に出かけないわけで…
ゴロゴロし過ぎて寝入ってしまった私が目を覚ますと、雨は上がり、猫は居なくなっていた。
次の日の午後も、昨日と同じく夕立前に、あの猫がきた。しかも、これまた昨日と同じく、誰だお前って視線。
猫に何か献上したいところだけど、『野良猫に餌を与えないでください』って、エントランスに貼られている注意書きがあるから、ダメなんだろう。
猫からしたら、自分の縄張りに来た餌もくれない突然の来訪者な私に不信感しかないだろう。
突然の君の訪問が来た。
大好きな君が家来た
突然の事なので少し混和してしまった
それを見た君は笑っていた
笑う姿はとても綺麗で上品だった
自分には似合わないぐらい綺麗だったな。
と思わず口から溢れてしまった(言ってしまった)
「似合う似合わないじゃないよ?ふふ、気にしてるなんて可愛いな〜全くも〜!」
と言われてしまった…笑
可愛いのはどっちかと思ってしまったな
照れて上手く喋れなかったけどもちゃんと伝わったて喜んでしまった
君も一緒に喜んでくれたから。
今の時間が何時もよりとても素敵な時間に見えた
もうすぐ君が家に変える時間だ
「大丈夫かい?」
「大丈夫!…送ってってくれない〜?」
「ああ、勿論だよ」
そうお返事を返すと君はとてもはしゃいでた
それが愛おしかったな。
なんてね。
突然の君の訪問に、私はなんとも言い難い感情を体の中に留めることが出来なくて吐きそうになった。
「会いたくなかったのだけれど、あいにきてしまったよ。」
そう、以前と何ら変わらない美しい顔で笑う彼に、
「私だって会いたくは無かったよ。」と、笑顔で吐き出した。
「それで、何故今更会いに来たの。」
うーん、と悩む素振りをする彼の動きに合わせて、さらさらと流れる胡桃色の髪の毛をただただ眺めている私は肩まである髪の毛は前と変わってないんだね、なんてそんなことを思っていた。
「夢から醒める時がきたって感じかな。」
彼の目が私を見る。
瞳の色が、少し変わっているような気がした。やっぱり恋とか愛とかいう情はやはり厄介なフィルターがかかるみたい。
「夢から醒める時が、ねぇ。私は醒めたい訳では無いのだけれど。」
「ふぅん。それはどうして?」
「夢は私に幸せを見せてくれるから。」
彼の目をしっかりと見て伝える。美しさに恐れをなして、逸らした以前の私はもう居ない。きっと、この美しさは蜃気楼なのだから。
「そう。だけども、夢は夢だから何時かは醒める。」
「そうだね、でもそれは今じゃない。」
「全く君は。以前と変わらず頑固者だねぇ」
「そういう私が好きだった癖に」
そりゃあ、と頬を少し赤らめる少しだけ胸が高鳴る。
あぁ、もう。こんな情は捨てたいのに!
「ねぇ。今でも私の事好き?」
彼の冷たい手に私の手を重ねる。
びくっと体を跳ねさせた彼に合わせて髪の毛も動く。ふわふわ、さらさらと。私が猫だったら君の髪を猫じゃらし代わりにするなぁ、なんて思ってみたり。なんてね。
「そりゃあ、好きだよ。」
「じゃあ、」
「だけどね。だけど、それはもう終わりなんだ。」
言い聞かせるかのような終わり、という言葉に喉が閉まる。
息が上手く出来なくなるような感覚がする。嫌いだ、この感覚は。ずっと前にも感じたことがあるから。
「終わりなんだよ。僕達は。」
「…ふふ。あーあ、やっぱり君も私と同じくらい頑固者だなぁ。」
「でもそんな僕が好きだったでしょう?」
「うん。好き、だったよ。」
本当は、今でも好きだけれど、だけどもそれじゃあきっと私たちは前には進めない。2人で見つめて笑い合う。それが合図になる。私たちは昔の頃のように、おでこを合わせあった。
「おはよう。僕の愛した人。」
彼の美しい目がキラキラと光る。その中にきっと私の好きも入っているけれど、見えないふりをした。
「うん。おやすみ。私の愛した人。」
夢から醒めた私は、久しぶりに感じる体の重さに少しのだるさを感じながら目を開けた。
真っ白な空間に、私の生きている証を刻む音。
私を起こす為に来た彼はきっともう目を醒さない。二度と会うことも無いかもしれない。けれど、それでも、辛くても泣きたくても生きるから、何時か会えたその時は君の「おやすみ」を聞かせてね。
訪れたのは闇だ。
鬱だ。
この世の杞憂の全て。
憂に憂いを重ねた何かが、
私を蝕み始めた。
そう唐突に。
突然に。
私を苦しめるのは誰だ
もがき苦しみながら、今日も息をする
会いたかった
なんて言ってくれると思ったけど君は相変わらず飄々としているね
花と戯れる蝶のように
いっそう軽やかに 自由な君を
繋ぎとめるなんてたとえ神でもできやしない
透ける向こうの輝きは
白い君を照らすだろう
サヨナラさえない僕への
君からの訪れ(ギフト)
#突然の君の訪問
サカイは割とみんなとそれなりに仲が良かったけど、後半は特にイヌちゃんとタローくんと一緒にいることが多かったのかな。イヌちゃんも最初の頃は女の子にかまって欲しくて誰にでもちょっかい出してたけど、だんだん落ち着いてきたよね。私も最初気があるのかと思ったことあったけど、2つ年上だったし異性と言うよりはお兄ちゃん的な立ち位置に収まった。たくさん追いかけ回されたけど、おかげでイヌちゃんには言いたいこと隠さす言えるようになった。心配性で優しいのはイヌちゃんのいいところだって思ってるよ。
3人で記念になるからってLAマラソンに出たよね。
私は車で送り迎え担当。現地に着いてタローくんがランニングシューズを忘れたことに気づいたけど、何とアディダスのサンダルで強行参加。ゴールまで何時間も待ったけど、3人とも何とか無事にゴール出来て本当に良かった。3人とも頑張ったね。
ゴールした完走メダルをサカイはすぐに私の首にかけてくれて「これ、あげる」ってプレゼントしてくれた。私のために走ってくれたんだね。ありがとう。
今も大事に持ってるよ。何かを残したかったんだね。
ポストを開けると
昔々の友達から
手紙が届いていた
何年ぶり?
十年以上?
声を聞きたいね
逢いたいね
突然届いた手紙
君が訪れてくれたようで
心まで
昔々のあの頃に
戻っていく
懐かしさに
心も踊っているような
ふわふわな気持ちになったよ
いきなり来るのは困るよ、と言いながらも、
君の顔を見ると、それ以上何も言えなくなるんだ。
「突然の君の訪問。」
カタルシス
突然の君の訪問に
救われたんだ
真っ白な空間が
何も見えなかった全てが
君によって
全て見えるようになったんだ。
ありがとう
#2#君の訪問に
「えへへ、ごめんね?来ちゃった」
「え、あ、ーっと、約束、してないよね?」
「うん。してないよ?」
彼女をあげるべきか否か。悩んでいると彼女が笑顔で指を指す。
「それ、なぁに?」
それは女物のパンプスです、なんて正直に答えたら答えたで怒られるの目に見えてんだよね。あー、もうめんどくせ。どうすっかな。
「やっぱり浮気してた…!」
「とりあえず中入って。ここで騒がれんのちょっと…」
「ふーん?入れてくれるんだ?」
ガチャンと鍵をかけると、彼女が奥の部屋に向かって言う。
「こんばんはー!浮気相手さーん!本命の彼女でーす!」
夜も遅いしご近所迷惑になるような事しないで欲しいんだけどなぁ。ズカズカ部屋に入っていくものの、浮気相手さんとやらは見つからない。クローゼットの中にもベッドの中にもお目当ては見つからない。バスルームのドアに伸びる手をそっと押さえる。
「ここなんだ?」
睨むようにバスルームと俺を交互に見る。
「何で?浮気相手庇うの?」
「庇うとかじゃないけどさ、いいじゃん。俺が1番好きなのは優しくて可愛い君だよ?」
「…やだ。誤魔化されないもん!」
私知ってるんだからね、随分前からこそこそ誰かと連絡取ってるの、デート断って誰かと会ってるの、スマホで何か見て嬉しそうなの浮気相手の写真なんでしょ、私全部知ってるんだから!そう言いながら彼女はドアを開けてしまった。
「え…?」
そこに居たのは浮気相手なんかじゃない。アプリで知り合っただけの、本名も知らない女───だったもの。
「う、そ、なん、し、しんで、る…?」
死にたてホヤホヤよ?今からバラそうって時に君が来ちゃうからさ?
「浮気じゃなかったでしょ?」
みるみる青ざめていく君に口角が上がってゆく。知ってたって言ってたじゃん。まぁ?随分前からこそこそしてたというより、l君と会う前からずーっとこうしてたんだけどね?証拠は残しちゃいけないって分かってるけど、コレクションだから、やっぱり撮っときたいじゃんね?
「っ…」
あぁ、叫ぶなこりゃ。反射的に彼女の首に手をかける。恐怖と絶望で何とも言えない顔をした彼女と見つめ合う。優しくて可愛い君が、いいよいいよって許してくれてたらこんな事しなかったんだけど。まぁこれはこれでありだけど。
「変に浮気とか疑わなきゃ良かったのにねぇ?」
残念。アドバイスはもう聞こえていないらしい。
満員電車の中、欠伸を噛み殺す。一晩にふたりはキツいなぁ。おかげで寝不足だ。
「あ」
スマホから彼女の連絡先を消す。もう必要ないもんね。でもお陰さまでコレクションが増えた事だけは感謝してるよ。ありがとね。そうだ。次は優しくて可愛くて、ちょうどお馬鹿な子を彼女にしよう。
『突然の君の訪問。』
「突然の君の訪問。」
ピーン ポーンとインターフォンが鳴った。
ガチャ
開けてみるとそこには君がいた。
君はいつも突然くるんだ。
社会人になりたての頃、私は真面目な社会人として
貴重な休みは真面目に休むことにしていた。
もうじきお昼だなとやっとこさ起きて、わちゃわちゃ始めた時
突然玄関のピンポンが鳴った。誰だろ?聞いてないが。
…宗教の勧誘だった。
だが、顔を見た瞬間に知ってる顔だったことに気づく。
小学校の同級生で5、6年生の時クラスが同じだった。
あきらかに相手からも動揺が伝わってきたが
社会人のマナーとして気づかない振りをした。
宗教の勧誘って、遮二無二勧めてくるもんだと思ったけれど
うわずった調子で早々に帰って行った。
勧誘に回る先って決められないのかな。
それ以来、訪問予定のないピンポンで
扉を開けることはなくなった。もう会うこともないだろう。
ガチャガチャ
君は突然、僕の部屋に来た。
合鍵は渡して合ったし、別に好きに使っていいよと言ってある。
でも、急に。
僕は、珍しく平日休みだったので、出迎えると。
「あ、いたの」
と、挙動不審な態度。
コーヒーを飲みながらでも、焦点は僕には合わない。
とはいえ、僕もやましい事が無いわけではないので、ドキドキなのだ。
余裕の態度をみせるべく、ベランダで一服する事を告げると、室内に痕跡が残って無いか反芻する。
多分、多分大丈夫だ。
一旦、落ち着いたので部屋に戻ると
「あ、まつげが・・・洗面所貸して」
と、彼女は部屋を出て行った。
僕はその間に部屋を見渡し、確認。
うん、大丈夫。
「よかった、あ、あと会社から電話だからゴメン行くね」
残りのコーヒーを一気飲みすると、彼女は出て行った。
ふーっ。
女の勘は鋭い。
俺が遊んでる時に不意にこういう事があるから恐ろしいんだ。
もう一度、タバコを吸おうとベランダに出る。
でも、
でも、あいつは何しに、家に来た?
本当に女の勘?
そういや、僕は出張で家を空けてる時があったな。
あいつ・・・
この家で・・・